2020年10月28日

「イギリスはおいしい」林望

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イギリスの料理がまずいというのはよくいわれることで、半ば常識といっていいような風潮です。
実際にどうなのかと。
イギリス贔屓のリンボウ先生が検証(?)します・・・・。
ま、ざっくりと言いますと、やはりまずいようです。(笑)
「塩気についての感覚が鈍い」と書いておられます。
やはり味の決め手は塩加減ですからね。
日本には塩梅なんて言葉もあるくらいです。
これが鈍くてはどうしようもない。
またテクスチュア。
食感ですね。
例えば野菜なんかクタクタになるまで煮込んでしまう。
これは一昔前のフランスでもそうだったんじゃないでしょうかね。
和食では例えばインゲンなんか緑鮮やかに色を映えさせ、シャキシャキした食感を残すよう仕上げます。
クタクタに煮てしまっては台無しです。
そういう感覚が向こうにはない。
たしかに料理はまずいのですが、素材は決して悪くないといいます。
コックスというリンゴなど素晴らしいようですね。
そんな調子でイギリスの食についていいところ悪いところいろいろと紹介しておられます。
スコンの美味しさとか。
ちょっと感動したのが著者が結婚式に招待される話。
たまたまホテルのラウンジでお茶を飲んでいたところに出会った中年夫婦。
いろいろ話していると、娘が近々結婚するとのことで、よければ結婚式に来て下さいませんかと。
著者は冗談だと思ったようですが、半月ほどして招待状が届きます。
出席した著者は歓待されます。
日本の感覚ではあり得ないですよね。
見ず知らずのたまたまお茶で同席しただけの外国人を娘の結婚式に招待するなんて。
これ日本なら「なんで外人が?」、「あの人何者?」なんてあちこちで囁かれそうです。
ところが招待した中年夫婦はもちろん、皆が当たり前のように受け入れる。
教会での式のあと、披露宴はプレハブ小屋のような殺風景なクラブハウスだったそうです。
床のタイルも所々剥がれたりしているような。
しかしそこには何日も前から準備した新婦の母親の心づくしの手料理がテーブルの上に所狭しと。
実にいい結婚式、披露宴で、「自分の娘の結婚式もこうありたいものだと思わずにいられなかった」と結んでおられます。
ですよねぇ。
ホテルなんかでの派手でくだらない演出、金にもの言わせた割には大したことない料理。
両親や友人たちによる手作りの料理や真心にはかないませんよね。
ラベル:グルメ本
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2020年08月12日

「最終便に間に合えば」林真理子

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5編収録の短編集。
表題作はフラワーアレンジャーの女性が主人公です。
鳥の羽と粘土を組み合わせて作る造花のアーティスト。
OLからの華々しい転身としてマスコミにも紹介され、地方で講演などもし、そこそこ名も売れた美登里。
札幌で講師をするセミナーを終え、ふと昔付き合っていた男、長原がこちらにいるのを思い出します。
いや、札幌でのセミナー講師という仕事が決まった時点で長原のことは意識していました。
連絡を取り、会って食事する美登里と長原。
東京に戻る飛行機の最終便を意識しながら、食事中、そしてタクシーの中でと男と女の駆け引きが展開されます・・・・。
相変わらず女の本音を赤裸々に書いておられますね。
見栄もそうですし、性欲さえも。
恋愛小説を書く女性作家はたくさんいらっしゃるのですが、このあたりが他の作家とは違うんですよねぇ。
もちろん他の女性作家もそのようなことは書いておられるのですけど、等身大でないような気がするのですね。
例えば嫉妬の感情にしても、料理に例えましたら他の作家はレシピ通りの味付けなのですが、この作者は「えっ、そんな味付けもあったの!?」という書き方をされます。
でもそれはごく普通に誰もが思う(であろう)感情なんですよね。
他の女性作家が遠慮してしまうようなことを、恥じずに偽らずに書いておられる。
例えが悪いですが、男性の前で清楚に振舞っているのも女性なら、その同じ女性が自分の部屋ではパンツ一丁であぐらをかき、鏡見ながらムダ毛を処理したりしている。(ちなみに本作にそのような描写はありません。念のため。笑)
極端で品のない例えですけど。
この作者はあえて後者を書きます。
本来なら女性が男性に見せたくない(読ませたくない)部分です。
他の女性作家が突っ込めなかった部分を描いて、同性からの支持を得たのですね。
で、表題作ですが、まさしく昔の男に対しての女の見栄、くすぐられて揺らぐ気持ち、性欲など、しっかりと駆け引きの中で描いておられるなと思いました。
ラベル:小説
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2020年07月22日

「アイビー・ハウス」原田ひ香

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2世帯住宅を共同購入し、2組の夫婦が生活を始めます。
夫同士は大学時代の親友、妻同士は昔務めていた会社の先輩後輩という仲です。
蔦の絡まる赤レンガのその家をアイビー・ハウスと名付け、2組の夫婦の共同生活は順調にスタートします。
なにもかもが楽しい毎日。
ですがある日、若い女がタクシーを乗り付け一方の奥さんを訪ねてきます。
この女は何者なのか。
夫の愛人?
これをきっかけに2組の夫婦の共同生活が微妙に狂い始めます・・・・。
2世帯住宅とはいえ、ひとつ屋根の下で親子でも親類でもない夫婦が共同生活するというのに無理がありますよね。
現実としてもちろんそうなのですが、小説としてもやはりそのような結末を描いておられます。
で、この作品は単純に夫婦×夫婦だけではなく、当然それぞれの夫にも妻にも考えがあるわけで。
夫同士は大学時代のからの親友ですが、いまや考えに大きな違いがあります。
そして妻たちは夫の考えにズレを感じはじめます。
少しずつ共同生活の崩壊、夫婦生活の破綻が描かれているんですね。
私など絶対にこんな生活嫌ですけどね。
親友やら先輩後輩の間柄とはいえ、2世帯住宅での共同生活。
ぞっとします。
なので私からしたら設定自体あり得ないのですが、そこはまあ小説ですし、現実にも似たような生活もあるかと思います。
あえてそのような設定を舞台にし、作者なりの答えを出してみたのでしょう。
夫婦なんてのは単なる単位なんですよね。
血のつながりもなく結局は他人です。
ましてや夫婦単位の共同生活。
それらが噛み合わなくなるのは当たり前のことで。
このような生活が楽しく永遠に続くなんてのはありえません。
また誰の考えが正解かなんてのも断言できませんよね。
ラベル:小説
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2020年05月13日

「ランウェイ・ビート」原田マハ

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ある日転校してきた溝呂木美糸。
通称ビート。
身長150cmと小柄ですがとてもおしゃれな男子高校生です。
そんなビートがいじめられっ子の犬田ことワンダに目をつけ、おしゃれでイケメンに仕立てます。
やがて皆ビートに刺激され、ファッションショーを開き、ブランドまで立ち上げようとするのですが・・・・。
途中までは「野ブタ。をプロデュース」的な話ですね。
ですが、ひどい。(笑)
むちゃくちゃです。
まずどのキャラも変貌しすぎ。
いくらなんでもワンダが見た目だけでなくそこまで性格変わらんだろうと。
ワンダをいじめていたミキティにしても。
途中から出てくるデザイナーのミナモにしても、最初のクールさはどこにいったのか。
で、語り手が何回か変わるのもどうも落ち着きません。
主人公が高校生たち、そしてケータイサイトに連載されていたせいかちょっと軽くおちゃらけた文体なのですが、これも無理があります。
角田光代唯川恵がジュニア小説を書いていたころのような小っ恥ずかしさですね。
まあ皆で一丸となって大きなものに立ち向かっていく、自分たちが変えていくんだ、というその熱さは伝わりましたが。
ラベル:小説
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2020年05月03日

「パラダイス山元の飛行機の乗り方」パラダイス山元

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いろいろな肩書を持つ著者。
本職はミュージシャンだというまことしやかな噂もありますが、定かではありません。
だって会員制餃子店のオーナーとして餃子を焼きまくり、マン盆栽の家元を務め、アジアで唯一の公認サンタクロースとして毎年世界サンタクロース会議に出席し、1日に何度も飛行機に搭乗しCAの皆さんから「お帰りなさいませ」と言われるような人ですよ。
どこに音楽をやる時間があるというのか。(笑)
その飛行機ですが、とにかく著者の乗りっぷりが凄まじい。
例えば1日で『羽田-伊丹-高知-伊丹-福岡-五島福江-福岡-対馬-福岡-羽田-千歳-羽田』なんてことをやってのけます。
そりゃCAさんも「お帰りなさいませ」と言うでしょう。
無理矢理笑顔を貼りつかせて。(笑)
あるいは羽田から名古屋に行くのに『羽田-福岡-名古屋』なんてのは序の口。
これが福岡ではなく沖縄だったり札幌だったり、なんと外国で香港だったり、挙句の果てはフランクフルト経由・・・・。
東京から名古屋に行くのに何故ドイツなのか。
とまあ、こんな調子で搭乗履歴だけではなく、機内サービスやいろんな裏技(?)を惜しげもなく披露しておられます。
濃い。
面白すぎます、山元さん。
さすがにこれだけ飛行機に乗っていると、家族に宛てた遺書を書くほどのトラブルも体験したとか。
その遺書の中身も公開されています。
もちろん結果はご無事でなにより。
さすがに私はこのようなことができるお金も時間もありませんが、飛行機に乗るという行為には憧れますね。
というか、私にとっては飛行機に乗るなんてイベントですよ。
実際いままでに乗った回数なんて両手で足りるんじゃないですかね。
外国に行ったこともありますが、もちろんエコノミー。
ちょっと前に地元の空港にぶらっと見学に出かけました。
別に旅行に行くわけでもないのに、国際線のターミナルなんか歩くとウキウキしますね。
「おお、○時○分はロサンゼルスに行くぞ」とか「うぉっ、△時△分はパリだぞ、おい」とか。
自分には何の関係もないんですけどね。(悲)
展望台で飛行機の離着陸の様子を見て子供のようにはしゃいでしまいました。
運よくジャンボも見れました。
その大きさに改めて感動。
やっぱり男子はいくつになっても飛行機が好きなんですよ。
ラベル:エッセイ
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