2017年01月28日

「フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人」速水健朗

CIMG2997.JPG
「普段どんなものを食べているのか言ってみなさい。あなたがどんな人間か言い当ててみせよう」
言い回しはいろいろと違いますが、「美味礼賛」という書物を著したフランスの食通ブリア・サヴァランがそのような言葉を残しています。
食の嗜好によって人間性がわかるということですね。
食を二極分化しますと、ファストフードやデカ盛りなどのジャンク志向と、スローフードやマクロビオティックといった自然志向に分かれます。
たしかに食の嗜好でその人の思想はわかりますよねぇ。
やはりオーガニックなどにこだわる人は自身の健康に気を付けているでしょうし、多少なりとも環境問題にも関心を持っているでしょう。
ジャンクフード好きな人はそんなことあまり考えてない。(笑)
本書では自然食志向の人たちをフード左翼と位置付け、ジャンク志向の人たちをフード右翼と位置付けています。
それらの層は政治に関してどのような思想を持っているのか。
面白い分析だと思います。
食の志向によってそれが多数となれば政治を動かすことにも成り得るわけで、つまり消費選択による意志表示ですね。
消費者が企業を動かし、そうなると社会が動く。
政治もそれを無視することはできません。
選挙の一票よりもこちらの意思表示のほうが効いてくる可能性もあります。
そういう意味ではこの本でいうフード左翼な人たちがやはり社会に物申すわけですが、必ずしもオーガニックや有機農業がいいというわけでもないんですね。
単純に農薬が悪というわけにはいかないと。
有機農業は効率ということを考えると一部の人たちを自己満足させるものでしかないという理論も成り立つということです。
それ100%で世界中の食糧を賄えるのかと。
裕福でない人も手を出せるのかと。
そして遺伝子組み換え作物についても。
反対する人も多いわけですが、本当に危険なのかという議論と立証も必要です。
ただ気分的には口にしたくないですけどね。
自然で安全で、それで世界中の食糧事情が解決できればいちばん理想なんでしょうけど。
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月24日

「沿線風景」原武史

CIMG2999.JPG
鉄道やバスに乗り、いろいろな土地に出かけ、その土地の歴史や風景や食を楽しみつつ、関連した書物について語る。
のどかな書評エッセイです。
ですが書評や食についてはさほど深く書いているわけではないので、近場の旅エッセイといったところですかね。
ついでに書評や食に触れている感じ。
旅というとやはり遠出をイメージするわけですが、意外と身近にもいろいろと見るべき場所があったりするわけで。
どうしても地元や近辺には目が向かなかったりします。
でも自分の近所は他人の遠方だったりしますからね。
そう考えると近所だからと見過ごすのはもったいない話です。
日頃乗っている電車の通過駅で降りてみるというのもいいかもしれません。
その土地にまつわる書物なんかがあったら尚いいですね。
なんでもないと思っていた街がぐっと立ち上がってきたりして。
そして地元で長年愛されているような食堂にぶらっと入ってみたりして。
こういうのって実はすごく贅沢ですよね。
なかなか気まぐれに知らない土地にぶらっと出かけたりはできません。
時間と精神的な余裕がありませんと。
この本を読みまして、そんな休日を過ごしてみたいな、なんて思いました。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月22日

「六人いた!写楽 歌麿と蔦屋がプロデュースした浮世絵軍団」橋本直樹

CIMG3000.JPG
寛政6年(1794年)5月に突如現れ、寛政7年2月までのあいだに140枚ほどの作品を残し消え去った浮世絵師、東洲斎写楽。
その正体はいまだ謎に包まれています。
いろんな人が研究をしておられますが、現在ではその正体は能役者の斎藤十郎兵衛であったというのが有力視されているようです。
ですがこの本ではなんと写楽は六人いたと主張しておられます。
興味あるではないですか。
ということでワクワクしながら読んでみたのですが・・・・。
う~ん、これ、もしかしてトンデモ本では。(笑)
最初はまあよかったんですけど。
でも読み進めるにつれ、かなり無理のあるこじつけ的な解釈をしておられるように思えました。
そして主張が二転三転するのも落ち着きないですし、それって著者の中で確信がなく迷いがあるということなのか、もったいぶった演出なのか。
で、結局はタイトルの主張に落ち着くわけですが、巻末に補遺を添え、おまけにまだ補足説明まで添えておられます。
なんといいますか、著者は相当くどい人のようです。
内容も支離滅裂とまではいいませんけども、ちょっとイタイですね。
まあこれはこれでひとつの説ではあるでしょうけど。
真実は藪の中ですが、もしかしたらこの本の主張がズバリ的中しているかもしれません。
かなり苦しいですが。(笑)
ちなみにNHKのドキュメンタリーで写楽の特集をやっていましたが、女性の研究家が写楽を検証しておられました。
その人は能に目を付けておられまして、写楽の描く役者の顔が能面に分類できるというんですね。
これはなるほどと思いました。
かなり説得力がありましたね。
そうなると能役者であった斎藤十郎兵衛がやはり有力に思えてきます。
しかし短い期間でまるで別人のように変わる作風や落款の違いなどを見ますと、複数説もありのような・・・・。
興味が尽きませんね。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月10日

「こたつ」原宏一

CIMG3006.JPG
美津子にプロポーズした“おれ”。
しかし美津子は黙り込んでしまいます。
ようやく口を開いて出てきた言葉は「むずかしい家なのよ、うちって」。
実は美津子は全国的にも名の知れた由緒正しい家元のお嬢様だというのです。
詳しく訊いてみると、なんと実家は『こたつ道』の総本家とのこと。
大事な跡取り娘であるからして、結婚相手は家元が認めた師範級の人物でなければならないのです。
『こたつ道』がどのようなものかわからないおれですが、勢いでおまえと一緒になるためなら師範になってやると宣言します。
そしてこたつ修行が始まるのですが・・・・。
作者の原宏一氏といえば、購入したマイホームの床下に仙人のような風貌をした男が住居を作って住み着いていたという「床下仙人」や、ファミレスなどに押され寂れていく一方の大衆食堂業界が起死回生策としてかつ丼推進キャンペーンを企画する「かつどん協議会」など、ユニークな設定が持ち味の作家さんです。
今回は『こたつ道』。
これがまたしっかりと作法のディティールが作り込まれているんですね。(笑)
『片手三寸足払い』、『序寒』、『火くべ』、『掛け』、『入り』、『呆』、『悦』、『抜き』・・・・。
華道や茶道のように、本当にこのような伝統芸道があるのかと思わせられます。
話もドタバタに展開するわけではないので、妙なリアリティがあるんですよね。
そのぶん小じんまりとした印象で突き抜け感はありませんが、もちろんベクトルはそちら方面ではありませんのでこれで結構。
他、関東のはずれにある港町の町長が町のハリウッド化をぶち上げる「町営ハリウッドムービー」が収録されています。
ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月19日

「まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ ~食品編~」初見健一

CIMG2963.JPG
昔懐かしく今も“まだある”食品をオールカラーで紹介したカタログ的な一冊。
表紙にもその一部の商品の写真があります。
チェリオやメロンシャーベットなんて子供の頃よく買いました。
この本の発行は2005年。
今から10年以上前になりますので、この頃は“まだある”商品も現在は製造中止になってしまったものもあるでしょう。
表紙にもあるカルミンなんかそうですね。
2015年で生産終了。
今でいうフリスクみたいなものでした。
あれほど刺激は強くありませんけど。
ちなみにカルミンとはカルシウム+ミントのことだとか。
カルシウム補給のサプリメントでもあったわけです。
その他、サクマ式ドロップス、サイコロキャラメル、パラソルチョコレート、クッピーラムネ、チャオ、シャービック、パレード、純露、などなど・・・・。
商品自体もそうですが、コマーシャルもまた懐かしく思い出します。
特に歌ですね。
マーブルチョコレートの「マーブルマーブルマーブルマーブルマーブルチョコレート♪」だとか、パラソルチョコレートの「トーレコチョ♪トーレコチョ♪」だとか。
この本でも触れられていますけども、東ハトのCMソングが秀逸。
オールレーズンのノスタルジックなメロディーなんかいいじゃないですか。
新商品がどんどん出てきて、いつのまにやら「あの商品はどこにいった?」というのが珍しくありません。
今のうちにしっかりと楽しんでおくべきか。(笑)
ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする