2017年12月28日

「藤田嗣治 手しごとの家」林洋子

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日本人の美術家で初めて国際的な成功をおさめたといわれる藤田嗣治。
この本ではパリ郊外にある藤田晩年の家を訪れ、藤田が手元に置いて愛していた様々なコレクションを紹介しています。
まず藤田嗣治といえば個性的なルックスですよね。
おかっぱ頭に丸メガネ、ちょびヒゲ。
かなりインパクトがあります。(笑)
そして仕事の内容も実に個性的。
絵だけではなく、身の周りのいろんなものを手作りしてきました。
ミシンを使って普段着を作ったり、自分の家のドールハウスを作ったり。
大工仕事で額縁を作ったり。
写真にも凝っており、発売されたライカをいち早く購入。
その腕前は玄人はだしだったとか。
またパリの蚤の市などでさまざまな物を購入、収集していました。
それらで飾られたインテリアは独特の感性です。
そんな藤田の行動や仕事ぶりが豊富なカラー写真で紹介されています。
たっぷりと楽しめる一冊でした。
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2017年11月06日

「寂花の雫」花房観音

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交通事故で父と夫を失くした36歳の平本珠子は、京都の大原で一日一組しか客をとらない民宿を営んでいます。
女ひとり、隠棲しているかのような生活です。
そんな珠子の民宿にカップルが訪れます。
ですが喧嘩して女は帰ってしまい、ひとり残った男の名は羽賀九郎。
羽賀は珠子に大原を案内してくれるよう頼みます。
翌日、出かけた音無の滝で羽賀に引き寄せられた珠子は口づけをされ・・・・。
京都大原を舞台に、世捨て人のような生活をしている珠子の愛と性、そして人生が描かれています。
なぜ珠子はこのような生活をしているのか。
どのような思いで日々過ごしているのか。
そんな暮らしに羽賀という男が現れ、心をかき乱され。
珠子はそれをきっかけに何を感じ、どこへ向かうことになるのか・・・・。
いちおう性愛小説ということで、そちら方面の描写も多くはありませんがしっかりと。(笑)
やはり舞台がいいですね。
これがビルの林立する都会だと味もしゃしゃりもない。
ま、それはそれでアーバンな男女が描けるでしょうけど。
京都は作者の地元ということもあるかもしれませんが、これはやはり舞台設定の勝利ですかね。
ラベル:小説
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2017年09月27日

「まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ ~食品編その2~」初見健一

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「まだある」昔懐かしい商品を紹介したシリーズ第2弾。
表紙の写真のバヤリースオレンジ。
今はジュースといえばペットボトルですが、昔はコーラもサイダーもビンでした。
まだあるんですねぇ、ビン入りバヤリース。
ボンカレーは松山容子のパッケージ。
これは沖縄限定としていまだに販売されているそうです。
エースコックのワンタンメンですが、スープが松茸風味だとは知りませんでした。
さっそく購入して食べてみましたが松茸の風味は感じられず。
成分表示にもそのような記載はありませんでしたが・・・・?
その他いろいろ懐かしい食品が紹介されています。
そういえば明治のカールが東日本で発売中止になるというニュースはつい最近のこと。
西日本では残るもののカレー味がなくなるそうです。
こうやって昔からある商品がだんだんと消えていくんですねぇ。
明治の人がインタビューで語ってましたが、皆さん惜しんでくれる割にはたいして買ってくれていないそうです。
残念だなんだ言う人は多数いますが、そう言いながらおまえが買わないからこんなことになるんだろうと。(笑)
贔屓の商品は大事にしていきたいですね。
ラベル:グルメ本
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2017年07月19日

「走ル」羽田圭介

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本田は陸上部に所属する高校2年生。
ある日、自宅の物置に放置されていたロードレーサーを引っ張り出し、分解されていたそれを手入れし組み立て、いつもは電車通学している学校に乗っていきます。
陸上部の朝練で皆が皇居の周りを走っている中、もう3年生が抜けていないのをいいことに一人自転車で参加。
休憩時に皆のジュースを買いに行くため練習を抜けたのですが、なんとなくそのまま授業をさぼって国道4号線を北上。
1時間目だけさぼるつもりが宇都宮市を目指して走り始めます。
しかしそれだけでは済まず、福島、山形、秋田、青森と、野宿し、友人や彼女にメールを送りながらどんどん北上を続け・・・・。
自転車小説といいましょうか、青春冒険小説といいましょうか。
いやあ、ただひたすら自転車で走るというそれだけで一冊の小説になるんですね。
ロードレース用の自転車を扱った小説というと例えば「サクリファイス」シリーズのように当然ロードレースというジャンルを思い浮かべますが、これはひたすら国道を走り続けるんですね。
ライバルと競争するわけでもない。
自分との闘いなどという大げさなものでもない。
旅をしながらメールでのやりとりはありますが、途中で誰かと知り合ったりするわけでもなく登場人物はほとんどいない。
ひたすら走るという行為にストイックさは感じますが、求道的ではありません。
走るのを終えて主人公が何かを得たという示唆もありません。
まさに「走ル」小説です。
ラベル:小説
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2017年06月15日

「さいはての彼女」原田マハ

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表題作他3編収録。
鈴木涼香は25歳で会社を起こし、10年経った今は社員100人を抱え六本木ヒルズに本社を構える社長です。
IT企業の若きイケメン社長と恋をしのめり込んだものの、浮気を警戒して監視しすぎ、気配があるとすぐにキレ、そのキレ癖が怖いと逃げられてしまいました。
失恋を癒すために仕事に没頭してキレ癖はいっそうひどくなり、有能な秘書や重要なスタッフにも去られてしまいます。
秘書に最後の仕事として沖縄での夏のバカンスを手配させるのですが、なぜか着いた先は北海道の女満別。
そこでハーレーに乗る凪という若い女の子と出会うことになり・・・・。
仕事バリバリのキャリアウーマンがまったく別世界の人たちや景色と出会い、だんだんと心が癒されほぐされていく様が描かれています。
ちょっとラノベっぽい甘さもありますけど、清々しい読後感です。(さいはての彼女)
「旅をあきらめた友と、その母への手紙」もやはり女性の一人旅の話。
一緒に旅行できなかった友人と旅先からメールのやり取りをしつつ、自分を見つめなおし新たに視界が開けていきます。
「冬空のクレーン」も表題作と同じくキャリアな女性が主人公。
都市開発の会社で課長補佐を務め、1000万近い年収がある35歳の志保。
会議の席上で男性の部下を叱ったところ突如部下は大声で泣きだし、会議室を出ていきます。
その後彼は会社を休み、名誉棄損で会社を訴えると弁護士を通じて連絡してきたのです。
課長からは会社のために謝ってくれといわれ、社長直々にも咎められます。
頭にきた志保は、自分が折れるいわれはないと1ヶ月の有給休暇を会社に送りつけ、釧路に旅行に出かけます。
自分がいなければさぞかし仕事も大変なことになっているだろうと思いきや、メールも携帯も静まり返ったまま。
逆に不安になった志保は同僚に電話してみるのですが、たいした影響もなく仕事は動いています。
自分は大きなプロジェクトを動かしている重要な歯車だと思っていたのですが、抜けたところでいくらでも代用のあるネジだったことに気づきます・・・・。
これもまあ自然の景色の中で自分を見つめ直す物語ですね。
最後の「風を止めないで」は「さいはての彼女」に出てきた凪の母親の物語。
亡くなった凪の父親や子供の頃の凪を読みつつ、夫婦や親子の愛がじんわりと染み入ります。
新しい1歩を踏み出す女性たちを描いた短編集、といったところでしょうか。
ラベル:小説
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