田舎だと言われたらちょっとむっとするけれど、都会かと言われれば自ら否定しそうな、物腰のやわらかな町に住む津川麻子は中学生。
家は古道具屋を営んでおり、祖母と両親、ひとつ下で小学生の七葉、6つ下の紗英と暮らしています。
そんな麻子の成長を描いた4つの物語です。
スコーレというのはスクールの語源となったギリシャ語だとか。
No.1では中学校、No.2では高校、No.3では大学と就職して派遣された高級靴店、No.4では本社での勤務が描かれています。
平凡な自分と違って器量のいい七葉、学校の友人たち、職場の人たち、恋人。
いろんな場所で、いろんな人たちとの出会いの中で、少女から大人へ。
一人の女性の丁寧な成長物語です。
全編麻子の1人称で書かれているのですが、No.1の中学校時代はやはりちょっと違和感を持ちました。
子供の視線での1人称というのはどうしても無理があると私は思っています。
小学生や中学生がそんな言い回しや物の考え方をするわけないだろと。
なので就職してからのNo.3とNo.4がよかったですね。
語学を生かして輸入貿易会社に就職したものの、現場研修と称して靴屋の販売員に。
なぜ自分はこんなところにぼうっと立っているのだろうと疑問を持ちます。
ですがそれなりにやりがいを見つけ、職場を変えていったりもします。
3年後にようやく本社に戻りイタリアへ靴の買い付けに。
このあたりは真面目で不器用っぽいながらも生き生きとした描写で、麻子という人物の魅力が伝わりました。
全体的に地味ではありますが、爽やかで味わいのある小説だと思います。