2020年10月11日

「火事場の仕事力」ゆでたまご・嶋田隆司

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著者は人気漫画「キン肉マン」の原作者です。
少年ジャンプでデビューしたのが1979年。
この本が出た2012年の時点では33年のキャリアを誇るベテラン漫画家です。
現在は2020年ですので40年越え。
漫画家を40年以上続けるなんてとんでもないことです。
例えば80年代に「キン肉マン」読んでいた小学生は今や40代50代となり、現在の社会を支える中核となっているんですよね。
この本は「キン肉マン」という漫画以外の形で自らの仕事術を披露し、そのように現在社会で日々の仕事を頑張っている人たちにエールを送ろうという趣旨の一冊です。
でも漫画の原作者という仕事がサラリーマンや他の職種の人たちと共通するところはあるのか?
ありありです。
「キン肉マン」の作者ゆでたまご氏はお二人で仕事をしておられます。
作画を担当しておられるのが中井義則氏、そして原作が著者です。
中井氏はほぼ絵を描くことに集中し、原作をはじめとしてそれ以外のマネージメントはすべて著者が担当しておられるとのこと。
なので仕事においてアイデアを出す苦しみ、いかに顧客(読者)を喜ばせるか、人気を確保するか、編集者との打ち合わせはもちろんイベントや映像化やキャラクター商品についての折衝など、これまさにサラリーマンの企画・営業・広報をやっておられるわけです。
ちょっとでも気を抜き人気がなくなれば連載を打ち切られ即仕事がなくなるというプレッシャーは、サラリーマンの比ではないでしょう。
なので本書に書かれていることはまさに実戦に基づく著者の体験談であり、そのアドバイスはいろんな人たちの心に染み入るはずです。
なにより読者(顧客)にいかに喜んでもらえるかという著者のポリシーは、どんな仕事にもあてはまる心がけといっていいかと思います。
イベントなどで子供のころから「キン肉マン」読んでいたという人たちに「あれを読んで勇気づけられた」とか言われると漫画家冥利に尽きるといいます。
仕事の原点ってここなんでしょうね。
ラベル:マンガ本
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2020年05月21日

「霧町ロマンティカ」唯川恵

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50歳手前で航空会社をリストラされた梶木岳夫。
妻と離婚し、その後付き合っていた女性にも去られてしまい、現在は寂しい独り身です。
亡き父親が遺した別荘で暮らそうと軽井沢にやってきます。
無職で収入はなく不安はあるものの、とりあえずの生活はなんとかなりますし、自由の身です。
岳夫はここでいろんな人たちと出会います。
飲み屋の女将、その娘、常連の人妻、女性獣医、などなど。
岳夫はこの軽井沢でどのように生活し、自分を見つめ直していくのか・・・・。
裏表紙のあらすじを読みまして思ったのは、こりゃ「島耕作かいな」と。
いろんな女性と出会い、なぜかそのすべての女性にモテて、次々いてこましていい思いをするという。
すみません、そんなのじゃなかったです。(笑)
まず読み始めて思ったのが、今までの作者の作品とはちょっと雰囲気が違うな、と。
そう、中年男性が主人公だからなんですね。
女性の恋愛を書いてこられた作家さんですから、私が今まで読んできたのはすべて女性が主人公だったはず。
なので雰囲気の違いは感じたものの、それは決して違和感というものではありません。
そして主人公はいろんな女性と出会いますが、「島耕作」ではありませんでした。(笑)
ま、その中の一人とは関係してしまうのですが。
航空会社で外国から飛行機を輸入する部署で何十億という取引もしていた岳夫。
しかし会社から離れ、この土地で一人生活していく上でそんな経歴はなんの意味もないわけで。
仕事からも女からも見放された中年男が、この地でこれからどのように生きていくのか。
敷地に迷い込んできた犬を飼うことにするのですが、その犬とのつながりがいい。
仕事や女には裏切られ(女に関しては自業自得だったりもするのですが)ますが、しかし犬は飼い主を裏切りません。
この犬とのやりとりの描写がいいですね。
男として、家族を捨てた父親の人生を知り、噛み締めるところもいい。
主人公の岳夫の人生がメインではありますが、それぞれの女性たちの人生にも触れられています。
様々な事情を抱えた大人の男と女たち。
軽井沢という霧の町で展開されるストーリー。
読み応えのある味わいのある一冊でした。
ラベル:小説
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2019年08月09日

「少女地獄」夢野久作

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美少女の姫草ユリ子はすべての患者から愛される看護婦です。
しかし病的なほどの虚言癖があります。
嘘をごまかすために嘘をつき、さらにそれがバレそうになると重ねて嘘をつく。
しかしそれが自らを追い込むことになってしまいます。
残された道は自殺しかありません・・・・。
表題作他3編収録。
この「少女地獄」がまた3編の短編で成り立っています。
しかしただ章が変わるだけかのように次の短編に移るので、読んでいて「ん???」と戸惑ってしまいました。
原稿自体がこのような構成なのかもしれませんが、もうちょっと編集でわかりやすくしてくれませんかねぇ。
内容はおどろおどろしいタイトルの割にはさほど・・・・という印象。
むしろ退屈でしたね。
ラベル:小説
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2019年07月22日

「グッドバイ・ママ」柳美里

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ゆみは幼稚園に通う男児の母親です。
夫は単身赴任中で息子との二人暮らし。
毎日せっせと息子を幼稚園に送り迎えしていますが、ゆみは幼稚園の経営方針に不満があり険悪状態。
そのせいか息子もうまく馴染んでいないようです。
住んでいる団地の自治会ともごみの出し方で揉め、福島原発の放射能漏れの影響が気になり、夫が浮気しているようだと疑心暗鬼になり・・・・。
なんだか周りはすべて敵といった感じで、ほぼノイローゼ状態ですね。
しかし視線はゆみという主人公なので、客観的ではありますが読んでいるこちらもゆみ目線になります。
そう考えるとたしかに世の中「そうだそうだ」と頷く部分もありますが。
実際ここまでではなくてもこのような言動をしている人は大勢います。
夫婦や親子といった家庭問題、育児、近隣とのコミュニケーション、健康問題、あらゆる問題がこの小説には詰まっています。
最後は・・・・ちょっと救いがないですね。
辛すぎます。
ラベル:小説
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2018年12月17日

「Cボーイ・すくらんぶる」唯川恵

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岡村菜奈18歳。
無事高校を卒業して短大進学も決まり、この春から親元を離れて金沢での寮生活が始まります。
カントリーボーイに辟易している菜奈は、ぜひとも金沢での生活で素敵なシティーボーイの恋人を見つけるんだと意気込みます。
しかし金沢に旅立つ前日、幼馴染みの涼太に呼び出され、結婚してほしいとプロポーズを受けます。
それだけならまだしも強引に大事なファーストキッスを奪われて。
好きでもない涼太にそのようなことをされ、平手打ちしてその場を去った菜奈。
寮生活が始まったものの、同じ大学に進学し寮も一緒な幼稚園からのライバルである日野杏子がなにかと目障りです。
杏子には幼稚園時代に好きな男の子を奪われた経験があるのです。
そして新入寮生歓迎コンパでその男の子こと智彦君と偶然再会した2人。
火花が散ります。
さて、菜奈の恋愛や大学生活は・・・・。
直木賞作家・唯川恵のコバルト時代の作品です。
発行は昭和60年。
30年以上も前ですね。
タイトルの「Cボーイ」というのはカントリーボーイとシティーボーイを引っかけているのですが、いまや死語。(笑)
雑誌「POPEYE」の時代ですよね。
そして「すくらんぶる」とひらがなで表記しているあたりも時代を感じさせて小っ恥ずかしいものがあります。
今になってそれをツッコんでもどうしようもないし作者もおそらく赤面するでしょうからともかくとしまして。
内容も今からすれば幼いといいますか純粋といいますか。
ファーストキスがどうとか、コンパでドキドキという世界です。
でも今のスレたティーンズラブ小説からすればこれが実に初々しく懐かしい。(笑)
恋愛については時代と共に男女間のハードルというのはもちろん大きく変わりましたけども、精神的な根本の部分では変わってないんじゃないかという気がします。
ただ昔は10段階だったのが今は1段階2段階で済んでしまっているというのはありますね。
なのでこのような10段の階段の1段目のようなティーンズ小説は時代錯誤かもしれませんが、だからこそもう一度読まれなおしてほしいという気もします。
ラベル:小説
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