2015年11月11日

「世界ぐるっとほろ酔い紀行」西川治

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世界には国の数だけといっていいほどさまざまな酒があります。

カメラマンでありエッセイストでもある著者が40年にわたり各国で飲んできた酒とエピソードを写真入りで紹介したエッセイです。

もちろん酒には肴がつきもの。

美味しい肴を食べてこそ酒がもっと美味しくなるというのが著者の主張。

なので酒だけではなく一緒に食べた料理も紹介されています。

著者は料理研究家でもありますしね。

飲みながら食べながら地元の人たちとコミュニケーションする描写が実に楽しそうに思えます。

しかし40年もの記録をよく一冊にまとめたものです。

表紙の真ん中下段の写真は著者ですが、かなりお若い。

293ページの写真と比べると年月を感じます。

読んでいてほろ酔うようないい気分の一冊でした。

ラベル:グルメ本
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2015年10月17日

「さらば、わが青春の『少年ジャンプ』」西村繁男

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59年に創刊された『少年マガジン』や『少年サンデー』、そして63年に創刊された『少年キング』に遅れること数年。

68年に『少年ジャンプ』は少年週刊誌の世界に斬り込んでいきます。

最初は苦戦していたものの、やがて『少年マガジン』を追い抜きトップの座へ。

95年には653万部という発行部数を記録し、ギネスブックにも登録された怪物漫画雑誌となります。

その創刊前からずっと立ち会い、3代目の編集長として『少年ジャンプ』を育て上げたのが著者です。

『少年ジャンプ』を立ち上げるまでのいきさつ、その後の経緯がみっちりと語られています。

さすがに後発なのでなかなか大御所の漫画家には描いてもらえず、やむなく新人を起用したこと。

読者アンケートを重視したこと。

専属制を採用したこと。

これらは『少年ジャンプ』を語る上で必ず取り上げられるエピソードです。

永井豪や本宮ひろ志などジャンプで育った漫画家の作品のヒットもあり、ぐいぐいと売り上げを伸ばしていきます。

その後もいろんなヒット作を輩出し、頂点へ。

ですがいつまでもその栄光は続きません。

どんどん部数を落とし『少年マガジン』に追い抜かれ、『少年ジャンプ』に限らず漫画界全体が低迷していきます・・・・。

『少年ジャンプ』の歴史を書きながら週刊誌時代に突入した漫画界の歴史も記した内容。

そして集英社内部の人事についてまで書かれています。

現場に携わった人物ならではの生々しく貴重な記録ですね。

タイトルがちょっと小っ恥ずかしいですけど。(笑)

ラベル:漫画本
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2015年07月21日

「朝倉恭介 <Cの福音・完結篇>」楡周平

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シリーズ第6弾。

いよいよシリーズ最終巻となりました。

この巻で初めて朝倉恭介と川瀬雅彦が接点を持ちます。

雅彦はコカインの取材でコロンビアへ行くことになります。

ですがヘリコプターがトラブルで墜落。

雅彦とパイロットは九死に一生を得ます。

運ばれた病院の隣のベッドで痛み止めのモルヒネでうなされるパイロットの口からアサクラキョウスケという名前が漏れ、しかもマフィアを壊滅したというような内容を口にするのです。

パイロットは以前に恭介と組んで裏切り者のマフィアを壊滅させたギャレットでした。

雅彦のジャーナリストとしての本能が立ち上がり、アサクラキョウスケなる人物を追いかけることにします。

いっぽう恭介はCIAの監視をくぐりながら休息していましたが、マフィアのボスであり父親代わりであり恩人でもあるファルージオが亡くなったという知らせを受けます。

どうやらそのあたりから恭介の歯車が狂い始めるのです。

自ら築いてきたコカイン密輸のシステムを破棄することにした恭介は日本に戻り、恭介が留守のあいだに日本でのビジネスを任せていた田代をフロリダで保養させ、組織の手で始末させます。

恭介がいないのをいいことに好き勝手なことをやっていたからです。

しかしコカインの密輸をストップするよう組織に指示したにもかかわらず、手違いで日本に向かってしまったとの連絡が。

田代がいなくなったので恭介自ら密輸されたコカインをピックアップしなければなりません。

そんな状況の中であるルートから恭介のメールアドレスを手に入れた雅彦からメールが届きます。

『俺はすべてを知っている』と。

動揺する恭介。

何度かメールのやり取りのあと電話を交わし、恭介は雅彦を始末するために会うことにします。

そんなやりとりを傍受したCIAが恭介捕獲に乗り出し・・・・。

まず思いましたのは、恭介のマヌケぶりです。

特に雅彦のメールを受け取ってからの行動はアホの一言です。

雅彦とのやりとりもそうですし、コカインのピックアップに向かう展開などただのコソ泥レベル。

これって作者が恭介のキャラを無視して話の展開を優先させていると思います。

というか、恭介は『悪のヒーロー』なんて設定になっていますが、元々あまりキャラが立っていないと思うんですよね。

シリーズ第1弾からずっと読んできまして雅彦にしても然りで、どちらも主人公を張るほどのキャラではありません。

ドラマや映画でいえば2流の役者だと思います。

ラストもなんですか、ありゃ。

その他にもいろいろとあり、最終巻はちょっときつかったですねぇ。

まさか続編なんて出さないでしょうね。

ラベル:小説
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2015年06月25日

「二度はゆけぬ町の地図」西村賢太

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短編4編収録。

主人公はお馴染み北町貫多です。

「貧窶の沼」では三畳のアパートの家賃がまともに払えません。

中卒で17歳の貫多はなかなかまともな仕事にありつけず、どうにか酒屋のアルバイトをみつけます。

しかしそこでも自己中心ぶりを発揮し、彼女にも愛想を尽かされ・・・・。

「春は青いバスに乗って」は爽やかなタイトルですが、相変わらず短気な貫多はバイト先の居酒屋の主任に暴力を振るい、12日間留置場で過ごすことになってしまいます。

しかしそんな生活も悪くはないなと思ってみたり。

「潰走」は老夫婦が経営するアパートの家賃をさんざん滞納し、あげくのはては夜逃げして踏み倒し。

しかしその後訪問販売のアルバイトをしているときに・・・・。

最後の「腋臭風呂」はタイトルがすごいですね。(笑)

いつも通う銭湯でたびたび腋臭の持ち主と遭遇し不快に思うという話なのですが、話は20年後に移ります。

呼んだデリヘル嬢が強力な腋臭でしかもマン臭であったということで、20年前の腋臭風呂の思い出に重ねます。

そこに話が着地するかと。(笑)

どの作品も相変わらずわがままで短気で貧乏で情けない主人公の姿を描いています。

でもそれが滑稽でどこか憎めないんですよね。

ラベル:小説
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2014年09月01日

「しょーとほーぷ」西山繭子

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凜は小学4年生。

1年前にお父さんが家を出て帰ってこなくなり、母と2人で暮らしています。

お父さんは自分のことが嫌いになったんだろうかと凜は考えています。

なので家を出て行ったのかと。

ある日、塾に行く前に寄ったファストフード店で隣のテーブルに若い男の3人組が座ります。

金に困っているようで「強盗でもするか」などと冗談を話し合っています。

それを聞いた凜は思わず「私を誘拐しませんか?」と声を掛けるのです。

自分が誘拐されれば、もしお父さんが自分のことを好きだったら身代金を払ってくれるだろうと。

それを確かめたいというのです。

男3人組とその中の1人と同棲している彼女、そして凜。

5人の物語が始まります・・・・。

午後4時から真夜中0時までの“短い希望”の物語。

まさしくショートホープですね。

内容でちょっとテーマというかタイトルを強調し過ぎている感はありますけども。

とてもほのぼのとした読み心地です。

そんな中に親と子の絆、子供にはわからない大人の世界などが描かれています。

ちなみに作者の父親は作家の伊集院静氏ですが、氏への想いを込めておられるのかなと考えたりもしました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする