2018年04月17日

「海に沈む太陽(上・下)」梁石日

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曾我輝雅は妾の子です。
そのせいで学校でもいじめられたりしています。
船乗りに憧れ、16歳のとき家出をして念願の船乗りとなります。
乗り込んだ船はLST。
ランディング・シップ・タンクの略で、アメリカの軍需物資を運ぶ船です。
釜山、沖縄、台湾、フィリビン、ベトナムなどをいったりきたりしました。
ベトナムでは米兵の遺体に囲まれ、迫撃砲にさらされ、死にかけたこともあります。
やがて船を降りた輝雅は道頓堀を根城にし、カツアゲから始まり、宝石や腕時計などの密輸品を扱うようになります。
しかしいつまでもそんなことをしていられません。
輝雅は好きな絵を生かし、デザイン事務所に就職します。
そしてイラストレーターになるという夢を抱き、ニューヨークへ。
輝雅の夢は叶うのか・・・・。
イラストレーター黒田征太郎の半生を描いた小説とのことです。
ノンフィクションではなくあくまでフィクションなので、書かれていることのどこまでが本当のことなのかはわかりません。
しかしまとまりのない作品ですね。(笑)
船乗りになったり大阪で裏の商売をしてみたり、かと思ったらイラストレーターを目指してニューヨークに行ってみたり。
まとまりもなにも実際の経歴を基にしているのだからしょうがないとか、波乱万丈の半生という言い方もできるわけですが。
じゃあラストはどのように収束させているのかといえば、なんじゃそりゃといったような肩透かしなラストです。
ふりだしに戻ってるじゃないですか。
なんのために長々と書いてきたのかと。(笑)
この作者は短編よりもやはり長編ですが、どうも構成に難があるように思います。
ラベル:小説
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2017年10月15日

「草笛の音次郎」山本一力

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天明八年の江戸。
今戸の貸元、恵比寿の芳三郎のもとに佐原の兄弟から手紙が届きます。
香取神宮の祭りを見にこいと。
しかし芳三郎は風邪が抜けきっておらず体調が良くありません。
さりとて兄弟からの誘いを断るわけにもいかず。
代貸の源七に話をすると、源七は音次郎を名代として推します。
つまり芳三郎の名、組を背負って佐原に旅に出るわけです。
芳三郎には優男に思える音次郎ですが、源七の見る目を信用し佐原に出させることにします。
渡世人としての作法をみっちりと仕込まれ旅にでる音次郎ですが、道中いろんなことが待ち受けています・・・・。
いわゆる股旅物というやつですね。
渡世人としての言葉遣いもままならず、江戸を出たこともない音次郎が大きな役目を背負った旅を通じて、一人前の男に成長していく姿を描いています。
ただちょっと変わり様が急すぎる気もしましたが。(笑)
ですが音次郎の成長が微笑ましく頼もしく、渡世人のやりとりや言葉遣いも歯切れよく、非常に清々しいく心地よい読後感があります。
堪能しました。
やっぱり山本一力にはハズレがないなぁ。
ちなみに本作に登場する恵比寿の芳三郎は「深川駕籠」シリーズにも登場しています。
山本一力の作品にはこのような登場人物のリンクがあって、ファンとしてはそれも楽しみの一つです。
ラベル:時代小説
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2017年09月23日

「サイゼリヤ革命 世界中どこにもない“本物”のレストランチェーン誕生秘話」山口芳生

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サイゼリヤといえば誰もが口をそろえて言うのが、とにかく安い。
ファミリーレストランの中でも抜きん出ていますね。
私も頻繁に利用させていただいております。
私の場合は飲み屋としてですけど。(笑)
なにしろグラスワインが100円なんですから。
昼間っからおおいに飲ませていただいております。
さて、本書はそんなサイゼリヤの創業者であり現会長の正垣泰彦氏が語る経営論です。
なんともユニークな経営者ですね。
楽天家といえば語弊があるでしょうか。
失敗するとわかっていて店を出し、やっぱり失敗したなんてあっけらかんと言っておられる。
客が来ないのなら安くすればいい、じゃあ7割引きだ、とか発想が笑ってしまいます。
とにかく独特の経営哲学をお持ちで、その結果がどうなのかは現状が証明しています。
今後もサイゼリヤがどのように成長していくのか楽しみに見させていただきましょう。
安いワインを飲みながら。(笑)
ラベル:グルメ本
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2017年08月24日

「男と点と線」山崎ナオコーラ

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短編6編収録。
世界のあちこちでの男女の物語。
表題作の「男と点と線」の舞台はニューヨークです。
42歳で独身の惣次郎は、バツイチで幼馴染みのさおりからいきなりニューヨークへ一緒に行かないかと誘われます。
話に乗る惣次郎。
さおりの娘で12歳の亜衣と3人でニューヨークへ出発します。
ブルーノートでジャズを聴いたり、メトロポリタンオペラを観に行ったり。
セントラルパークにひとり散歩に出かけた惣次郎は、さおりへの思いを再確認します。
メトロポリタン美術館に行き、モネやクリムト、シーレなどの絵に感動しつつ、自分の気持ちをしっかりと踏み固めます・・・・。
飄々とした雰囲気で話は進んでいきますが、書かれている内容といいますとこれかなり至高の愛といった感じですね。(笑)
こういう悟りといいますか達観といいますか、ここまで純化された思考を持てる男というのもちょっといないだろうと。
穢れなく爽やかといえばそうですし、ある意味男女における理想の友達関係といえるかもしれませんが。
この本の他の作品もそうですけど、男女の肉体関係のようなものは描かれていません。
そのような男女関係もまたあり、ということでしょうか。
ラベル:小説
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2017年08月20日

「パラダイス・ロスト」柳広司

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米海軍士官のマイケル・キャンベルはシンガポールのラッフルズ・ホテルで美しい女性と出会い、雷に打たれたような衝撃を受けます。
彼女の名前はジュリア・オルセン。
猛然とアタックしたマイケルは何度もデートを重ね、結婚を約束するまでになります。
そんな中、ラッフルズ・ホテル内で一人の英国人実業家が死体で発見されます。
その犯人として逮捕されたのがジュリア。
ジュリア自身も殺害を認めているというのですが・・・・。(失楽園)
「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」に続いてD機関シリーズの第3弾です。
4編収録されており、「失楽園」が表題作。
この話にどのようにD機関のスパイが関わっているのかというのがミソなわけですが、なるほどこういう関わり方もあるのかと。
自分が表面に出ることなく他人をコントロールして事を運ぶ。
お見事。
私的には「追跡」がよかったですかね。
英国タイムズ紙の極東特派員アーロン・プライスはD機関に興味を持ち、その組織を率いる謎の男、結城中佐の過去を追います。
やがて有崎晃という人物にたどり着いたプライス。
この人物こそが結城中佐の正体だと確信を持ちます。
実はプライスは英国のスパイ。
ある日の深夜、無線電信機で暗号文を打電しているプライスの家に憲兵隊が踏み込んできます。
スパイ行為の現行犯で逮捕。
こうなってはプライスの人生は終わりです。
しかしある人物が身元引受人として現れ・・・・。
D機関の総帥である結城中佐の経歴がなんと緻密に計算された深い謎であることか。
結城中佐自身話の中に登場することはほとんどないのですが、さりげなく漂う不気味な存在感がいいですね。
ラベル:小説
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