2019年02月12日

「夜中にジャムを煮る」平松洋子

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食エッセイ集です。
タイトルがいいじゃないですか。
夜中にジャムを煮る。
これ昼間にジャムを煮るだとだからどうしたで終いなんですけどね。(笑)
夜中というのがなんとも意味深であり、儀式めいた雰囲気を感じます。
向田邦子の「夜中の薔薇」を思わせたりするタイトルです。
この著者の食エッセイは食べ物について書かれているのは当然のこととして、道具についても頻繁に取り上げておられます。
電子レンジを処分して蒸籠にしてみたり、炊飯器をやめて文化鍋や石鍋でごはんを炊いてみたり、ある意味時代と逆行したことをやっておられます。
そこに見られるのは道具に対しての愛着ですね。
電子レンジや炊飯器といった機械よりも、やはり蒸籠や鍋のほうが愛着が湧こうというものです。
そして手作り感のある美味しさですね。
やはり昔ながらの道具で料理すると出来もいい。
これは私も思います。(慣れないうちは失敗もありますが)
ただ食べ物について書かれたエッセイではなく、“台所”を感じる食エッセイだと思います。
ラベル:グルメ本
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2018年11月03日

「樹下の家族」干刈あがた

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主人公の『私』は小学生の2人の男の子を持つ母親。
ジョン・レノンが殺された日、私は年下の若い男と出会います。
2人で夜の街を彷徨い、バーで語り合い、現在と過去の出来事や思いがさまざまに浮かび上がってきます・・・・。(樹下の家族)
う~ん、正直言いまして私にはさっぱり理解できませんでしたね。
ジョン・レノンがどう、60年安保がどうという話になって、最後は樺美智子へのオマージュです。
このとりとめのなさや不安定さがもちろんこの作品の持ち味なのでしょうが、いや、私には無理でした。(笑)
最後に収録されている「裸」という作品がどうにかこうにかといったところでしょうか。
ちなみにこの「樹下の家族」が第一回海燕文学賞を受賞したデビュー作。
私の及ぶところではありませんでした。
ラベル:小説
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2018年10月24日

「親友の条件」久石ケイ

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幼馴染みの壱哉のことがずっと好きだった利津。
しかし壱哉は親友の果穂と結婚してしまいます。
ですが病弱だった果穂はあっくんという子供を残して亡くなってしまいます。
あっくんが一人前になるまで手助けしてあげてほしいと遺言を残して。
利津はその遺言を頑なに守り、壱哉親子とアパートの隣同士の部屋に住み、食事などの世話などをしています。
しかし壱哉の態度は冷たい。
こんなに壱哉のことが好きなのに。
そしてその子供であるあっくんも自分の子供のように好きなのに。
自分はもう二人から離れるべきなのか。
利津は悩みます・・・・。
幼馴染みでずっと好きだった男と親友の子供をひたすら世話し続ける主人公。
健気ではありますが、いくらなんでもという気もします。(笑)
どこまで尽くすねんと。
繋ぎとめているのはあっくんという子供なんですよね。
読んでいましても子供を出されるとさすがにつらい。
でも親友と幼馴染みの子供であって自分の子供ではないわけで、そこまで尽くせるかと思いましたね。
壱哉にひたすら冷たくあしらわれているにもかかわらず。
で、結局は壱哉の冷たさというのは勘違いだったわけで、このあたりはもうお約束のパターンに突入です。
お互い勘違いしつつ、でもそれらはすべて誤解だったと。
2人はめでたく結ばれます。
はいはいはい、です。
ま、それはいいのですが、読んでいてちょっと冗長だったかなと。
これで引っ張るには長すぎた気がします。
あとタイトルですね。
エタニティ文庫のタイトルとしてはちょっと色気がありません。(笑)
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2018年08月07日

「流」東山彰良

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時代は1970年代。
台湾。
主人公、葉秋生の祖父が何者かにより殺されます。
誰が? どのような理由で?
悪友との付き合い、恋愛、徴兵。
台北で青春時代を過ごす秋生ですが、もちろん祖父のことは絶対に忘れるわけにはいきません。
青春に付き物のいろんなことを経験しつつ、しかしつねに祖父のことが頭から離れない秋生。
やがて知る真実とは・・・・。
台湾版アメリカン・グラフィティだな、と思ったのが正直な印象です。
といっても内容はずっと暗くて重いですけどね。
秋生の青春を描きつつ、祖父殺しの犯人を追い続けるというミステリーな要素もあります。
そして台湾の当時の歴史ですね。
これが濃密に描かれており、作品を実に厚みのあるものにしています。
やはりここですかね。
これは第153回直木賞受賞作なのですが、当時の台湾を匂いがわかるほどにきっちりと描いたのがよかったのかなと。
話の内容自体は台湾を舞台にした青春小説ですから、これだけでは軽い。
家族を描きつつ、背景をきっちり盛り込んでの成功でしょう。

ラベル:小説
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2018年04月01日

「買えない味2 はっとする味」平松洋子

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「買えない味」の続編です。
単行本時のタイトルは「鰻にでもする?」だったようで。
その「鰻にでもする?」の章で表題作ともいえるのが「鰻」です。
鰻についての思い出や思い入れを語っておられます。
昔、老作家の宅に原稿を取りにいったとき。
「食べていきなさい」と応接間で鰻重をいただいたとか。
子供のころ母親が「暑いから今日は鰻にでもする?」という言い回しに万感の思いがあったとか。
そうですね、食べ物で昔のワンシーンが鮮やかに甦ることがあります。
「はっとする味」の章では最初にパセリが取り上げられています。
最近料理にパセリが添えられることがめっきり少なくなりました。
昔はお造りには“毒消し”としてパセリが付きものだったんですけどね。
洋食にもキャベツやレモンなんかとともによく添えられていました。
私は好きで添えられていれば必ず食べますが、残す人も多い。
というか、残す人のほうが多い。
なので見かけなくなってしまったのでしょうか。
著者はときおり狂ったように大量のパセリを噛みしめたくなると書いておられます。
うんうん、あのモシャモシャ感、咀嚼していくにしたがって口中に散らばる粗雑感。(笑)
ほのかな苦み、甘味、旨味。
いいですね。
ミントの項では、葉を鼻の穴に詰めると実に爽快だとか。
料理ではミントのピラフなんてのも紹介されています。
どちらもちょっと試してみたいですね。
ラベル:グルメ本
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