2020年04月01日

「食堂つばめ4 冷めない味噌汁」矢崎存美

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シリーズ第4弾です。
連作短編5編収録。
表題作は「冷めない味噌汁」です。
俊太郎はサラリーマン。
サービス残業、休日や夜中の呼び出しは当たり前。
何日休んでいるんだか何日寝ていないんだかの日々です。
いわゆるブラック企業ですね。
過労が原因で倒れ、生と死の中間にある町の道端で目覚めたのですが。
そばにいたのがノエという女性。
朝食の用意をしています。
いただいたのが白飯、アジの開き、だし巻き玉子、納豆、海苔、青菜のおひたし、味噌汁。
この味噌汁の味が俊太郎の好みにぴったりで、いつまでたっても冷めません。
どの料理も懐かしい味で美味しい。
もしかしてこのノエという女性は自分の母親ではないのか。
そんな思いまで抱かせます・・・・。
うん、まあ。
シリーズとして話全体が前に進んでいないのがなんともダレた気分になります。
毎回あの世とこの世のあいだの町に人がやってくる。
食堂つばめでメシを食べる。
もとの世に帰っていく。
これだけではね。
やはり物語全体が前に進んでほしい。
主人公(?)の柳井秀晴なんてもうこの町に居ついてしまっています。
それに対しての説明も、もはやなんらありません。
おいおい、現世での生活は大丈夫なのかよと。
ただ背景が「あの世とこの世のあいだの町」という設定だけで、ちょっとぬるま湯に浸かり過ぎではないでしょうか。
それぞれの話は決して悪いものではないんですけどね。
ラベル:グルメ本 小説
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2020年02月27日

「カオス」梁石日

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どこの組織にも属さず、新宿歌舞伎町で生きぬいている李学英と金鉄治。
ある日、台湾人の実業家から漢方薬の売買をもちかけられます。
その話は断ったものの、それ以降得体のしれない何者かに付きまとわられます。
実業家を問い詰めたところ、やはり麻薬が絡んでおり、かなりやばい状態のようです。
その実業家は逃亡するため、学英と鉄治に経営している名門中華料理店の『龍門』を格安で譲るといいます。
話に乗って『龍門』を購入しオーナーになった二人ですが、やはり得体のしれない何者かが二人を脅しにかかってきます・・・・。
在日朝鮮人の二人が歌舞伎町を舞台に生き抜いていく話。
もちろんそうなると裏社会が絡んできます。
二人は特にヤバイ仕事をしているわけではないのですが、漢方薬の売買をもちかけられ、それがきっかけでトラブルに巻き込まれます。
せっかく手に入れた『龍門』も手放さなくてはならないような事態に。
それをどう凌いでいくのかが読ませどころで。
まあそれなりに緊迫感もありました。
でもね。
やはり最後はずっこけましたね。
いつも書いていますけどもこの作者、途中まではいいんですけど、後半息切れしてしまうんですよね。(笑)
んで、詩の影響が大きく、話の結末を詩的にまとめてしまう。
その詩的というのもまたメルヘン系なんですよ。
おいおい、です。
ま、「血と骨」レベルを期待しても酷でしょうけど。
ほんと途中までは面白いんですよ。
最後がね・・・・。
ラベル:小説
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2019年12月29日

「世界ニホン誤博覧会」柳沢有紀夫

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「日本語でどつぞ」と書かれた看板に遭遇し、その魔力に取りつかれてしまったという著者。
つまり、海外で見かけるヘンテコな日本語ですね。
それらを「どつぞ」と名付け、自分だけでなくネットでも協力を募り、収集した数々の「どつぞ」を本書に公開されました・・・・。
ありますね、ヘンな日本語。
ただ、こういうのはすでに宝島社から「VOW」シリーズとして刊行されていますので、目新しさはありません。
看板や商品のパッケージなどに特化しているというのが、まあ本書の個性でしょうか。
でもこういうのって流行り廃りなく、いつの時代にもそこそこウケる定番ネタではありますよね。
揚げ足取りの面白さです。
しかしこういうのを笑っていますが、日本はどうなんでしょうか。
例えば安物のTシャツにプリントされた英文なんか、アメリカ人なんかから見てどうなんでしょう。
日本人からすればオシャレ(?)であっても、外国人からしたらプッと噴き出してしまうかもしれません。
以前に外人さんが背中に大きく「熊出没!」と書いたTシャツを着ておられるのを見たことがあります。
意味が分かっているのかいないのかはわかりませんが、字面とかデザインを見てカッコイイと思ったんでしょうね。
日本人ならまず着ないでしょう。(笑)
和製英語なんてある意味この類かもしれませんね。
野球で「ナイター」なんていいますけど、正しくは「ナイトゲーム」だとか。
物を挟むことを「サンドする」なんていったりしますけど、「サンド」とは英語で砂ですからね。
挟むなんて意味はまったくありません。
でも日本では「パンでハムと玉子をサンドします」なんて平気で使っています。
「ポカリスエット」なんて「ポカリの汗」ということで意味不明。
「どつぞ」に話は戻りますが、だんだんとこのような間違いは是正されてきているようですね。
あらゆる所に日本人が進出し、そうなるとやはり間違いを指摘されることも増えてきたでしょうし、自主的に日本語で書かれた文章を見直すこともあるでしょう。
本来なら大変いいことであるはずなのですが、そんなのちょっと寂しい・・・・というか面白くないやん。
やはりこういう“文化”は受け継いでいただきたいですね。(笑)
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2019年11月03日

「鶏」山上龍彦

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川名孝男は『郷土特産品育成委員』です。
全国郷土食品の調査と分析、地域をテーマにした物産展や展示会の企画、郷土食品が全国的な規模で受け入れられるかどうかなどを調査しテストするのが仕事です。
そんな川名がやってきたのは後翅町という地方の町。
後翅地鶏というのが名物で、生産者に会い実際に食べ、それが商品化できるかどうか調査するのが目的です。
しかしそこで出会ったのは突然変異ともいえる鎖につながれた牛ほどもある巨大な鶏で。
しかもその鶏は飼い主から逃げ出し、どんどん巨大化し、人間を襲い、川名を執拗に追いかけ始めます・・・・。
う~ん、田舎の風景や郷土食という作者が書きたかったテーマと、化け物のような巨大な鶏という設定が噛み合っているのかどうか。
私はうまく乳化していないように思いましたが。
たしかにこのテーマだけではあまりにも地味で、なにかしらエンターテイメントな要素を入れる必要はあるでしょうけど、無理やり味付けしたような強引さを感じました。
鶏との格闘は迫力ありましたけどね。
変に理屈っぽくテーマを主張せず、巨大鶏に絞って物語を作ったほうがよかったのでは。
テーマなんて微かに匂わせる程度でいいんです。
ちょっと作者の意気込みが空回りしてしまったように感じました。
ラベル:小説
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2019年11月01日

「清貧の食卓 文人グルメが明かす美味の原点」山本容朗 編

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サブタイトルに“文人グルメ”とありますように、食については一言お持ちの文人たちが書いた食についてのエッセイを集めた一冊です。
古いのになると北大路魯山人のように昭和一桁に書かれたものだったりしますが。
メインのタイトルは「清貧の食卓」ですが、これは必ずしも内容に当てはまりません。
別に貧しい食生活を紹介しているわけではありませんので。
ただ現在のようなきらびやかな料理は出てきませんので、そういう意味では清貧かもしれませんが。
しかし皆さん現在のようなグルメごっこではなくこだわりを書いておられますので、今からすればかえって贅沢な話かもしれませんね。
素材も今と昔では質が違うでしょうし。
登場するのは21名。
対談がひとつ。
東海林さだお氏以外はすべて亡くなられていますか。
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