2016年05月03日

「黒笑小説」東野圭吾

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短編集です。

10編が収録されていますが、タイトルの割にはあまりブラックでもありませんしさほど笑えません。

文壇を舞台にした「もうひとつの助走」、「線香花火」、「過去の人」、「選考会」の4編がちょっと皮肉が効いていましたか。

「もうひとつの助走」というのはもちろん筒井康隆の「大いなる助走」へのオマージュでしょう。

ですがページが短いこともあり、やはり本家の強烈さにはかないません。

その他の作品もいまいち突き抜け感がないです。

期待していたほどの内容ではありませんでしたが、元々そのような作家さんではありませんしね。

ま、こんなものかといったところです。

ラベル:小説
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2015年12月01日

「ワニはいかにして愛を語り合うか」日高敏隆 竹内久美子

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自分の思いがなかなか他人に伝わらないということがよくあります。

とくに愛に至っては。

言葉を使う人間であってもそういう状況です。

では言葉のない動物というのはいったいどのようにコミュニケーションしているのでしょう。

というわけで、いろんな動物の愛のコミュニケーションを紹介した本です。

例えばカエル。

なぜあのようなしわがれた低音で鳴くのか。

チョウはどういう条件でオスがメスを追いかけるのか。

動物には一夫一婦制と一夫多妻制がありますが、それはどのような条件によるものなのか。

などなど。

しかし人間以外の動物って不思議ですよねぇ。

人間のように言葉がないのに意思が統一されている。

空を飛ぶ鳥の群れなんかまさしく。

綺麗に揃って方向転換しますもんね。

どのようにコミュニケーションしているんでしょう。

人間の言語とか文化が発達しているのは大脳の中の新皮質と呼ばれる部分だとのこと。

ですが個々の感情や行動は旧皮質という爬虫類の中でももっとも古いといわれるワニの時代から存在し、いわばワニの脳とあまり変わりがないと。

つまりいくら脳の新皮質が理論整然と言語で説明しようとしても、情緒をつかさどっている旧皮質がノーを出せばどうしようもないのだというんですね。

いっそのこと、このワニの脳だけで暮らしたほうがどれだけ楽かと思ったりします。

何も考えずにだだ生きる。

人間はもういいです。

疲れました。

煩わしいことを考えず自然界に生きる動物に私はなりたい。

と、この本を読んで思ったのでした。(笑)

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2015年08月12日

「シェフの愉しみ Chef's special・2」檜原まり子

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BL小説。

「Chef's special」の続編です。

雑誌編集者の榊隆生はフランス料理のシェフ星川隼人と恋人同士になってまだ2か月。

隼人はまだまだ隆生に気を使い、それをうまく言葉で表現できないもどかしさがあります。

そんな子供っぽいところのある隼人が愛おしくてたまらない隆生。

今回は大きな事件として隼人が働くフランス料理店『ファンファン・ラ・トゥール』が放火されます。

それを見つけて消火にあたった隼人は救急車で病院に運ばれてしまうのです。

連絡を受けて病院に駆けつける隆生ですが、隼人は集中治療室に・・・・。

私はBLにはまったく興味は無く、グルメ小説として読んでいるわけですが。

そういう意味ではちょっと弱いなと思います。

もうちょっと料理について突っ込んでほしい。

でもメインは隆生と隼人のBLですからね。

かわいい恋愛だなと思います。

冷静に考えれば大人の男同士の恋愛にかわいいもなにもないのですが。

セックスシーンも弱いですね。

そりゃ本格的なエロ小説ではありませんからしょうがないにしても。

たいして前戯もなく挿入してもだめでしょう。

つーか、できんやろ。(笑)

男同士ならなおさら。

おそらくこのジャンルを読む女性の読者層にとってはそのあたりのリアリティなど必要なく、はぶいていいんでしょうね。

流れでつながればそれでいい。

男同士のセックスなんて現実はそんなきれいごとじゃないんですけどね。(笑)

まあ私はそんなの読みたくないですし、もっと料理について書いていただければありがたいです。

ラベル:グルメ本 小説
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2015年07月27日

「サンドウィッチは銀座で」平松洋子 画・谷口ジロー

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フードジャーナリストでエッセイストの著者が各章のいろんなテーマにあわせて食べ歩いたグルメエッセイ。

各章のいろんなテーマというよりは、いろんなテーマで各章を作っておられるといったほうがいいですね。

そんな中で表題作にもなっている「サンドウィッチは銀座で」。

やはり銀座というだけあって、文壇バーで『みやざわ』という店のカツサンドを取り寄せてみたり。

深夜の『ロックフィッシュ』という店ではハイボールを飲みながら生ハムとカマンベールのサンドウィッチをつまんでみたり。

銀座というからにはそうなるのかもしれませんが、でもそんなの普通の人には縁遠いですよね。

なので肉屋さんが店先で揚げているというコロッケを使った『チョウシ屋』という店のコロッケサンドなどというのも紹介されています。

他には「いただきます、社員食堂」という章の社員食堂食べ比べというのも面白かったです。

猫も杓子もあの店この店の食べ歩きを写真付きで自慢している昨今、そんなのなんの目新しさもない。

ですが社員食堂の食べ歩きなんて面白いじゃないですか。

猫も杓子もできないからこそいい。

文藝春秋、女子栄養大学、横河電機、新潮社、ポーラ、共産党本部、琉球新報。

いやいやいや。

3ツ星の店がどうたらよりも私にはこちらのほうがよほど興味があります。

こういう所での食事をいろいろと経験したいなぁ。

話題の店の食べ歩きなんてもういいです。

「熊を食べにゆく」なんてのもそうですよね。

猟師を取材し、熊を食う。

なによりよかったのが「孤独のグルメ」でおなじみの谷口ジローの漫画。

イラストじゃなくて漫画です。

これでこの本は値打ちが数倍アップしましたね。(笑)

ラベル:グルメ本
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2015年07月23日

「「黄金のバンタム」を破った男」百田尚樹

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ボクシング界に「黄金のバンタム」と呼ばれた男がいました。

ブラジルが生んだ史上最強のバンタム級チャンピオン、エデル・ジョフレです。

1960年代に活躍し、デビュー以来8年間無敵という強さを誇っていました。

その「黄金のバンタム」を破り、ベルトを手にしたのがこの本の主人公であるファイティング原田です。

まず日本ボクシングの夜明けということで、第一章は白井義男が登場します。

日本人初の世界チャンピオンです。

階級はフライ級。

当時原田は9歳。

白井がチャンピオンになったときの記憶はないといいます。

その後白井はタイトルを失い、日本人念願のタイトル奪回を8年後に果たしたのが原田です。

やがて原田はバンタム級に階級を上げ、フライ級とあわせて2階級制覇の偉業を成し遂げるのです。

著者はこの本で当時の世界チャンピオンと現在の世界チャンピオンの価値はまったく違うということを何度も主張しておられます。

プロボクシングで最初に設定された階級は8階級です。

そしてボクシング団体は1団体ですから、世界中でボクシングの世界チャンピオンというのは8人しかいなかったわけです。

原田の時代で3階級にジュニアクラスが設定され11階級。

ただしジュニアクラスの評価は一段低かったそうです。

現在はジュニアではなくスーパーと名を変えて本来の正規な階級よりも威厳があるように思われているとも書かれています。

ところで現在(2012年)は17階級あり、しかも主な団体が4つもあるものですから、70人近くもの世界チャンピオンがいるということになるのですね。

それでもたしかに世界チャンピオンになるというのは大変なことでしょうけども、やはり昔のチャンピオンとは値打ちが違うという著者の主張はもっともでしょう。

何階級制覇というのも階級を細かく刻んでいる現在では同じく。

昭和26年に日本に初めてボクシングの世界チャンピオン(ダド・マリノ)が来たときは、銀座から新橋までオープンカーでパレードをし、沿道には何万人もの人々が集まったといいます。

それほどボクシングの世界チャンピオンというのは偉大な存在だったのですね。

そんな流れがある中でのファイティング原田の偉業なわけです。

時代は昭和40年代。

当時の日本人にどれほど夢や希望や自信や活力を与えてくれたことでしょう。

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