2013年10月17日

「音もなく少女は」ボストン・テラン

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貧困な家庭に生まれ、耳が聴こえない少女イヴ。

父親のロメインは母親のクラリッサに暴力を振るうろくでもない男です。

しかも麻薬の売人。

取引にイヴを利用するような男です。

そんなイヴとクラリッサはフランという過去に傷を持った女性と知り合い、家族のように付き合うことになります。

フランはイヴにカメラを与え写真を教えます。

イヴはつねにカメラを持ち歩き、あらゆる写真を撮ります。

そしてチャーリーという恋人ともめぐり逢うのですが・・・・。

久しぶりの翻訳もの。

この作者は他の著書で2001年の「このミステリーがすごい!」で第1位に選ばれ、「日本冒険小説協会大賞」にも選ばれ、「イギリス推理作家協会新人賞」も受賞しておられるとのこと。

しかし巻末の解説で北上次郎氏は冒頭に「この長編がボストン・テランの作品であることを忘れていただきたい」と書いておられます。

つまりそれまでとはまったく違う作風ということなんでしょうね。

私の場合、忘れるどころが初めて読む作家さんなので都合がよかったのかどうなのか。

たしかにミステリーというのとはちょっと違う気もします。

ハードボイルドでもありません。

まあジャンル分けしたところでなんの意味もないでしょう。

荒廃した街の貧困な家庭に生まれ、聾者として生きていく女性の生々しく哀しい運命の物語です。

物語の展開はイヴやその他の女性にとって冷徹です。

ですがそれだけにはっきりくっきりと女性たちの生き様が浮かび上がってくるのですね。

どっしりとした一冊でした。

ラベル:海外小説
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2012年08月26日

「この人の閾(いき)」保坂和志

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短編集です。

表題作は芥川賞受賞作。

30代後半の主人公は仕事である人物を訪ねるのですが留守にしており、時間をつぶすために同じ街に住む10年ぶりの女友達を訪ねます。

その家で草むしりをしたり学生時代の昔話をしたり家庭の話をしたり。

まあそれだけの話なんですけどね。

閾というのは「門の内と外をくぎる境目」とか「精神的な感覚の境目」とかそのような意味があるようです。

要は境目とか境界線といったことなのですが、誰しも生活においてそのようなものを持っているはず。

その人にはその人の閾があるはずです。

庭付きの家に住む専業主婦のそんな閾をこの作品は描いています。

車谷長吉がこの作品に芥川賞を取られ嫉妬し「毒にも薬にもならない」とこき下ろしましたが、まあわからないでもない。(笑)

特になにが起こるでもなくゆらゆらのんびりとした日常と会話があるだけです。

他の収録作もみんなそう。

しかしそれがなんとなくぬるま湯のようなそよ風のような、うとうとするような心地よさにも感じられるんですよね。

純文学ならではでしょうか。

ラベル:小説
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2010年10月30日

「特集・本の雑誌1 出版業界篇」本の雑誌編集部 編

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椎名誠が編集長を務める「本の雑誌」から特集を抜粋し、まとめたものです。

第1巻は「出版業界篇」。

出版業界のいろいろが書かれています。

「なんぼのもんやねん! 文学賞」、「出版社の評判」、「21世紀書店改造計画」などなど。

この業界に興味のある人は一読してみてもいいのではないでしょうか。

ラベル:本・書店
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2010年07月30日

「〈風俗〉体験ルポ やってみたら、こうだった」本橋信宏

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巷の怪しげな風俗にライターとしての立場を明かしてではなく、一人の客として取材してみるという企画です。

夕刊紙の3行広告や伝言ダイヤル、超高級デリバリーヘルス、会員制秘密倶楽部、宅配裏ビデオなどなど・・・・。

人妻風俗では亭主も子供もいる主婦、スチュワーデス専門デリヘルではちゃんと本物のスチュワーデスが働いています。

すべてはお金のため。

たくましいですねぇ、女というのは。

しかし取材費使い放題というのは羨ましい。

今では考えられないことでしょうけど。

風俗に潜入取材という企画は特に目新しいものではありませんが、高級ホテルに部屋を取り10万円払ってホテルの玄関にリムジンを横付けさせるなど、なかなか普通の人に体験できるものではありません。

そういう意味では読者に変わって未知の世界を紹介してくれるこの様な企画はそれなりに意味があるかと。

しかしこの著者も経歴長いですねぇ。

昔は「ビデオ・ザ・ワールド」でお世話になってました。(笑)

posted by たろちゃん at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ほ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする