2019年07月02日

「コンビニ人間」村田沙耶香

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古倉恵子36歳。
大学生の頃からコンビニでバイトを始めて18年。
就職もせず結婚もせず、ひたすらコンビニでバイトをしてきました。
コンビニの仕事に生きがいすら感じています。
そんなある日、白羽という理屈だけはいっちょ前な男がバイトで入ってきて・・・・。
コンビニという舞台がいかにも現代です。
そしてコンビニ店員というとマニュアル通りの接客というイメージがありますよね。
主人公はまさしく典型的なそれで、食事さえもひたすらコンビニの商品です。
そんな生活になんの抵抗も不満もなく、むしろ満足さえしています。
フリーターなんて言葉はもう古いですけど、そうやって就職もせずバイトで生計を立てている人、マニュアルにはまったような人を皮肉っているのかといえば、そうでもありません。
主人公はある意味プロです。
コンビニバイトのプロ。
それ以外の世界では社会不適格者ともいえるのですが、コンビニの仕事においては抜群に能力を発揮します。
淡々とコンビニの仕事に邁進するこの主人公の人生観とはいったいなんなのか。
白羽という異物とぶつかったとき、恵子はどのような対応をするのか。
かなりデフォルメはされていますけど、こういう若い人、現実にいそうです。
そう考えますと「コンビニ人間」というタイトルは強烈ではありますが、実はサラリーマンにもごく普通にいるような気がしますね。
ラベル:小説
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2019年06月16日

「友情」武者小路実篤

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野島はいまいちぱっとしない脚本家。
友人仲田の妹である杉子を熱愛します。
そのことを親友のそこそこ売れてきた作家である大宮に相談するのですが、大宮は親身になって野島を応援してくれます。
杉子の自分に対する言動に一喜一憂する野島。
しかし杉子は自分ではなく大宮に惹かれているようなのです。
いてもたってもいられない野島は杉子に愛を告白するのですが・・・・。
この作家の作品は初めて読みました。
武者小路実篤といえばかぼちゃの色紙の人という程度の認識しかなかったわけですが。(笑)
もっと辛気臭く堅苦しい話かなと思っていたのですが、意外と軽くて読みやすかったですね。
内容も実にストレート。
自分が好きになった女性が自分ではなく親友のことが好きだったと。
こういうことは現代の現実にもあることでしょう。
野島は苦悩悶絶します。
そりゃまあそうでしょうね。
しかしさすがにこの時代であり、なによりもタイトルが「友情」というくらいですから、野島は真正面からこれを受け止めるのですね。
杉子や大宮をどうこうしてやろうなどと考えたりはしません。
現代のミステリーならこれを動機になにかやらかしそうですけどね。(笑)
野島は泣きます。
そしてこのことをバネにして強くなるぞと。
うん、真っ当で純粋じゃないですか。
読み終えまして、心が洗われ・・・・た・・・・かな。
ラベル:小説
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2019年05月29日

「豆腐のトバ口 鰹の面取り」村松友視

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食エッセイです。
以前に読んだ「食べる屁理屈」と内容がダブッており、こういうのに当たるとなんだか損した気分になるのは性格がセコイせいでしょうか。(笑)
でもしっかりと内容を覚えているわけでもなく、再読の機会を与えていただけたと思えばいいのでしょう。
さて、表題の「豆腐のトバ口」とはなんぞや。
ま、ある店の豆腐を食べて美味しさに目覚めたと。
そして旅するたびに美味しい豆腐屋を探すようになったと。
たしかに本物の豆腐というんでしょうか、スーパーの安売りのようなのではなくちゃんとした物を食べるとほんとに美味しいですよね。
というか、それが本来の豆腐の美味しさであり、スーパーで出回っているようなのが紛い物なんでしょうけど。
「鰹の面取り」とはなんぞや。
新鮮な魚といえども、大量に刺身を出され、それをひたすら醤油で食べ続けるのはうんざりすると。
私もそうですね。
刺し身なんて数切れでいい。
そんな大量に食べられるものじゃない。
しかし著者は友人にある天ぷら屋に連れて行ってもらい、そこで出された鰹の刺身に感動したと。
それは普通に切られたものではなく、鰹を外側から削ぐ様に、鉛筆を削るように“面取り”してあったとのこと。
なので切断面が1枚ずつ違っており、味わいに変化が生じるというわけです。
これが魚料理専門店ではなく天ぷら屋で出されたというのがミソ。
当たり前の盛り付けではなく、過去の風習にとらわれない提供の仕方に感じ入ったということです。
専門外だからこそということなのでしょうか。
そうですね、今まで普通に食べていたものも、ちょっとした工夫で新鮮な美味しさになるのかもしれません。
それはむしろ専門外の人が今までの型ににとらわれない発想で生み出すのかもしれませんね。
ただやりすぎると台無しですが。
ラベル:グルメ本
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2018年12月25日

「アジアへごはんを食べに行こう」向山昌子

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自分の生き方や人生をあらわす言葉は「ごはん」だという著者。
食べることが好きというのもあるでしょうし、なによりごはんは身体を作る源ですからね。
アジアでバックパッカーな旅をし、食べるものといえば当然高級レストランなどではなく地元の人たちが食べている大衆食堂だったり屋台だったりで庶民的な料理です。
台所に入り込んで料理を教えてもらったりもしておられます。
そのようなざっくばらんさがいかにもアジア的でいいですね。
私もガイドブックに載っている観光者向けの有名店よりは、ぜひそのような店の料理を食べたいと思うタイプです。
ただ屋台なんかの衛生レベルがちょっと気になったりはしますが。
こんなことを書くと著者に怒られそうですね。(笑)
私はアジアはどこへも行ったことがありませんが、屋台というのはとても気になっています。
活気があって見るからにおいしそうじゃないですか。
やはりそういうところで食事をしてこそその国の食事情がわかるというものですね。
ラベル:グルメ本
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2018年11月05日

「小森生活向上クラブ」室積光

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サラリーマンの小森正一は40歳。
若い頃と違って最近は何を食べてもうまくなく、無気力な毎日です。
ある日、電車の中でブスな女に痴漢扱いされます。
その女がまた別の日に他の男を痴漢扱いしているのを目撃した小森は、誰にでも迷惑をかけるこのブス女に殺意を覚え、地下鉄のホームに蹴り落して殺してしまいます。
それをきっかけに小森に活力が漲り、妻との夜の生活も絶好調。
職場でも今までとは馬力が違います。
どうやら周りから嫌われている奴を殺すことによってストレスから解放され、心身ともに別人のように生まれ変わったらしい。
やがて小森は裏の社会に通じている友人から拳銃を手に入れます。
次のターゲットは・・・・。
必殺仕事人のような話ですね。(笑)
こんなにもやすやすと殺人を実行するなんてあまりにもマンガ的ではありますが、これがこの作者の作風ではあります。
デビュー作の「都立水商!」は歌舞伎町に水商売専門の高校が作られてという話でしたし、2作目の「ドスコイ警備保障」は引退した相撲取りの再就職先として警備会社を設立するという話。
今回は殺人クラブです。
それだけではさすがに内容が陰気になりますので、妻との夜の生活で色気を添えたり、息子のバスケットボールの試合などで爽やかさを添えたりしています。
確かに死ねばいいのにと思うような奴は世の中にいますよね。
他人に迷惑をかけてなんの役にも立たない奴。
だからといって殺すわけにはいかず、法の裁きも生ぬるかったりします。
そういう納得のいかない世の中をシニカルに批判しているともいえます。
批判というか鬱憤晴らしというか。(笑)
どのようなラストにするのだろうと思いながら読みましたが、まあこういう締め方になるのでしょうね。
ラベル:小説
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