2020年12月20日

「ラグジュアリーな恋人」日向唯稀

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伊藤明日香は一流ホテルの宴会課に勤めています。
メインホールでの結婚披露宴の配膳や進行が主な仕事。
副支配人で仕事に厳しい東宮貴道に憧れを持っています。
洋室の担当から和室の担当へ異動になったのが貴道と急接近するきっかけとなりました。
それは嬉しいのですが、和室に元々いた社員が明日香のことを気に入らず、なにかと足を引っ張るような行動を起こします。
披露宴で大きなミスなど起こしたら、新郎新婦にとって一生の汚点となってしまいます。
新しい部署で明日香は何事もなく仕事をこなしていけるのか。
そして貴道との恋の行方は・・・・。
恋愛小説であるのはもちろんですが、お仕事小説としても読めますね。
作者はホテルの宴会課の仕事についてもよくご存じのようです。
なので仕事の描写にしっかりしたものを感じます。
そのような仕事の経験がおありなんですかね。
恋愛については高根の花だと思っていた男性がいきなり自分のような女性を選ぶなんて、というお決まりのパターン。
ま、これはエタニティシリーズの定番ですからどうこういってもしょうがない。
というかそれを楽しむために読むわけですが。
なかなか読み応えを感じることができました。
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2020年10月01日

「愛を振り込む」蛭田亜紗子

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6編収録プラスエピローグの短編集です。
表題作の「愛を振り込む」。
主人公の穂乃花はあるブログの更新を毎日チェックしています。
メンヘラな男性のブログなのですが、当然そこにはネガティブなことしか書かれていません。
なかなか更新されないのですが、更新があれば1000円振り込むことにしています。
この主人公、桜井穂乃花というマンガやアニメのヒロインのような名前ですが、ルックスはかなり強烈らしく、「妖怪、油粘土、瘤取りババア、ヘドロ、酢豚、ゾンビ、吐瀉物ちゃん」などなど過去にいろんなあだ名をつけられています。
しかも過去に出張ホストに入れあげて会社の金を横領し、800万円もつぎ込んで留置場に入った“前科者”です。
現在は弁当を作る工場で働き、ブログの彼にお金を振り込むことが心の支えとなっています。
客観的に見るとバカな女なんですよね。
でも健気。
会社の金を横領して健気もないでしょうけど。(笑)
他の収録作もそうなんですけど、どれも人生を謳歌しているとは言い難い女性たちが主人公です。
むしろマイナスに針が振れている人たち。
皆鬱屈を抱えてるんですよね。
さまざまなタイプといいますか事情を抱えた女性たちが登場するのですが、これ、読んでいて誰もがどの人物かには心当たりを感じるんじゃないでしょうか。
女性に限らず男性も。
この短編集、それぞれの話にほとんど繋がりはないのですが、1枚の千円札がずっと各作品内のあいだで彷徨しています。
なんだかんだ、やはり人の行動は金とは切り離せないんですねぇ・・・・。
ラベル:小説
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2020年04月05日

「忙しい日でも、おなかは空く。」平松洋子

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写真とレシピ付きの食エッセイです。
店の食べ歩きでなく、高級な珍味の披露でもなく。
ごく普通の素材を使った料理がエッセイとして紹介されています。
例えば最初に紹介されているのが「塩トマト」。
その名の通り塩とトマトだけの料理です。
レシピは、
①トマトをくし型に切ってボウルに入れ、ふたつまみの塩を振りかける。
②少し揺すりながらよく混ぜ合わせ、10分ほどそのまま置く。
以上です。
なんとシンプル。
著者曰く、「ただそれだけのことなのだが、切ったトマトに塩をかけたものとあらかじめ塩をなじませたトマトの味は、まったく別物だ」とのこと。
私はまだ試していないんですけど、そうですね、普通トマトを塩で食べる場合、塩をかけながら丸かじりします。
あるいは切ったトマトを食べる寸前にパラパラと塩を振って食べますね。
10分置く。
そういう手もありましたか。
あるいは「干物サラダ」。
あじの干物を焼いてほぐし、4~5センチに切った三つ葉の上に乗せ、炒りごまとすだちの絞り汁をかける。
ベーコンやハムのサラダなんてありますが、それを干物に置き換えています。
サラダに干物を使うという発想はなかなか無いですね。
私は生野菜にじゃこをかけてポン酢で食べるというのが定番ですけども。
料理以外にも、もちろん道具についても書いておられます。
片口、土鍋、急須など。
うん、決してブランドとかではなく、自分の好み、価値観、使い勝手の良さで道具は決めたいものですね。
ラベル:グルメ本
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2020年02月21日

「湘南シェアハウス」広谷鏡子

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小説家の夏都は50歳。
立て続けに両親を亡くします。
その結果、母が祖母から譲り受けていた江ノ島の古いアパートを相続することになります。
夏都にも祖母との思い出のある敷地に建てたアパートです。
飲みながらその話を聞いた夏都の担当編集者であり親友でもある紀世子が、酔った勢いでそのアパートをリフォームしてシェアハウスにしてはと提案します。
最初は酒の席のノリ的な話だったのですが、だんだんと話が現実化していきます。
徐々に入居するメンバーも決まってきます。
紀世子はもちろん、夏都が通っていたストレッチ教室の講師である北尾アリサ、夏都の大ファンである75歳の田所史子、元ルポライターで現在は女子大の准教授の栗田真代。
年齢もそれまで過ごしてきた環境も違う妙齢の女性5人の生活が始まります・・・・。
作者は以前に「花狂い」という作品で、初老の主婦の恋愛や自立、アイデンティティを描いておられました。
本作ではそれをもっと多人数で展開しておられます。
それぞれいろんな事情を持った5人の女性。
ぶつかり合うこともあるのですが、解り合えるのはやはり男性よりも女性同士なんだよというメッセージがあります。
つまらない男と一緒にいるより、基本的な考えを同じくする女性同士のほうがよほどいいと。
ちなみに史子が読んで感動したという夏都の小説のモデルが「花狂い」なんですよね。
メタフィクション的な構成です。
なのでこの作品は「花狂い」の発展形ともいえます。
しかしこういうのを読ませられますと、女性というのは男性よりもずっとシビアで現実的だなとあらためて思います。
いざ冷酷なのは女性です。
男性の甘さ暢気さをひしひしと思います。(笑)
ラベル:小説
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2020年01月06日

「H(アッシュ)」姫野カオルコ

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10編収録の短編集です。
アパートの壁に穴を開け、隣の空室を覗き続ける男性。
その空室に女性が入居してきます。
セックスなどしそうもない清楚な雰囲気の女性です。
男は勝手に彼女を菜穂子と名付け、覗き続けます。
しかしそこに中年男がやって来て、嫌がる彼女を無理やり・・・・。(エンドレス・ラブ)
自分の店を持つことを夢見ている女性美容師のもとに客としてやって来る友人のミア。
主婦で子供もいて飲食店でパートをしているくせに肩書が『舞台人』な女。
白塗りしてわけのわからないのセリフと踊りを演じているだけの自己満足なショウをやっているだけの女。
そんなミアが大嫌い・・・・。(鞄の中の妖精)
などなど。
う~ん、なんといいますか、収録作すべてではありませんが、けっこうバカエロですね。(笑)
「正調・H物語」は平家物語のポルノ仕立てのパロディですし。
そのあたりのバカバカしさは森奈津子に似たものがあります。
まあ楽しめましたけど、なんだかあと一歩な感の作品集でした。
ラベル:小説
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