2018年02月18日

「姫百合たちの放課後」森奈津子

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タイトルからもわかりますように“百合”たちを描いたコメディ短編集です。
まあなんとも馬鹿馬鹿しい内容ではあります。
しかしそれは作者の狙い通り。
例えば「花と指」はいかに美しく独創的なオナニーをするかという競技で『自慰道』と名付けられ、柔道のようにいまやオリンピックの正式種目となっています。
馬鹿馬鹿しさはいいのですが、出てくる曲が山口百恵の『ひと夏の経験』とか『横須賀ストーリー』とか、なんでこうも古臭いのか。(笑)
私が面白く思ったのは「お面の告白」ですかね。
主人公は芸能人のゴーストライター。
編集者が美人女優にインタビューしたテープからエッセイを仕上げるのですが、テープにはなにも入っていませんでした。
いい加減な編集者は「適当にでっちあげておいて」なんて言います。
それならばと主人公は女優の17歳の女子高時代を書くことにします。
内容はもちろんレズビアン。
お姉さまと下級生の秘めやかな愛。
悪ノリが過ぎてほとんどポルノ小説です。
書かれた女優はたまったものではないですね・・・・。(笑)
全部で9編。
まあどれもプロ作家としてはどうなんだろうと思うレベルですが、面白ければ勝ちです。
「花と指」は団鬼六の「花と蝶」、「お面の告白」は三島由紀夫の「仮面の告白」、「2001年宇宙の足袋」はアーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」
それぞれタイトルをパロディにしたお遊びもあります。
ラベル:小説
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2017年07月05日

「カレーライスと日本人」森枝卓士

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日本人ってカレーライスが好きですよね。
カレーライスが嫌いなんて人はほとんどいないんじゃないでしょうか。
いや、その貴重な一人が私なんですけどね。(笑)
今でも子供の好きな食べ物ベスト3にランキングされているんじゃないかと思うのですが、私は子供時代カレーライスが嫌で嫌で。
学校とか地域のキャンプなんか行ったら絶対に夜はカレーライスなんですね。
みんな喜んで食べるんですけど、私一人うんざりした顔でまったく箸(スプーン)が進まない。
「おい○○、ぜんぜん食べてへんやないか。残さんと食べろよ」なんて、ほとんど拷問です。
アホのひとつ覚えみたいにカレーなんか作ってんなよと思ってましたね。
家でも母親が「今日はカレーやで」なんていうと、がっくりと肩を落としたものです。
さすがに今はそんなことないですが、それでもいまだに積極的には食べないですね。
でもカレーうどんやカレーラーメンは好きですし、料理にカレー粉を使ったりもします。
つまり私はカレーが嫌なのではなく、カレーライスという料理が好きではないということに大人になってから気付きました。(笑)
さて前置きが長くなりましたが、この本はタイトル通りカレーライスが日本人とどのように出会い、受け入れられ、今日のように国民食とまでなったのか。
インドはもちろん、カレー文化の各国を巡り、食文化としてのカレーを語っておられます。
カレーといえばインドですが、しかしインドのカレーは日本のカレーとはまったく違う。
その他東南アジアのカレーも。
これはいまや知られたことだと思います。
カレーはイギリス経由で日本に来て独自の進化を遂げ、洋食として日本に根付き、いまや日本食とさえいえるほどに普及しています。
一般にカレーが好きという人は、ほとんどこの日本式カレーのことを言っているんですよね。
とろみがあって肉やジャガイモやニンジンがごろごろ入ったの。
それを粘り気のある日本米にかけたもの。
これこそが本式のカレーで、スパイスの効いたシャブシャブのインド式のカレーを「あんなのはカレーじゃない」とまで言い出す人がいるほどです。
それって江戸前寿司を知らないアメリカ人がカリフォルニアロールを「これこそがスシだ!」と言っているのと同じだと思うんですけども。
そんなことにさえ気付かないほど、カレーライスは日本人の食生活に馴染みまくってます。
えっと、とにかくこの本、非常に楽しくカレーについて幅広く深く学ぶことができました。
ラベル:グルメ本
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2017年04月12日

「山椒大夫・高瀬舟」森鴎外

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表題作2編を含め、12編を収めた短編集です。
人買いに騙され引き離された母親と姉弟の苦難を描いた「山椒大夫」。
弟を殺して島流しにされる男が真実と心情を語る「高瀬舟」。
「山椒大夫」は「さんせう太夫」という説教節を原話にしているそうで、これは「安寿と厨子王」といえばむしろ誰もが聞いたことあるのではないかと思います。
姉弟の固い絆や母親への愛、自己犠牲の精神などが描かれています。
親が子供を平気で死に至らしめる、あるいはその逆に子が親をという事件が日常茶飯事のように思える昨今。
このような家族の深い愛情と結びつきは新鮮に思えるほど美しく感じてしまいます。
私的にはなんで題名が「山椒大夫」なのと思ってしまうのですが。
「高瀬舟」も、これはつらい話ですね。
目の前で苦しんでいる弟を楽にさせてあげた兄が罪人になるという話です。
いわば安楽死です。
本人が望むことに手を貸してあげて、それがはたして悪いことなのか。
死を目前にして苦しんでいる人を生き伸ばさせることがはたして良いことなのか。
もし私がそのような状況で死を間近にした当人なら・・・・。
はっきり「殺してくれ」と言います。
ただ言われた側は相当に逡巡するでしょうけど。
なので自分が言われた立場ならどうなのかと考えますと、これはもう非常に難しい。
もし手を合わせ号泣しながらもその人の意思を尊重したとして、単純にそれは殺人とされてしまうんでしょうね。
私なら・・・・本当に親愛な人なら、たとえ罪に問われても本人の意思を尊重してあげたいと考えます。
でも、実際にそのような状況になるとそんな勇気は出ないだろうと思いますけど。
虚ろな気分でそんなことを考えさせられる作品でした。
ラベル:小説
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2016年12月23日

「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦

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『私』が密かに想いを寄せる黒髪の『彼女』。
ひたすら彼女を追いかける私ですが、彼女はそんな気持ちには気付かないまま。
夜の先斗町、下鴨納涼古本まつり、大学の学園祭、と私は彼女を追い続け、珍事件に巻き込まれ、あげくの果ては風邪を引いて万年床にダウン。
さて2人の行く末は・・・・。
シュールですが明るく楽しい恋愛ファンタジーです。
出てくるキャラが皆どれも個性的で。
宙に浮かぶ樋口さんや、狭い先斗町に現れる李白さんの3階建ての電車って・・・・。
小難しい語りの割には馬鹿馬鹿しく不器用な主人公やキュートな黒髪の彼女など、いかにもな森見キャラですね。
その他の登場人物も憎めません。
話も各章により趣向を凝らしてあり、まるでおもちゃ箱のよう。
読者を楽しませるエンターテイメント満載です。
古書のウンチク、火鍋の我慢比べ、象のお尻、パンツ総番長、韋駄天コタツ、偏屈王、緋鯉のぬいぐるみ・・・・。
面白く読ませていただきました。
ラベル:小説
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2016年10月28日

「なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史」本橋信宏

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現在エロ業界ではやたら『人妻・熟女』がもてはやされています。

昔は男性がそそられる対象といえば基本的に若い女性でした。

例えば昔のエロ本やポルノ映画なんてどう見ても30代40代のババアがセーラー服着てましたもんね。(笑)

独身OLや秘書なんて設定で制服着てても売れ残りのお局さんといったところ。

とにかく若作りをしていたわけです。

ですが今ならそんな小細工はせず、堂々と『人妻・熟女』として売り出すことができます。

むしろ女優が実際の年齢よりもいくつかサバを読んで上の年齢に偽っているほど。

なぜ『人妻』という存在が現在のように男をそそる存在になったのか。

この本では戦後の風俗を背景にその時代の映画や小説などを取り上げ、理由と変遷を検証しています。

例えば文学では三島由紀夫の「美徳のよろめき」。

この作品では人妻が夫以外の男に惹かれることを「よろめく」と表現され、読者から支持されたり。

80年代には「金曜日の妻たちへ」というドラマがありまして、これが「キンツマ」なんて呼ばれて不倫がメジャー化しました。

テレクラブームなんてのもありましたね。

人妻(に限らずですが)がどんどん性のテリトリーに進出してきました。

それは女性が性に対して昔からは考えられないほどオープンになったこと、それなりの年齢でもじゅうぶん性的な魅力があることなどが原因でしょう。

若い女性よりも落ち着きと色気がありますし。

なにより人妻の貞操観念のハードルが相当低くなりました。

そりゃそそられます。

男としてはこんなのをほっとく手はありません。

いい時代になったものです。

ありがたく楽しませていただこうではないですか。(笑)

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