2014年08月26日

「スキャンダルを追え!「噂の眞相」トップ屋稼業」西岡研介

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「噂の眞相」。

政界、財界、芸能界、文壇、皇室・・・・。

いろんな方面のスキャンダルを暴き、タブーに挑戦した雑誌でした。

私も毎月楽しみに立ち読み(笑)してましたね。

神戸新聞記者を経てそんな“ウワシン”でライターをしていた著者。

99年に則定衛東京高検検事長のスキャンダルを暴き辞任に追い込み、翌年には当時の首相であった森喜朗の買春検挙歴をスクープします。

それらは決して飛び込んできた話をほいほいと掲載しているわけではありません。

何年も前から手をつけ、あちこちから情報を収集し、決定的な証拠を握り、スクープとして放つ。

しかしそれに対して相手も名誉毀損で訴えてくる。

そんな裏側の苦労や緊迫感のあるやりとりが描かれています。

ちなみに著者は「噂の眞相」を辞めたあともいろんな週刊誌でご活躍され、ベストセラーも出しておられます。

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2014年08月10日

「どうで死ぬ身の一踊り」西村賢太

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大正時代に生きた作家、藤澤清造。

主人公(作者)はその生き様に共感し、藤澤に関係するあらゆる物を収集しています。

部屋の中は藤澤関連だらけ。

墓標さえ譲渡してもらい部屋に飾ってあります。

藤澤清造全集を自腹で刊行しようとしているのですが一向に進まず。

とにかく自己中心的で、同棲している女には暴力ばかりの日々です・・・・。

読んでいて同性の私からしても腹が立ってきますね。(笑)

しかし相変わらず小物ぶりが笑えます。

トイレの便座が上がっていないとか、カレーにカツを乗せているのが気に入らないとか。

そんなことで女を怒鳴り、暴力を振るってる。

その前にいろんな原因があってのことですが。

文学としてはどうなんだろうと思いますが、独特の路線を走る私小説作家であり作品ではあります。

ラベル:小説
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2013年11月23日

「ターゲット」楡周平

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シリーズ第5弾、朝倉恭介シリーズとしては第3弾となります。

クアラルンプールで仕事を終え、ファーストクラスでくつろぎ東京に向かう朝倉恭介。

しかし機内で急病人が発生し、飛行機はクアランプールに引き返すことになります。

それはCIAが仕掛けた罠でした。

北朝鮮のテロ対策にCIAが目を付けたのが恭介だったのです。

本来なら恭介と敵対するはずのCIAは恭介の裏の顔を知らずに工作員として強引にスカウトし、さまざまな教育を行います。

最初は罠にはめられて屈辱を感じていた恭介ですが、訓練は今後の自分の仕事に役立つはずだと積極的に技術を身につけていきます。

北朝鮮が在日米軍にウィルス兵器を仕掛けようとするのを阻止する役目が恭介に与えられるのですが、その任務を無事果たすことができるのか・・・・。

シリーズを重ねるにつれ、ますます読み応えがアップしてきました。

600ページ弱のボリュームを中弛みなく読むことができましたし。

文章はいつものように「いかにも資料を駆使しました」といった感じですが、まあこれがこの作家の作風なんでしょう。

次作はいよいよシリーズの最終章。

第2弾第4弾で主人公だった川瀬雅彦との関わりもあるようです。

楽しみに読ませていただきましょう。

ラベル:小説
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2013年09月28日

「魔の牙」西村寿行

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仕事帰りの銀行支店長を拉致し脅して金庫を開けさせ、1億8千万円を奪った中原と長島。

二人は逃亡し、長島は警察に捕まりますが中原はどうやら南アルプスに姿を隠したようです。

刑事の涸沼凉介は台風が近づいているにもかかわらず、中原を追って南アルプスに入ります。

山中で暴風雨に見舞われ、涸沼はどうにか鹿沢荘という湯治場に避難します。

そこにいたのは経営者夫婦、わけありの老夫婦、女の一人客。

涸沼と同じく暴風雨に巻き込まれ避難してきたのは女子大生4人組、東京地検の検事、犬を連れた地元の漁師、新婚夫婦、会社員と名乗る男。

長島から情報を得て中原から1億8千万円を奪おうと跡を追って来た暴力団4人組まで。

そして最後にやって来たのが犯人の中原。

外には出られず外部と連絡も取れない孤立した山荘にいろんな人物が集まります。

しかし激しい暴風雨に山荘はだんだんと崩壊していきます。

それだけではなく絶滅したはずの日本狼の群れが山荘を取り囲むのです。

狼たちは狂犬病に冒されており、建物が崩壊すれば皆の命はありません。

閉じ込められた山荘の中で、人間たちはパニックになりながらどのような行動を取るのか・・・・。

ミステリーのジャンルとして“吹雪の山荘もの”というのがありますけども、この作品のシチュエーションはまさしくそれですね。

普通ならこの中で1人ずつ殺されてゆき、犯人は誰だとかどのような方法でとかなるわけですが、さすがに西村寿行はそんなのは書きません。

書かれるのは極限状態に置かれた人間の心理ですよね。

そして狂気、自身の生き様など。

こうなると寿行作品として当然女は男に体を投げ出すことになります。(笑)

それはともかくとしまして山荘が崩壊していく描写も緊迫感がありますが、なにより日本狼を配置するあたりが西村寿行ですね。

最後はどのようになるのだろうと思っていたら、う~ん、そのような結末に・・・・。

これもやはり西村寿行らしいラストだと思いました。

ラベル:小説
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2013年04月24日

「苦役列車」西村賢太

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北町貫多は19歳。

冷凍倉庫で日雇いの仕事をしています。

気が向けば仕事にいって金を稼ぎ、金が無くなればまた日雇いに出かける。

だらだらとした毎日です。

彼女もおらず友達もおらず、そんな貫多にも日雇い先で友達ができるのですが・・・・。

芥川賞を受賞し、私小説が見直された(?)作品です。

併録されている「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」はその続編といえます。

北町貫多というのはもちろん作者の西村賢太をもじっているわけで。

どこまでが本当かどうかはわかりませんが、たしかに今どきこの生活と投げやりぶりはすごい。

そしてこの自己中心的な考えと小心ぶり、それをしっかりと晒し出すあたりは潔い。

面白い作家さんが出てこられたなぁとは思います。

でも「暗渠の宿」の感想にも書いたのですが、やはりどうしても車谷長吉中上健次、といった作家と比較してしまうんですよね。

あるいは柳美里とか。

そうなると、なんといいますか人間の業だとか持って生まれた血だとか、そのようなものが無い。

それらの有無で小説を判断するべきではないでしょうが、どうしても底の浅さを感じてしまいます。

若者の単なる怠惰な話で終ってしまっていると思うのです。

わがままを振りかざしてるだけやん、と。

「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」はまだそのあたりの足掻きがありますけども。

町田康なんかはこういうのを上手く昇華させておられるんですよね。

この持ち味を活かしてなにかこう、強烈な作品を発表していただきたいものです。

期待しています。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする