2015年07月21日

「朝倉恭介 <Cの福音・完結篇>」楡周平

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シリーズ第6弾。

いよいよシリーズ最終巻となりました。

この巻で初めて朝倉恭介と川瀬雅彦が接点を持ちます。

雅彦はコカインの取材でコロンビアへ行くことになります。

ですがヘリコプターがトラブルで墜落。

雅彦とパイロットは九死に一生を得ます。

運ばれた病院の隣のベッドで痛み止めのモルヒネでうなされるパイロットの口からアサクラキョウスケという名前が漏れ、しかもマフィアを壊滅したというような内容を口にするのです。

パイロットは以前に恭介と組んで裏切り者のマフィアを壊滅させたギャレットでした。

雅彦のジャーナリストとしての本能が立ち上がり、アサクラキョウスケなる人物を追いかけることにします。

いっぽう恭介はCIAの監視をくぐりながら休息していましたが、マフィアのボスであり父親代わりであり恩人でもあるファルージオが亡くなったという知らせを受けます。

どうやらそのあたりから恭介の歯車が狂い始めるのです。

自ら築いてきたコカイン密輸のシステムを破棄することにした恭介は日本に戻り、恭介が留守のあいだに日本でのビジネスを任せていた田代をフロリダで保養させ、組織の手で始末させます。

恭介がいないのをいいことに好き勝手なことをやっていたからです。

しかしコカインの密輸をストップするよう組織に指示したにもかかわらず、手違いで日本に向かってしまったとの連絡が。

田代がいなくなったので恭介自ら密輸されたコカインをピックアップしなければなりません。

そんな状況の中であるルートから恭介のメールアドレスを手に入れた雅彦からメールが届きます。

『俺はすべてを知っている』と。

動揺する恭介。

何度かメールのやり取りのあと電話を交わし、恭介は雅彦を始末するために会うことにします。

そんなやりとりを傍受したCIAが恭介捕獲に乗り出し・・・・。

まず思いましたのは、恭介のマヌケぶりです。

特に雅彦のメールを受け取ってからの行動はアホの一言です。

雅彦とのやりとりもそうですし、コカインのピックアップに向かう展開などただのコソ泥レベル。

これって作者が恭介のキャラを無視して話の展開を優先させていると思います。

というか、恭介は『悪のヒーロー』なんて設定になっていますが、元々あまりキャラが立っていないと思うんですよね。

シリーズ第1弾からずっと読んできまして雅彦にしても然りで、どちらも主人公を張るほどのキャラではありません。

ドラマや映画でいえば2流の役者だと思います。

ラストもなんですか、ありゃ。

その他にもいろいろとあり、最終巻はちょっときつかったですねぇ。

まさか続編なんて出さないでしょうね。

ラベル:小説
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2015年06月25日

「二度はゆけぬ町の地図」西村賢太

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短編4編収録。

主人公はお馴染み北町貫多です。

「貧窶の沼」では三畳のアパートの家賃がまともに払えません。

中卒で17歳の貫多はなかなかまともな仕事にありつけず、どうにか酒屋のアルバイトをみつけます。

しかしそこでも自己中心ぶりを発揮し、彼女にも愛想を尽かされ・・・・。

「春は青いバスに乗って」は爽やかなタイトルですが、相変わらず短気な貫多はバイト先の居酒屋の主任に暴力を振るい、12日間留置場で過ごすことになってしまいます。

しかしそんな生活も悪くはないなと思ってみたり。

「潰走」は老夫婦が経営するアパートの家賃をさんざん滞納し、あげくのはては夜逃げして踏み倒し。

しかしその後訪問販売のアルバイトをしているときに・・・・。

最後の「腋臭風呂」はタイトルがすごいですね。(笑)

いつも通う銭湯でたびたび腋臭の持ち主と遭遇し不快に思うという話なのですが、話は20年後に移ります。

呼んだデリヘル嬢が強力な腋臭でしかもマン臭であったということで、20年前の腋臭風呂の思い出に重ねます。

そこに話が着地するかと。(笑)

どの作品も相変わらずわがままで短気で貧乏で情けない主人公の姿を描いています。

でもそれが滑稽でどこか憎めないんですよね。

ラベル:小説
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2014年09月01日

「しょーとほーぷ」西山繭子

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凜は小学4年生。

1年前にお父さんが家を出て帰ってこなくなり、母と2人で暮らしています。

お父さんは自分のことが嫌いになったんだろうかと凜は考えています。

なので家を出て行ったのかと。

ある日、塾に行く前に寄ったファストフード店で隣のテーブルに若い男の3人組が座ります。

金に困っているようで「強盗でもするか」などと冗談を話し合っています。

それを聞いた凜は思わず「私を誘拐しませんか?」と声を掛けるのです。

自分が誘拐されれば、もしお父さんが自分のことを好きだったら身代金を払ってくれるだろうと。

それを確かめたいというのです。

男3人組とその中の1人と同棲している彼女、そして凜。

5人の物語が始まります・・・・。

午後4時から真夜中0時までの“短い希望”の物語。

まさしくショートホープですね。

内容でちょっとテーマというかタイトルを強調し過ぎている感はありますけども。

とてもほのぼのとした読み心地です。

そんな中に親と子の絆、子供にはわからない大人の世界などが描かれています。

ちなみに作者の父親は作家の伊集院静氏ですが、氏への想いを込めておられるのかなと考えたりもしました。

ラベル:小説
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2014年08月26日

「スキャンダルを追え!「噂の眞相」トップ屋稼業」西岡研介

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「噂の眞相」。

政界、財界、芸能界、文壇、皇室・・・・。

いろんな方面のスキャンダルを暴き、タブーに挑戦した雑誌でした。

私も毎月楽しみに立ち読み(笑)してましたね。

神戸新聞記者を経てそんな“ウワシン”でライターをしていた著者。

99年に則定衛東京高検検事長のスキャンダルを暴き辞任に追い込み、翌年には当時の首相であった森喜朗の買春検挙歴をスクープします。

それらは決して飛び込んできた話をほいほいと掲載しているわけではありません。

何年も前から手をつけ、あちこちから情報を収集し、決定的な証拠を握り、スクープとして放つ。

しかしそれに対して相手も名誉毀損で訴えてくる。

そんな裏側の苦労や緊迫感のあるやりとりが描かれています。

ちなみに著者は「噂の眞相」を辞めたあともいろんな週刊誌でご活躍され、ベストセラーも出しておられます。

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2014年08月10日

「どうで死ぬ身の一踊り」西村賢太

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大正時代に生きた作家、藤澤清造。

主人公(作者)はその生き様に共感し、藤澤に関係するあらゆる物を収集しています。

部屋の中は藤澤関連だらけ。

墓標さえ譲渡してもらい部屋に飾ってあります。

藤澤清造全集を自腹で刊行しようとしているのですが一向に進まず。

とにかく自己中心的で、同棲している女には暴力ばかりの日々です・・・・。

読んでいて同性の私からしても腹が立ってきますね。(笑)

しかし相変わらず小物ぶりが笑えます。

トイレの便座が上がっていないとか、カレーにカツを乗せているのが気に入らないとか。

そんなことで女を怒鳴り、暴力を振るってる。

その前にいろんな原因があってのことですが。

文学としてはどうなんだろうと思いますが、独特の路線を走る私小説作家であり作品ではあります。

ラベル:小説
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