2016年11月05日

「ウイスキー粋人列伝」矢島裕紀彦

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国産の本格ウイスキーづくりが始まって90年。(この本は2013年出版)
それに合わせたのでしょうか、古今90人の著名人たちのウイスキーにまつわるエピソードが収録されています。
第一章では揺籃期として吉田茂、鳥井信治郎、古今亭志ん生、江戸川乱歩、朝永振一郎など。
第二章は発展期。
黒澤明、吉田健一、田中角栄、升田幸三、池波正太郎など、
第三章は爛漫期です。
開高健赤塚不二夫中上健次、桑田真澄、山崎まさよしなど。
とても幅広い人選ですね。
それぞれに独自のこだわり、思い入れ、飲み方があるものです。
しかしサントリーの創業者である鳥井信治郎は当然として、マッサンこと竹鶴政孝の名前が見当たらないのはどうしたことでしょう。
実質的には鳥井よりも竹鶴が国産ウイスキーの父ですからね。
毎晩ボトル1本を空けていたということで、飲むほうのエピソードにも事欠かないはず。
画竜点睛を欠くです。
ま、それを言い出しましたらあの人はなぜとかこの人はなんでとか収拾付かなくなりますけどね。
ぜひウイスキーのグラスを傾けながら読みたい一冊です。
ラベル:グルメ本
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2016年09月26日

「すき・やき」楊逸

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日本に来てほぼ2年になる中国人の梅虹智(ばいこうち)は大学生。

姉の紹介で高級すきやき店でアルバイトを始めます。

日本語、習慣、店のユニフォームである着物、慣れないことばかりです。

店でいろんな客と接し、店長に憧れたり、学校では韓国人の留学生に言い寄られたりする毎日・・・・。

なんともほのぼのとした小説です。

店ではココちゃんと呼ばれ、いろんなことで戸惑う様子が可愛らしくユーモラスに描かれています。

中国人から見た日本文化の観察でもありますね。

日本料理を代表する(?)すきやきの店で着物を着て働き、個室で食事する客たちをもてなす。

ベタな設定ではありますがストレートでわかりやすい。

「だからなに?」とも思いますが、ま、あまり深読みするような作品ではないのでしょう。

作者の作品を読むのはこれで3冊目になりますが、過去に読んだ作品と違い重い主張もなく肩の力が抜けた感じでほっこりと楽しめました。

ラベル:小説
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2016年08月23日

「いっぽん桜」山本一力

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今年五十四歳の長兵衛は深川門前仲町の口入屋の番頭。

仕事ひと筋で娘にかまってやれず、せめて嫁ぐまでの数年、娘と存分に花見をしたいと庭に植えた一本の桜がある家に住んでいます。

ある日、長兵衛はあるじの井筒屋重右衛門に料亭に誘われます。

重右衛門は身を退いて息子の仙太郎に店を任せるというのです。

それどころか長兵衛も一緒に身を退いてほしいといわれます。

井筒屋をここまで大きくしたと自負する長兵衛にいきなり降って湧いた“定年”の話。

いや、悪い言い方をすれば解雇です。

娘の祝言を師走に控え、年齢的にもまだまだの自分がなぜ道連れに辞めさせられなければならないのか・・・・。

現代に置き換えれば企業の都合に左右されるサラリーマンの悲哀ですね。

井筒屋を辞めたあとの長兵衛はコネで魚卸の店に勤めるのですが、大店の番頭時代の習性が抜けきれず横柄な態度と頭の切り替えができない融通の無さで棒手振たちに総スカンをくらってしまいます。

いますねぇ、こういう人。(笑)

以前の会社でどれだけのことをしていたのかわかりませんが、新しい会社でやたらそれまでやってきたやり方を持ち出して皆を服従させようとする人。

他所の会社を追い出されて拾われた人間が何言ってやがんだ、てなものです。

もちろんそれだけで終わる山本作品ではありません。

表題作の他、3編収録。

「萩ゆれて」、「そこに、すいかずら」、「芒種のあさがお」とどれも花にちなんだタイトルが付けられています。

山本一力らしい人情味のある作品集です。

ラベル:時代小説
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2016年05月19日

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学」山田真哉

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車で街中を徘徊して商売しているさおだけ屋。

しかしさおだけなんてそうそう売れるものではありません。

ですが商売が成り立っている。

何か理由があるはずです・・・・。

郊外の住宅地のど真ん中にある高級フランス料理店。

お客が出入りしている様子がまるでありません。

なのに潰れずもう4~5年前から営業しているというのです・・・・。

自然食品の店。

通路や階段にまでうず高く商品が積まれているのですが、客がほとんど見当たりません。

これは売り物というよりも在庫ではないのか・・・・。

てな具合に身近な疑問を取り上げ、面白やさしく会計について書かれたのがこの本です。

さおだけ屋の項目なら「利益の出し方」。

高級フランス料理の項目では「連結経営」。

自然食品の店は「在庫と資金繰り」。

書かれている店が実在するのかこの本のためのネタかどうかはわかりませんが、たしかにこのような店(商売)はありますね。

そのカラクリの紹介が読み物としても楽しい。

そしてわかりやすく会計の基礎を知ることができます。

私は会計について興味はありませんし勉強する必要もありませんが、これは面白く読むことができました。

posted by たろちゃん at 03:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月05日

「食堂つばめ」矢崎在美

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柳井秀晴が目を開けると、そこは列車の中です。

このような電車に乗ったような、乗らなかったような。

寝ぼけているのかどうも記憶が曖昧です。

お腹がすいた秀晴は、ワンピースにエプロン姿の女性に食堂車に案内され玉子サンドを食べるのですが、これがものすごく美味しい。

やがて電車を降り、駅の外へ出て歩き出すと自分の名前を呼ぶ声が聞こえます。

目を覚ますとそこは病院のICUでした。

どうやら臨死体験をしたようです。

もしあのまま列車を降りなかったら・・・・。

その後もあの美味しかった玉子サンドを食べたい一心のせいか、生と死の間にある街を訪れることになります。

そしてエプロン姿の女性ことノエと再会しいろんな料理を食べさせてもらうのですが、これがまた美味しい。

秀晴は料理上手なノエにこの街で食堂を開くことを勧めます。

死に向かってこの街にやって来た人たちにノエがその人の思い出の味の料理を食べさせ、また現世に帰ってもらおうとするのですが・・・・。

料理で味付けしたファンタジー小説ですかね。

『街』にやって来る人たちのエピソードにちょっとした感動があったりします。

ノエの過去についても。

ただ秀晴が簡単にあっちとこっちを出入りできるというのがちょっとご都合主義です。

どうしてそのようなことができるのかもいまいちわからない。

『街』に行っているあいだ現世の秀晴はどうなっているのでしょう?

そう頻繁にころころと死にかけるわけにもいかんでしょうし。

会社で居眠りしていたなんて記述がありますけど、そうそうねぇ。

そのあたりも含め、今後どのように話を持っていくのか読んでいきたいと思います。

ファンタジーですからあまり細かいことに目くじら立てると楽しめませんけどね。(笑)

ラベル:グルメ本 小説
posted by たろちゃん at 03:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする