2015年05月10日

「料理の哲学 「五人の神様」から学んだ三ツ星のエスプリ」三國清三

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東京・四谷で高級フランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」を経営する著者。

マスコミにもよく登場しておられます。

料理人歴も30年を過ぎ、過去に出会った“料理の神様”について語り、と同時に自分自身を語り、料理の真髄にふれていこうという試みです。

その“料理の神様”とはフレディ・ジラルデ、トロワグロ兄弟、ポール・エーベルラン、ジャン・ドラベーヌ、アラン・シャベルの5人。

著者がフランスに渡り師事したシェフたちです。

フランス料理に興味を持つ者なら誰もが知る錚々たる顔ぶれ。

当然のことながらそれぞれ料理に対して違った哲学を持っておられます。

その下で著者は影響を受けながら自身の感性を磨いていったのですね。

いろんな人たちから学び、自身の感性を加えて現在のミクニの料理がある。

この本はあまり著者の経歴がどうこうな内容ではありません。

つまり苦労した出世物語を読ませるという内容ではないということ。

神様たちの仕事に触れ、現在の自分の仕事、そして料理とはどうあるべきかが語られています。

著者の料理人としての信念と覚悟が感じられる一冊です。

ラベル:グルメ本
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2015年03月24日

「オトコ、料理につきる」三善晃

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作曲家の著者。

料理にはこだわりがあったようです。

食べることはもちろんですが、むしろ作るほうに関心があったようで。

食について書く人は多数いらっしゃいますが、食べるのが専門の人とそれが高じて自分で料理し玄人はだしな人がいらっしゃいます。

料理評論家なんてのは前者ですかね。

もちろんまったく料理しないわけではないでしょうけど。

でも著名な料理評論家やフードジャーナリストと呼ばれる人たちが、自身の料理をそれなりのレベルで紹介しているのは見たことがありません。

著者は後者ということになるのでしょうけど、これはたくさんいらっしゃいますね。

芸能人や作家など料理自慢の人はわんさか。(笑)

さて本書ですが、ご自身のフランス留学時代を含む食の経験、薀蓄、レシピといった内容です。

ただ文体がどうも馴染めません。

後半はレシピの紹介なのでまだましなのですが、最初のほうのエッセイがねぇ。

伊丹十三荻昌弘の影響があるのかもしれませんけど。

時代もあるでしょうし個性といえばそうなんでしょうけど、ちょっとイタイ。

ごく普通に書いてもつまらないというサービス精神もあったのかもしれませんが。

ラベル:グルメ本
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2015年03月14日

「月魚」三浦しをん

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老舗の古書店『無窮堂』を経営する若き店主の真志喜。

業界では名の知られた祖父の本田翁から店を引き継いだ3代目です。

その友人で同じ仕事をしている瀬名垣。

父親は『せどり屋』と呼ばれる、ごみに近い本や後ろ暗いルートで仕入れた本を売るのを生業としていました。

業界ではあまりいい顔をされません。

ですがそんな父親に本田翁は目をかけていました。

なので瀬名垣も幼い頃から『無窮堂』に出入りし本田翁にもかわいがられ、真志喜とは幼馴染みの間柄です。

ですが二人のあいだはどうもぎこちない。

過去になにがあったのか・・・・。

古書の世界を舞台に、真志喜と瀬名垣の関係をしっとり淡々とした筆致で描いています。

はたして二人のぎこちなさの原因はなんなのか。

まずそういうミステリー的な要素があり、同性愛を匂わせる設定であり、これが耽美的な雰囲気を醸しています。

友情の物語であり、親子の物語でもあり、公にできない恋愛の物語でもあるでしょう。

それらいろんな要素を取り入れつつも、冷ややかで静謐な世界が魅力の小説です。

ラベル:小説 本・書店
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2015年03月12日

「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」水木悦子 赤塚りえ子 手塚るみ子

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水木しげる赤塚不二夫手塚治虫

言わずと知れた漫画界の大御所です。

赤塚氏と手塚氏はお亡くなりになりましたけど。

そんな漫画家の娘たちによる対談です。

これはもう実の娘ならではの距離感であり視点でありエピソードです。

実に面白く、そして巨匠たちの意外な素顔を語っておられます。

「娘が選ぶ父の傑作漫画」というのも収録されており、各人1編ずつ紹介しておられます。

これがまたそれぞれいいんですね。

特に赤塚の「レッツラゴン」がとんでもなくすごい。

あの時代だからできたというのはもちろんあると思いますが、それにしてもやはり赤塚不二夫は天才でしたね。

この本は今の若いマンガファンが読んでもピンとこないかもしれませんけど、現役の手塚治虫や赤塚不二夫を知っている世代にはたまらなく面白い一冊だと思います。

なんといってもタイトルが秀逸。

ラベル:漫画本
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2015年01月23日

「夜を駆けるバージン」南綾子

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R-18文学賞でデビューした作家による官能短編集です。

表題作はなくタイトルは意味不明。

どれも女性の立場から書かれており、男性作家が書くそれよりも肩の力が抜けて露骨なエロエロしさはありません。

ですがかえってそれがリアルなエロに感じたりもするのですが。

「処女と唐揚げ」なんて面白いですね。

いつも近所の弁当屋で唐揚げ弁当ばかり買って食べているデブで処女なAD。

飲み会で先輩のチーフADにボロカス言われ、お笑い芸人にも太っていることをバカにされ、こんな仕事辞めてやると飛び出すのですが・・・・。

女性が思っているほど男性はデブを嫌悪していないのは事実かもしれませんね。

デブ専というのは意外と多く、痩せている女性よりは潜在的な人気があるかも。(笑)

それはともかくこの作品集、シチュエーションとそれに応じたセックスシーンでなんとか保っているというレベル。

女性の心の機微でどうにか読ませますが、小説としてはちょっと薄っぺらな作りかなと思います。

ラベル:小説
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