2020年11月06日

「お家賃ですけど」能町みね子

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築40年、家賃4万円、風呂ナシ、個別トイレ有、和室6帖にキッチン3帖弱、共同玄関。
著者22歳、平成14年の春。
会社を辞めた著者はそのようなアパートに住み始めます。
大家は加寿子さんというおばあちゃん。
最初に入居したとき著者は男性でした。
1年ほどして退去し、また2年弱でこのアパートに戻ってきます。
女性として・・・・。
まず、平成の時代にもまだこのようなアパートがあったのかと。
東京でこのような。
令和になった現在も私の住む近所にそのようなアパートはあります。
入ってみたいのですが、勝手に入ると不法侵入ですもんね。
いつも外から眺めています。
まあ、私もこれに近い条件のアパートに住んでいましたけども。
で、この本の内容ですが、著者の平成14年春から平成19年春までの「加寿子荘」での生活が記されています。
元々はミクシィで日記としてUPされていたということです。
なのでフィクションのように大きなドラマがあるわけではありません。
いや、あるか。
最初に入居したときに男性だった人物が、2年後に女性になって戻ってくる。(笑)
ちょっと普通では出会えないシチュエーションですもんね。
しかしそれについて深く書くわけでもなく、淡々と日々を綴っておられます。
平成19年の春まで。
今もあるのでしょうか、「加寿子荘」
このようなアパートもいずれ確実になくなっていきます。
寂しいですね。
それにしても表紙の写真あざといなぁ。(笑)
ラベル:エッセイ
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2020年10月24日

「皿の上の人生」野地秩嘉

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本で飲食店を取り上げる場合、店なのか料理なのか料理人なのかという選択があります。
ガイドブックなんかは店ですよね。
週刊誌や月刊誌などは新店や話題の料理人の店を取り上げることで読者をつかみます。
料理専門誌ならまさしく料理ですよね。
例えば柴田書店の「専門料理」とか。
この本の著者はいろんなジャンルの職人を取材しておられる人です。
なので店でもなく料理でもなく、料理人にしっかりとスポットを当てて書かれています。
登場する料理人たちは16人。
ほとんどがスターシェフとかではなく一般的にはあまり知られていない人たちです。
ここに著者の見識を見ます。
有名な料理人や話題の店を追っかけて紹介記事を書いている(書かされている)ライターとは違い、ご自身のアンテナに触れた店の料理人をきっちり取材し紹介しておられる。
タイトルにあるように、料理人が皿の上に表現している人生を紹介しておられるんですよね。
ラベル:グルメ本
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2020年03月14日

「大衆食堂」野沢一馬

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大衆食堂。
なんていっても今の若い人たちにはわからない人が多いのでは。
だってもうそこらにないですから
看板に『めし・丼 一式』なんて書いてあって。
並んで『酒』なんて書いてあったりもします。
店に入ると安っぽいテーブルがいくつかあって。
近所の隠居したジイさんが昼間からビール飲んでたり、土方のオッサンらがガニ股でわしわしメシ食ってたり。
カウンターやケースの中にはいろんなおかずが並んでいて。
それを何品か取って「メシ大盛りな」なんてオカーチャンに注文して。
ああ、なんでこんな素晴らしい店がなくなりつつあるのか。
この本はいまだに営業しておられる(刊行は2002年)そんな貴重な大衆食堂を紹介しておられます。
東京限定ではありますが。
昔ながらの大衆食堂がなくなっていくのは、時代の流れといってしまえばそうなのかもしれません。
ファミレスやファーストフード、牛丼屋に比べたら、入りづらく割高なのかもしれません。
しかしこの本を見てみますと、この内容でこの値段? と安くてびっくりすることもあります。
で、若い人たちって、このような店で注文できないという話も書かれていました。
定食がなく自分でおかずを選ぶ店で、定食がないといわれると店を出る人もいるとか。
自分で選べないんですよと嘆く店主もいらっしゃいます。
これもファミレスやファーストフードのセットに慣れてしまっている弊害なんでしょうか。
いくらなんでもと思いますが、事実なんですよね。
でも大衆食堂、スタイルを変えて受け継がれてはいます。
『やよい軒』とか『大戸屋』とか『街かど屋』とか。
どれもチェーン店ですけどね。
昔ながらのオトーサンオカーサン経営の食堂はやはり消えていくんでしょうか。
寂しいです。
ラベル:グルメ本
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2019年10月26日

「ビートルズを呼んだ男 伝説の呼び屋・永島達司の生涯」野地秩嘉

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1950年代。
呼び屋といわれる人たちが現れます。
戦後の日本に海外の有名なミュージシャンなどを招聘した人たち。
今でいうプロモーターですね。
でも当時はそんなカタカナな言葉などなく、呼び屋という侮蔑的な意味も込めた言葉で呼ばれていました。
しかしそのような仕事に生涯を捧げ、世界中のミュージシャンから尊敬された人物がいました。
1966年にビートルズを来日させた男、永島達司です・・・・。
タイトルにもあるようにビートルズを来日させた人物の半生を描いたノンフィクションです。
内容としましてはビートルズの招聘がメインとなってはいますが、それまでの経歴がすごい。
本書ではまずジャズミュージシャンのジョージ・ルイスから始まります。
彼とのやりとりを読みますと、永島の真摯な姿勢がわかりますし、それに応えるジョージ・ルイスの人物もまたいい。
その後関わった有名ミュージシャンは数知れず。
巻頭にはビートルズの貴重な写真が掲載されていますし、マイケル・ジャクソンやエルトン・ジョンとの写真もあります。
そのビートルズですが、当然当時の呼び屋たちは彼らを狙っていました。
世界的なスーパースターですから。
そんなビートルズであったにも関わらず永島は食指を動かさなかったのですが、向こうから話が来たんですね。
日本でコンサートをやりたいと。
永島、やってくれないかと。
いかに永島が信頼されていたかということですよね。
しかし永島はこの話を断ろうと思っていたそうです。
このあたりのエピソードもまた永島の人物がよく描かれていると思います。
永島達司という人、実に真摯で紳士な人物だったのですね。
当時としては、いや現在でもちょっと日本人離れした感性の持ち主だったようです。
そんな永島達司という人物、そして日本の音楽興行の変遷、その舞台裏、そういったことが記された資料的な価値もある一冊かと思います。
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2019年09月06日

「舞面真面とお面の女」野崎まど

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叔父から頼みごとをされた大学院生の舞面真面(まいつらまとも)。
山奥の邸宅を訪問します。
頼み事とは、真面からすれば曽祖父で舞面財閥を築いた舞面彼面の遺言を解明することでした。
『箱を解き 石を解き 面を解け』という遺言を解き明かすべく叔父の娘である従妹の水面と一緒に二人は調査を始めるのですが、得体のしれないお面を被った少女が現れて・・・・。
とにかく名前がややこしい。
主人公は真面でヒロインは水面。
叔父は影面で曽祖父は彼面。
頭がこんがらがります。(笑)
曽祖父の残した遺言の意味はなんなのか。
そしていつもお面を被っている少女の正体は。
横溝正史をライトにしたようなミステリーですね。
ただ私には最後の展開がよく理解できませんでした。
面がなぜ人を渡り歩くのか。
なぜ、どのようないきさつで他の女性に運ばれたのか。
そのあたりがちょっと唐突で首をかしげてしまいました。
ラベル:小説
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