2013年01月22日

「世界ぐるっと朝食紀行」西川治

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著者は写真家です。

その他にもいろいろと肩書きをお持ちのようですが。

仕事で各国に出かけ、当然食事というものは付いてまわります。

著者のそんな旅歴40年の体験から朝食にこだわって書かれたのがこの本です。

普通にツアーで海外旅行に行きますと、朝食は当然ホテルということになりますよね。

でもそれでは現地の味は味わえません。

著者は町に出て地元の人に愛されている店に足を運びます。

そんな記録を豊富な写真とともに楽しませてくれます。

ちなみに私もほんの少しだけ海外旅行の経験があります。

さすがに朝食はホテルで摂りましたが、その後ホテルを出てとにかく街の雰囲気を味わいたくて、朝っぱらからカフェでアルコール飲んでました。(笑)

街の景色や道行く人を眺めつつ。

昼と夜の食事はとにかく地元の料理を求めました。

外国に行ってわざわざ和食を食べるほど馬鹿なことはありません。

それはともかくとしまして、外国で外食する場合、朝食というのは昼や夜と違っていちばんスッピンの姿を見せてくれるのではないでしょうか。

各国の朝食を記録した美味しく楽しい一冊です。

ラベル:グルメ本
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2012年10月08日

「宴は終わりぬ」西村寿行

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やっとこさ入手しました「宴は終わりぬ」。

西村寿行最初で最後のエッセイ集。

単行本はもちろん絶版ですし文庫本化もされていませんので、ファンの間では幻の一冊となっています。

Amazonでは1万円以上の値段がついていたりしますが、ブックオフであっさりと200円で購入。(笑)

しかも新刊状態です。

内容は世の中に対しての不満が寿行節で炸裂。

五木寛之氏とのやりとりなども収録されています。

習志野空挺部隊での取材、愛車のベンツやゴールデンイーグル、自宅、チーコ、勤め人時代、少年時代、娘さんの写真まで公開されています。

車のナンバープレートがボカシなしで掲載されているのは時代ですね。

寿行ファンとしましてはぜひとも手元に置いておきたい一冊です。

ラベル:エッセイ
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2012年07月14日

「暗渠の宿」西村賢太

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表題作他1編収録。

まず最初の「けがれなき酒のへど」はデビュー作。

ひたすら普通の彼女が欲しいと願う主人公。

私小説ですのでもちろん作者がモデルです。

せっせとフーゾクを利用し、そんな相手を求めます。

やっとこさソープランドで理想の女性を見つけ、下心を隠しつつ紳士ぶってせっせと献身するのですが、結局はまんまと利用され大金を巻き上げられてしまいます。

そんな主人公でありますが、ちゃんと女性と付き合い、同棲していたこともあるのです。

それを描いているのが表題作の「暗渠の宿」。

とにかくまあ彼女に対してわがままで暴力的で自己中心的なこと。

小説として読んでいるぶんには面白いのですが、実際にはこんな男たまったものではありません。

私小説というもののどこまでが事実かはわかりませんが。

さて、どうしてもこの作者と比較される作家に車谷長吉氏がいます。

私の感想としましては、なんといいますか味わいが違う。

味わいといいますか、襞の数が違う。

車谷氏のほうが味わい深く襞が多いと感じるんですね。

中上健次と比べますと通俗的すぎます。

自分を模索する深さが違う。

なんといいますか、私小説といえどもけっこうエンターテイメントしてるんですよね。

ある意味ギャグとしても読めます。

意識してかどうかはわかりませんけども。

でも時代もあり作者のルーツもあり、これが西村氏の作風。

比べること自体間違っているのかもしれません。

なんにせよ今後も読み続けていきたい作家です。

ラベル:小説
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2012年07月06日

「濫觴の宴」西村寿行

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府中競馬場の売上金39億5千万円を積んだ現金輸送車が、中央高速道でトラックに体当たりされ襲撃されます。

なんとその輸送車を大型ヘリのバートル107が吊り上げ、持ち去っていくのです。

連絡を受けた警視庁はすぐに追跡します。

ヘリが着陸したのは長野県美ヶ原。

しかし発見されたのはハリボテの輸送車でした。

本物はどこに? 犯人はどこへ?

出だしから西村寿行らしい荒唐無稽なストーリー展開です。

現金輸送車をヘリコプターで吊り上げて強奪するなんて。

ですがこの現金強奪の目的は意外なところにあるんですね。

それこそがこの作品のテーマなのですが。

狩猟行政に対しての強烈な批判です。

罪もない動物を殺戮することを許している狩猟行政とはなんなのかと。

動物だけではなく人間にも猟による流れ弾の被害があるのです。

そんな被害にあって両目の視力を失った少女がこの作品で重要な役割をします。

犯人たちは強奪した金を使って団体を作り、その少女を柱として徹底的に狩猟行政をつぶそうとします。

しかし狩猟に関わる人間も黙ってはいません。

それで儲けている連中の事情もありますし、殺戮欲を封じ込められてもたまりません。

両団体の全面戦争です。

西村寿行らしいストレートで強烈なメッセージが込められています。

強奪事件に関しては犯人たちの一人である父親と刑事である息子といった関係も描かれています。

とにかくまあなにもかも強引にねじ伏せたような設定ですが、寿行ファンとしてはそれがまたいかにもでいいのですね。(笑)

ラベル:小説
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2012年05月20日

「クラッシュ」楡周平

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航空機はもう完全にコンピュータによるハイテクの世界。

すべてといっていいほどコンピュータに制御されています。

そんな最新鋭の航空機のプログラムにウィルスが仕込まれ、操縦不能に。

犯人の犯行声明HPにはアクセスが殺到。

しかしそのHPにもウィルスが仕掛けられていたのです。

航空機はどうなるのか、そして世界に蔓延して経済を麻痺させていくウィルスをどう駆除するのか・・・・。

「Cの福音」「クーデター」「猛禽の宴」に続くシリーズ第4弾。

シリーズといいましても第2弾の主人公である川瀬雅彦が出てくるというだけで話の繋がりはありませんが。

今回はコンピュータ社会を痛烈に風刺したサイバーテロ小説です。

スタートからいかにも綿密な取材と資料を駆使したことが感じられる緻密な描写。

楡周平の作風ですね。

そしてぐいぐいと読ませていきます。

700ページ弱を弛ませることなく緊迫感を保ちながら引っ張る展開は圧巻。

ただしコンピュータやらインターネットやらを題材にしているので、今からすればちょっとどうかなという部分もありますが。

「お試しホームページ」なんて苦笑してしまいます。

しかし1級のエンターテイメントではあります。

これまでのシリーズの中ではいちばんの出来ではないでしょうか。

ラベル:小説
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