2020年02月09日

「縁を結うひと」深沢潮

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在日朝鮮・韓国人の縁談を仕切る金江のおばさん。
お見合いおばさんとして有名です。
在日同士の見合いを斡旋することによって御礼の収入を得、衣装を作ったり見合いや結婚式をするホテルからマージンを得て生活しています。
髪を紫に染め、きらきらと宝石の付いた眼鏡をかけて見た目は派手。
押しも強気なおばさんです。
の割には生活は質素。
稼いだお金はどのように・・・・?
連作短編集です。
最初の「金江のおばさん」がR-18文学賞でのデビュー作。
その他5編が収録されています。
どれも在日朝鮮人・韓国人を扱っておられるのですが、いやぁ、これはよく書けたなぁと。
作者はご両親在日韓国人で、ご本人は結婚を機に日本国籍を取得されたとのこと。
そのせいでしょうか、この作品では在日のいろんな人たちを描いておられるのですが、その立場による苦悩、そして家庭における伝統的な風習など、実にリアル。
それぞれの立場の人物が登場しますが、ほんと上手く書いておられますね。
在日韓国人の家庭に嫁いだ日本人女性の苦悩を描いた「日本人(イルボンサラム)」など、この描写はさすがといっていいんでしょうか。
風習、心理、どちらもしっかりと描いておられ、まさしくこれが在日の生活であり日本人との現実的なギャップだなと思いました。
いろんな立場の在日の人たちを取り上げ、作品集として実にふくよか。
いい一冊です。
ラベル:小説
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2019年11月17日

「テロリストのパラソル」藤原伊織

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全共闘で活動し、思いがけない事故で人を死なせ、指名手配になっていた島村。
事件は時効を迎えていますが、今も名前を変えてひっそりと暮らしています。
現在はアル中のバーテンダー。
ある日、昼の公園でいつものように酒を飲んでいたら爆弾テロがおきます。
事件に巻き込まれるとやっかいなことになると判断した島村はとっさにその場を離れるのですが、ウイスキーの瓶とカップを忘れます。
この事件に関係ないとはいえ、それらに残された指紋から自分のところに警察がたどり着くのは時間の問題です。
やがて島村は知らない間に自分がこの事件に巻き込まれていることに気付きます。
学生時代一緒に活動していた仲間や恋人がこの事件に巻き込まれ死亡していたり、ヤクザが関わってきたり、昔の恋人の娘が訪ねてきたり。
島村の生活が一変します。
自分に関わる人物が被害者の中にいるということで、島村は犯人を捜すことになるのですが。
犯人はどのような目的でこのようなことをしたのか。
単なる無差別なテロなのか。
じわじわと真実に近づいていくのですが・・・・。
そうですね、5分の4くらいまではけっこうワクワクしながら読みましたかね。
でもラストの展開がどうも。
偶然も含めて何から何まで一か所に収斂し過ぎです。
いくらなんでもの感ありです。
伏線の回収による収束感とはまた違うんです。
ご都合主義の羅列です。
途中まではよかったのに最後で白けてしまいました。
ラベル:小説
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2019年10月08日

「いつまでも白い羽根」藤岡陽子

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家庭の事情もあり大学受験を失敗した木崎瑠美。
気が進まないながらも看護学校へ進学します。
そこで知り合ったのが山田千夏。
不器用ながらも前向きな千夏、やる気はないけれども成績はいい瑠美。
タイプの違う二人ですが親友となります。
そして主婦の佐伯さん、美貌ですが影のある遠野藤香と同じ実習のチームになり付き合うこととなります。
千夏、佐伯さん、藤香、それぞれが口にはしないものの、重いものを抱えています。
実習では患者や医療の現実を目の当たりにする毎日です。
そんな日々を過ごしつつ、気が乗らなかったはずの瑠美の心は徐々にほぐされていきます・・・・。
主人公の瑠美は不器用といいますか、思ったことを口にせずにはいられない勝気なタイプ。
それでけっこう損をするんですよね。
親友の千夏はモアイとあだ名されるような見た目はあまり女性らしくなくもっさりしているのですが、しかし非常に繊細な心を持っています。
この千夏のキャラがかなり魅力的です。
私は瑠美よりも千夏ですね。
見た目はあまりよくないようですが。(笑)
千夏がこういうキャラだからこそ瑠美がまた引き立つんでしょう。
作者は現役の看護師とのこと。
また子供を持つ主婦でもあります。
なのでその立場をじゅうぶんに反映しておられるのではないでしょうか。
実習のリアリティはやはりご自身の経験が生かされているのでしょうし、佐伯さんの設定もまたご自身を重ねられていると思われます。
そしてとても丁寧に主人公の成長を描いておられますね。
千夏、佐伯さん、藤香の生き方も皆真摯です。
作者の優しさといいますか想いといいますか、そういうのがしっかりと伝わってくるいい小説でした。
ラベル:小説
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2019年10月06日

「好きなものを食べて長生きできる 長寿の新栄養学」フレディ松川

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いくら長生きできるとしてもベッドで寝たきりでは意味ないですよねぇ。
やはり健康であるというのが前提となります。
そのため気を使うのがやはり食事ということになるわけですが、しかし健康のため好きな食べ物や飲み物を我慢していったい何のために生きているのか、と著者は言います。
食べたいものを我慢してまで長生きしてもしょうがないではないか。
“間違いだらけの健康神話”に惑わされていないか。
体にいいといわれている食品や食生活に対して、医者である著者が検証し、好きなものを食べて長生きしましょうと提案します・・・・。
まずは食事にしろ健康法にしろダイエットにしろ、正しい知識を持たなくてはなりません。
むちゃくちゃな食生活はもちろんだめですが、ちゃんとした知識のもとに栄養をコントロールすればじゅうぶん好きなものを食べて健康を維持できます。
いろんな人がいますよね。
胡散臭い健康食品や間違ったダイエット法などに手を出す人たち。
健康のためなら死ねるという健康オタクもいったい何が楽しいんだか。
また80歳の老人がいまさら健康のため食生活を変えたりタバコをやめる必要などどこにもありません。
その食生活でその歳まで生きてこられたのですから。
テレビで体にいいと紹介された食品があっという間にスーパーから姿を消したりもします。
こういうのに振り回されるのはほとんど女性です。
で、すぐに飽きて次のブームにまた飛びつく。
冷静になれよと思います。(笑)
私はさほど長生きに関心がないのですが、この本は読み物としてじゅうぶん楽しめました。
ラベル:グルメ本
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2019年10月04日

「侠飯3 怒涛の賄い篇」福澤徹三

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渋川卓磨は闇金業者のやとわれ店長。
経営している本部はいわゆる半グレといわれている組織です。
ある日ボスから祖父であるヤクザの組長宅を立ち退きさせろと命令を受けます。
行儀見習いとして組事務所に住み込むことになる卓磨。
そこにやってきたのがいかにもその筋な二人の男たち。
見事な仁義を切って客人となります。
頬に深い傷跡のある兄貴分の男、なぜか毎日台所で賄いを作り始めます・・・・。
シリーズ第3弾。
二人の男というのはいうまでもなく柳刃と火野です。
今回は組事務所に住み込んで料理の腕を揮います。
卓磨からすれば、いったいこの男たちの目的はなんなのか。
祖父である組長を立ち退きさせる目的の自分にとって、敵になる存在なのか味方になるのか。
なんで毎日料理を作り、それがやけに旨いのか。
それよりも自分はボスの命令通り祖父である組長を立ち退きさせることができるのか・・・・。
このシリーズ、その都度主人公が設定されるわけですが、今回は柳刃の下で料理の手伝いをしながら少しずつ成長していくんですよね。
見た目いかつい柳刃ですが、ブレのない真摯な考えや言葉に主人公が影響を受けて変わっていくというパターンです。
最後はちょっとほろっとさせられたりして。
章ごとに紹介される料理が読みどころなわけですが、普段料理をしないような一人暮らしの男子にもできそうな料理です。
白々しくなくレシピが紹介されています。
このあたり上手く料理がストーリーに組み込まれていると思います。
次作も楽しみです。
ラベル:グルメ本 小説
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