2019年09月14日

「縦横無尽の文章レッスン」村田喜代子

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芥川賞他、数々の文学賞を受賞しておられる作家の文章レッスンです。
大学で文章講座を続けてこられた著者。
それを本にまとめておられます。
いろんな課題を朗読し、そしてテーマを与えて学生に文章を書かせる。
それを紹介し、批評しておられます。
私は別に今さら作家を目指しているわけではありませんが、勉強になりますね。
最初に紹介されている小学生の作文、その解釈。
大学生に対して小学生の作文をテキストにしておられるんです。
大学生からしたらふざけんなという話かもしれませんが、いやいや、小学生の作文のほうがよほど表現力が素晴らしいんですね。
他にもいろんなテキストを取り上げ、講義しておられます。
著者は本書の中でも何度か、いい文章を書きたいなら優れた本を読め的なことを語っておられます。
そりゃそうですよね。
読むという勉強をせずして書こうとしている人が結構多い。
情けない話だと思うのですが、でも個人的には今後そういうふうになっていくと思っています。
本なんて読まない人が思うままの気持ちを書いて小説もどきのような作品を仕上げる。
読むほうもまたまともな小説なんて読んだこともないから、そのような作品を読んで感動する。
実際にありましたよね、そのような例が。
でも、やっぱりちゃんとした文章の基本を身に着けたうえで書いていただきたいですし、読みたいです。
「パない」なんてアホな言葉を使った小説なんて読みたくない。
作家を目指す人に限らず、文章を書くことを自負しておられる人にはぜひ読んでいただきたいですね。
ラベル:書評・作家
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2019年08月05日

「日本の朝ごはん 食材紀行」向笠千恵子

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朝ごはんからこの国が見えるという著者。
たしかに1日3食のうち朝食がいちばん日本の食事、家庭の食事という気がしますね。
最近はパン食の家庭も多いでしょうが、やはり日本の朝食としてイメージするのはごはんに味噌汁、漬物、干物、納豆、海苔などといった内容でしょう。
この本では朝食に使われる食材や調味料の生産者を全国訪ね歩き、また実際に生産者たちの朝食も取材しておられます。
もちろんその生産者たちというのもただそれらの食材を作ってますというような人たちではなく、本物の食材、昔ながらの調理法にこだわった生産者たちです。
朝食というのは昼食や夕食よりも料理はシンプルですから、なにより素材の良さがストレートに現れます。
美味しいというのは当然のこと、安全性というのも非常に重要です。
無農薬だったり添加物は一切使わなかったり。
これがなかなか大変なことなのですが、しかし頑なにそれを作り続けている生産者がいらっしゃるのですね。
誰もが手に入れられるというものではありませんが、できればこのような食材を使った食事をしたいものです。
ラベル:グルメ本
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2019年07月02日

「コンビニ人間」村田沙耶香

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古倉恵子36歳。
大学生の頃からコンビニでバイトを始めて18年。
就職もせず結婚もせず、ひたすらコンビニでバイトをしてきました。
コンビニの仕事に生きがいすら感じています。
そんなある日、白羽という理屈だけはいっちょ前な男がバイトで入ってきて・・・・。
コンビニという舞台がいかにも現代です。
そしてコンビニ店員というとマニュアル通りの接客というイメージがありますよね。
主人公はまさしく典型的なそれで、食事さえもひたすらコンビニの商品です。
そんな生活になんの抵抗も不満もなく、むしろ満足さえしています。
フリーターなんて言葉はもう古いですけど、そうやって就職もせずバイトで生計を立てている人、マニュアルにはまったような人を皮肉っているのかといえば、そうでもありません。
主人公はある意味プロです。
コンビニバイトのプロ。
それ以外の世界では社会不適格者ともいえるのですが、コンビニの仕事においては抜群に能力を発揮します。
淡々とコンビニの仕事に邁進するこの主人公の人生観とはいったいなんなのか。
白羽という異物とぶつかったとき、恵子はどのような対応をするのか。
かなりデフォルメはされていますけど、こういう若い人、現実にいそうです。
そう考えますと「コンビニ人間」というタイトルは強烈ではありますが、実はサラリーマンにもごく普通にいるような気がしますね。
ラベル:小説
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2019年06月16日

「友情」武者小路実篤

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野島はいまいちぱっとしない脚本家。
友人仲田の妹である杉子を熱愛します。
そのことを親友のそこそこ売れてきた作家である大宮に相談するのですが、大宮は親身になって野島を応援してくれます。
杉子の自分に対する言動に一喜一憂する野島。
しかし杉子は自分ではなく大宮に惹かれているようなのです。
いてもたってもいられない野島は杉子に愛を告白するのですが・・・・。
この作家の作品は初めて読みました。
武者小路実篤といえばかぼちゃの色紙の人という程度の認識しかなかったわけですが。(笑)
もっと辛気臭く堅苦しい話かなと思っていたのですが、意外と軽くて読みやすかったですね。
内容も実にストレート。
自分が好きになった女性が自分ではなく親友のことが好きだったと。
こういうことは現代の現実にもあることでしょう。
野島は苦悩悶絶します。
そりゃまあそうでしょうね。
しかしさすがにこの時代であり、なによりもタイトルが「友情」というくらいですから、野島は真正面からこれを受け止めるのですね。
杉子や大宮をどうこうしてやろうなどと考えたりはしません。
現代のミステリーならこれを動機になにかやらかしそうですけどね。(笑)
野島は泣きます。
そしてこのことをバネにして強くなるぞと。
うん、真っ当で純粋じゃないですか。
読み終えまして、心が洗われ・・・・た・・・・かな。
ラベル:小説
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2019年05月29日

「豆腐のトバ口 鰹の面取り」村松友視

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食エッセイです。
以前に読んだ「食べる屁理屈」と内容がダブッており、こういうのに当たるとなんだか損した気分になるのは性格がセコイせいでしょうか。(笑)
でもしっかりと内容を覚えているわけでもなく、再読の機会を与えていただけたと思えばいいのでしょう。
さて、表題の「豆腐のトバ口」とはなんぞや。
ま、ある店の豆腐を食べて美味しさに目覚めたと。
そして旅するたびに美味しい豆腐屋を探すようになったと。
たしかに本物の豆腐というんでしょうか、スーパーの安売りのようなのではなくちゃんとした物を食べるとほんとに美味しいですよね。
というか、それが本来の豆腐の美味しさであり、スーパーで出回っているようなのが紛い物なんでしょうけど。
「鰹の面取り」とはなんぞや。
新鮮な魚といえども、大量に刺身を出され、それをひたすら醤油で食べ続けるのはうんざりすると。
私もそうですね。
刺し身なんて数切れでいい。
そんな大量に食べられるものじゃない。
しかし著者は友人にある天ぷら屋に連れて行ってもらい、そこで出された鰹の刺身に感動したと。
それは普通に切られたものではなく、鰹を外側から削ぐ様に、鉛筆を削るように“面取り”してあったとのこと。
なので切断面が1枚ずつ違っており、味わいに変化が生じるというわけです。
これが魚料理専門店ではなく天ぷら屋で出されたというのがミソ。
当たり前の盛り付けではなく、過去の風習にとらわれない提供の仕方に感じ入ったということです。
専門外だからこそということなのでしょうか。
そうですね、今まで普通に食べていたものも、ちょっとした工夫で新鮮な美味しさになるのかもしれません。
それはむしろ専門外の人が今までの型ににとらわれない発想で生み出すのかもしれませんね。
ただやりすぎると台無しですが。
ラベル:グルメ本
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