『本書は流行を追うのではなく、本質を求める「大人」の見識を持った方々に応えるレストランガイドブックでありたいと願っている。』
著者ははじめにこう書いておられます。
飲食店のガイドブックというとやはり流行の店ということになりがちです。
例えば某女性情報誌などは半年に一度各ジャンルの飲食店にグランプリを与えたりしています。
ですが2~3年前にグランプリだった店が今はまったく取り上げられません。
読者に飽きられるのでいつまでも同じ店を紹介し続けるわけにはいかないからです。
その店は相変わらず同じレベルを維持し続けているとしても。
「え? ○○○? あんな店もう古いよ。今は×××でしょ」なんて。
しかし本当にいい店というのはそういうものじゃないですよね。
話題になるとかならないとかではなく、自分にとって合う店を見つけたらひたすら通う。
10年でも20年でも。
店が10年20年続くかどうかはともかく。
そして料理は人だと著者は言います。
職人ですね。
料理や店にはその職人の個性が表れます。
その職人仕事に惚れ込み、黙って通い続ける。
それこそがミーハーな若い連中とは違う大人の店との付き合い方でしょう。
ここに紹介されているのは49店。
老舗が多数でさすがにどこもしっかりとした客層の店だろうなと思わせます。
店を選ぶのは客ですが、しかし店もまた客を選びます。
これらの店に出かけても浮かない大人に私はなりたい。
すでに手遅れですが。(笑)