2020年04月05日

「忙しい日でも、おなかは空く。」平松洋子

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写真とレシピ付きの食エッセイです。
店の食べ歩きでなく、高級な珍味の披露でもなく。
ごく普通の素材を使った料理がエッセイとして紹介されています。
例えば最初に紹介されているのが「塩トマト」。
その名の通り塩とトマトだけの料理です。
レシピは、
①トマトをくし型に切ってボウルに入れ、ふたつまみの塩を振りかける。
②少し揺すりながらよく混ぜ合わせ、10分ほどそのまま置く。
以上です。
なんとシンプル。
著者曰く、「ただそれだけのことなのだが、切ったトマトに塩をかけたものとあらかじめ塩をなじませたトマトの味は、まったく別物だ」とのこと。
私はまだ試していないんですけど、そうですね、普通トマトを塩で食べる場合、塩をかけながら丸かじりします。
あるいは切ったトマトを食べる寸前にパラパラと塩を振って食べますね。
10分置く。
そういう手もありましたか。
あるいは「干物サラダ」。
あじの干物を焼いてほぐし、4~5センチに切った三つ葉の上に乗せ、炒りごまとすだちの絞り汁をかける。
ベーコンやハムのサラダなんてありますが、それを干物に置き換えています。
サラダに干物を使うという発想はなかなか無いですね。
私は生野菜にじゃこをかけてポン酢で食べるというのが定番ですけども。
料理以外にも、もちろん道具についても書いておられます。
片口、土鍋、急須など。
うん、決してブランドとかではなく、自分の好み、価値観、使い勝手の良さで道具は決めたいものですね。
ラベル:グルメ本
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2020年02月21日

「湘南シェアハウス」広谷鏡子

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小説家の夏都は50歳。
立て続けに両親を亡くします。
その結果、母が祖母から譲り受けていた江ノ島の古いアパートを相続することになります。
夏都にも祖母との思い出のある敷地に建てたアパートです。
飲みながらその話を聞いた夏都の担当編集者であり親友でもある紀世子が、酔った勢いでそのアパートをリフォームしてシェアハウスにしてはと提案します。
最初は酒の席のノリ的な話だったのですが、だんだんと話が現実化していきます。
徐々に入居するメンバーも決まってきます。
紀世子はもちろん、夏都が通っていたストレッチ教室の講師である北尾アリサ、夏都の大ファンである75歳の田所史子、元ルポライターで現在は女子大の准教授の栗田真代。
年齢もそれまで過ごしてきた環境も違う妙齢の女性5人の生活が始まります・・・・。
作者は以前に「花狂い」という作品で、初老の主婦の恋愛や自立、アイデンティティを描いておられました。
本作ではそれをもっと多人数で展開しておられます。
それぞれいろんな事情を持った5人の女性。
ぶつかり合うこともあるのですが、解り合えるのはやはり男性よりも女性同士なんだよというメッセージがあります。
つまらない男と一緒にいるより、基本的な考えを同じくする女性同士のほうがよほどいいと。
ちなみに史子が読んで感動したという夏都の小説のモデルが「花狂い」なんですよね。
メタフィクション的な構成です。
なのでこの作品は「花狂い」の発展形ともいえます。
しかしこういうのを読ませられますと、女性というのは男性よりもずっとシビアで現実的だなとあらためて思います。
いざ冷酷なのは女性です。
男性の甘さ暢気さをひしひしと思います。(笑)
ラベル:小説
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2020年01月06日

「H(アッシュ)」姫野カオルコ

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10編収録の短編集です。
アパートの壁に穴を開け、隣の空室を覗き続ける男性。
その空室に女性が入居してきます。
セックスなどしそうもない清楚な雰囲気の女性です。
男は勝手に彼女を菜穂子と名付け、覗き続けます。
しかしそこに中年男がやって来て、嫌がる彼女を無理やり・・・・。(エンドレス・ラブ)
自分の店を持つことを夢見ている女性美容師のもとに客としてやって来る友人のミア。
主婦で子供もいて飲食店でパートをしているくせに肩書が『舞台人』な女。
白塗りしてわけのわからないのセリフと踊りを演じているだけの自己満足なショウをやっているだけの女。
そんなミアが大嫌い・・・・。(鞄の中の妖精)
などなど。
う~ん、なんといいますか、収録作すべてではありませんが、けっこうバカエロですね。(笑)
「正調・H物語」は平家物語のポルノ仕立てのパロディですし。
そのあたりのバカバカしさは森奈津子に似たものがあります。
まあ楽しめましたけど、なんだかあと一歩な感の作品集でした。
ラベル:小説
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2019年08月13日

「芸人学生、知事になる」東国原英夫

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お笑い芸人だったそのまんま東氏が東国原英夫として宮崎県知事になったのは誰もが知る話。
もちろん何もなくいきなりそのようになったわけではなく、きっかけがあります。
この本はそのきっかけからスタートしています。
それは98年のこと。
出入りした風俗店で働いていた16歳の少女が捕まり、その少女が東氏を相手にしたことがあると証言したため、警察から任意で捜査に協力してほしいとの連絡がありました。
もちろん東氏は実際の年齢など知らず、店では19歳として紹介していたようです。
東氏に法的な罪はないのですが、マスコミが黙っていません。
東氏はやむなく謹慎することになります。
そんな謹慎期間中に勉強をやり直そうと大学進学を決意。
見事、早稲田の二文に合格します。
卒業して今度は同じく早稲田の政経へ。
ここで本格的に地方自治に目覚めるわけですね。
そしていよいよ故郷である宮崎県の知事選へ・・・・。
少しの時間も惜しんでの、ものすごい努力がうかがえます。
途中からは仕事にも復帰し、その中での大学生生活です。
東京と宮崎を何度も行き来し、現地の施設や県会議員選挙活動の同行取材など。
そして毎日欠かさず20キロのランニング。
当然睡眠不足にもなり、血尿まで出たといいます。
マスコミからバッシングされ犯罪者のようにホテルを転々とする生活。
そんな中で価値観も自分も見失い、落ち込んだ日々。
しかしそんなことさえバネにして人生をやり直すきっかけとしたなんてすごいことです。
著者の生真面目な考え方、人生観も知ることができ、ちょっと感動の一冊でした。
ラベル:エッセイ
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2019年03月16日

「カエルの楽園」百田尚樹

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凶悪なダルマガエルに仲間たちを食べられ、国を追われたアマガエルのソクラテスとロベルトたち。
放浪の途中でも数々の仲間が死んでいきました。
ようやくたどり着いたのがツチガエルの国ナパージュ。
争いもなくカエルたちはとても親切で、二匹はようやく楽園にたどり着いたと安堵します。
この国には「三戒」と呼ばれる戒めがあります。
カエルを信じろ、カエルと争うな、争うための力を持つな。
そして「謝りソング」という歌があり、これらによってナパージュは長いあいだ平和が保たれているというのです。
しかし南の崖下の沼には凶悪なウシガエルがいます。
そのウシガエルたちがじわじわと崖を登り、ナパージュに接近してきます。
ですがナパージュのカエルたちは「三戒」がある限り大丈夫だと皆主張します。
「三戒」は本当にその脅威からナパージュを守ってくれるのか・・・・。
平和ボケした理想論を高々と掲げ、自国を自虐し続ける一部の(いや、多数か)日本人に対しての痛烈な皮肉であり警告的な内容ですね。
自国に不法侵入されても争いはいけません、話し合いで解決しましょう、「三戒」がある限り大丈夫ですと言い続ける元老たち。
こちらから争いを仕掛けることはない、しかし自国を守るためには敵に立ち向かうための力が必要だと訴える一部のカエルたち。
それでも頭の固い元老たちやそれを支持するカエルたちは「三戒」を盾にして聞く耳を持ちません。
やがてウシガエルたちがナパージュに攻め込んできます。
さてナパージュはどうなったのか・・・・。
言うまでもないことでしょう。
「話せばわかる」なんて言っていても問答無用で拳銃で撃たれたら終わりなんですよ。
実際何を言っても聞く耳を持たない国がすぐ近くにありますよね。(笑)
ラベル:小説
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