2019年10月26日

「ビートルズを呼んだ男 伝説の呼び屋・永島達司の生涯」野地秩嘉

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1950年代。
呼び屋といわれる人たちが現れます。
戦後の日本に海外の有名なミュージシャンなどを招聘した人たち。
今でいうプロモーターですね。
でも当時はそんなカタカナな言葉などなく、呼び屋という侮蔑的な意味も込めた言葉で呼ばれていました。
しかしそのような仕事に生涯を捧げ、世界中のミュージシャンから尊敬された人物がいました。
1966年にビートルズを来日させた男、永島達司です・・・・。
タイトルにもあるようにビートルズを来日させた人物の半生を描いたノンフィクションです。
内容としましてはビートルズの招聘がメインとなってはいますが、それまでの経歴がすごい。
本書ではまずジャズミュージシャンのジョージ・ルイスから始まります。
彼とのやりとりを読みますと、永島の真摯な姿勢がわかりますし、それに応えるジョージ・ルイスの人物もまたいい。
その後関わった有名ミュージシャンは数知れず。
巻頭にはビートルズの貴重な写真が掲載されていますし、マイケル・ジャクソンやエルトン・ジョンとの写真もあります。
そのビートルズですが、当然当時の呼び屋たちは彼らを狙っていました。
世界的なスーパースターですから。
そんなビートルズであったにも関わらず永島は食指を動かさなかったのですが、向こうから話が来たんですね。
日本でコンサートをやりたいと。
永島、やってくれないかと。
いかに永島が信頼されていたかということですよね。
しかし永島はこの話を断ろうと思っていたそうです。
このあたりのエピソードもまた永島の人物がよく描かれていると思います。
永島達司という人、実に真摯で紳士な人物だったのですね。
当時としては、いや現在でもちょっと日本人離れした感性の持ち主だったようです。
そんな永島達司という人物、そして日本の音楽興行の変遷、その舞台裏、そういったことが記された資料的な価値もある一冊かと思います。
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2019年09月06日

「舞面真面とお面の女」野崎まど

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叔父から頼みごとをされた大学院生の舞面真面(まいつらまとも)。
山奥の邸宅を訪問します。
頼み事とは、真面からすれば曽祖父で舞面財閥を築いた舞面彼面の遺言を解明することでした。
『箱を解き 石を解き 面を解け』という遺言を解き明かすべく叔父の娘である従妹の水面と一緒に二人は調査を始めるのですが、得体のしれないお面を被った少女が現れて・・・・。
とにかく名前がややこしい。
主人公は真面でヒロインは水面。
叔父は影面で曽祖父は彼面。
頭がこんがらがります。(笑)
曽祖父の残した遺言の意味はなんなのか。
そしていつもお面を被っている少女の正体は。
横溝正史をライトにしたようなミステリーですね。
ただ私には最後の展開がよく理解できませんでした。
面がなぜ人を渡り歩くのか。
なぜ、どのようないきさつで他の女性に運ばれたのか。
そのあたりがちょっと唐突で首をかしげてしまいました。
ラベル:小説
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2019年08月19日

「晴追町には、ひまりさんがいる。 はじまりの春は犬を連れた人妻と」野村美月

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優等生だったはずの春近はなぜか本命の大学も滑り止めの大学も落ちて、ようやく二次募集でそこそこ名の通った大学に受かります。
そんな春近に気を遣う家族がプレッシャー。
そして東京の片隅にあるキャンパスには片道2時間もかかってしまいます。
うんざりです。
しかも隣に越してきた新婚夫婦の奥さんは、春近が高校生のときナンパされ一夜限りの関係を持った女性でした。
相手は春近を覚えていないようですが、そんな状況で毎日を過ごすなんてたまったものではありません。
春近は逃げ出すように家を出て、一人暮らしを始めます。
引っ越した先は晴追町。
その町で春近はひまりさんという人妻と出逢います・・・・。
なんともほのぼのとしていますねぇ。
この作者の作品を読んだのは2冊目なんですが、以前に読んだ作品でも思ったのは、とてもほんわかとして優しいんですよね。
歳上の人妻に憧れる春近、それに対してのひまりさん。
そして重要な存在がひまりさんが飼っている有海さんというサモエド犬です。
有海さんというのはひまりさんの旦那さんの名前です。
現実には旦那さんは仕事でずっと家を空けており、年に一度しか帰ってこないということなんですが。
ひまりさんのそばにはつねに有海さん(犬)の存在があり、その行動はひまりさんのすべてを知り尽くしている人間のよう。
もしかして旦那の有海さんはもうこの世にいなくて、犬の有海さんに魂が乗り移っているのかな、なんて思いましたが。
サークルで仲良くなった巴崎という女子もやはり叶わぬ恋をしています。
そして先輩の天満と彼女の夜理子の恋。
そのような様々な恋愛を見ながら。
春近、優し過ぎるなぁ・・・・。
ラベル:小説
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2019年02月08日

「キャンティ物語」野地秩嘉

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1960年飯倉に開店したイタリアンレストラン『キャンティ』。
三島由紀夫安部公房といった作家たち、作曲家の黛敏郎、團伊玖磨、映画監督の黒澤明、芸能人では加賀まりこ、かまやつひろし、萩原健一、安井かずみなど、錚々たるメンバーが集まる店でした。
その後も現在に至るまでいろんな有名人が贔屓にしているようです。
オーナーは川添浩史。梶子夫妻。
皆オーナー夫妻を慕い、そしてこの店にくれば誰か顔見知りがいるということでホームパーティーのように賑わったようです。
そんなオーナー夫妻や常連客達について書かれた一冊。
タイトルは「キャンティ物語」ですが、それほど深く「キャンティ」という店について書かれているわけではありません。
どちらかといえばオーナーの「川添浩史物語」というタイトルのほうが内容には合っているかもしれませんね。
もしくは「キャンティとその時代」とか。
昭和のいい時代だったという雰囲気があります。
私が今までに読んだ本でもいろんな人がこの店について書いておられます。
見城徹林真理子島崎今日子など。
オーナー夫妻はもう亡くなっておられますが、店は現在も営業しています。
さすがに当時のような有名人の社交場といった雰囲気ではないようですが。
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2019年01月25日

「言葉尻とらえ隊」能町みね子

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ニュース、新聞、ネットなどで見聞きした“引っかかった”言葉を捉え、「それってどうなの」とツッコミを入れたコラム集です。
まあ、あげ足取りです。(笑)
でも確かにそういうのってありますよねぇ。
例えばなにか事件を起こした犯人が「むしゃくしゃしてやった」と述べることについて。
「むしゃくしゃ」なんて言葉を使うかと著者は指摘します。
普通なら「むかついてやった」とか言うんじゃないかと。
これ、本当に犯人がそのような言葉を口にしたのか?
もしそうだとすればこれはもう事情聴取されるときの定番用語ですね。
「オフクロの味といえば?」という質問に「肉じゃが」と答えるようなものです。
スポーツ選手がインタビューされて、やたら「ハイ」という言葉を使うのも著者は気になるようです。
「・・・・ですね。ハイ」てな具合に。
私が気になるのはむしろ頭に「そうですね」という言葉を付けることです。
これ、よく聞いてますとスポーツ選手に限らず皆さんかなりの確率で使ってますよ。
「ハイ」よりも私はこちらのほうが以前から気になっていました。
インタビューで質問を受けると必ず頭に「そうですね」と付けて本題に入る。
いったいなにがそうなんだとツッコミを入れたくなります。
まあ皆さんいろんな発言をなさいます。
おそらく著者もそうなんでしょうけど、言葉にちょっとフェチなところがあると日常のいろんな言い回しが引っかかってくるんですよね。
私の場合、最近なら「ハンパない」とか。
それさえも略して「パない」とか。
そのような言葉を聞くとほんとむしゃくしゃ、いや、むかつきます。(笑)
ラベル:エッセイ
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