2018年12月17日

「Cボーイ・すくらんぶる」唯川恵

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岡村菜奈18歳。
無事高校を卒業して短大進学も決まり、この春から親元を離れて金沢での寮生活が始まります。
カントリーボーイに辟易している菜奈は、ぜひとも金沢での生活で素敵なシティーボーイの恋人を見つけるんだと意気込みます。
しかし金沢に旅立つ前日、幼馴染みの涼太に呼び出され、結婚してほしいとプロポーズを受けます。
それだけならまだしも強引に大事なファーストキッスを奪われて。
好きでもない涼太にそのようなことをされ、平手打ちしてその場を去った菜奈。
寮生活が始まったものの、同じ大学に進学し寮も一緒な幼稚園からのライバルである日野杏子がなにかと目障りです。
杏子には幼稚園時代に好きな男の子を奪われた経験があるのです。
そして新入寮生歓迎コンパでその男の子こと智彦君と偶然再会した2人。
火花が散ります。
さて、菜奈の恋愛や大学生活は・・・・。
直木賞作家・唯川恵のコバルト時代の作品です。
発行は昭和60年。
30年以上も前ですね。
タイトルの「Cボーイ」というのはカントリーボーイとシティーボーイを引っかけているのですが、いまや死語。(笑)
雑誌「POPEYE」の時代ですよね。
そして「すくらんぶる」とひらがなで表記しているあたりも時代を感じさせて小っ恥ずかしいものがあります。
今になってそれをツッコんでもどうしようもないし作者もおそらく赤面するでしょうからともかくとしまして。
内容も今からすれば幼いといいますか純粋といいますか。
ファーストキスがどうとか、コンパでドキドキという世界です。
でも今のスレたティーンズラブ小説からすればこれが実に初々しく懐かしい。(笑)
恋愛については時代と共に男女間のハードルというのはもちろん大きく変わりましたけども、精神的な根本の部分では変わってないんじゃないかという気がします。
ただ昔は10段階だったのが今は1段階2段階で済んでしまっているというのはありますね。
なのでこのような10段の階段の1段目のようなティーンズ小説は時代錯誤かもしれませんが、だからこそもう一度読まれなおしてほしいという気もします。
ラベル:小説
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2017年12月26日

「オンエア(上・下)」柳美里

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3人の女子アナを描いた小説です。
藤崎あゆみは26歳。
〈ニュースEYE〉のサブキャスターです。
同番組のプロデューサーと不倫の関係です。
水沢千広32歳は同じく〈ニュースEYE〉のスポーツキャスター。
秘かに人気野球選手と付き合っています。
望月結香22歳も〈ニュースEYE〉のお天気キャスターです。
鹿児島出身で大学時代からの同郷の彼氏がいます。
それぞれテレビの前では華やかですが、裏では男関係でドロドロです。
藤崎あゆみはほとんど性奴隷状態、水沢千広は新人アナに彼氏を取られ、望月結香は別れた彼氏のリベンジポルノでスキャンダルとなり・・・・。
読む前は柳美里がなんでまた女子アナの小説なんてと思ったのですが、読んでみますとさすがだなと。
女子アナを題材にしてこんな内容は誰も書けない(書かない)でしょう。
出だしからいきなり3人の濃厚なセックスシーンですしね。
そしてその後の泥沼っぷり。
そのような状況の中から3人はどのような道を進んでいくのか・・・・。
以前にこのブログで「ルージュ」という化粧品業界を描いた作品を取り上げたとき、同じ業界を描いた林真理子の「コスメティック」という作品と比較したことがあります。
まったく違ったベクトルで、いかにもそれぞれの作家らしい内容でした。
やはり柳美里が書くと華やかなサクセスストーリーとはならないんですね。
たしか林真理子も女子アナを書いていたと思いますが、また探していずれ読んでみたいと思います。
ラベル:小説
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2016年07月16日

「ファミリー・シークレット」柳美里

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我が子に暴力を振るってしまう。

ひどいときには死に至らしめてしまう。

そのような事件をニュースで見聞することもまれではありません。

なぜ愛する子供にそのようなことをしてしまうのか。

2008年、芥川賞作家である著者が自身のブログに我が子を叩きまくったと書き、2ちゃんねるで祭りになります。

一気に話は広まり、スポーツ紙や週刊誌から取材依頼が殺到。

著者は臨床心理士のカウンセリングを受けることにし、その内容を赤裸々に綴ったのがこの本です。

自身も子供の頃親から虐待を受けており、それがトラウマになっているようですね。

それを無意識に自分の子供に「再演化」してしまう。

カウンセリングを受け、心の闇をさらけ出し、それをこのようにノンフィクションとして公表するところがこの著者らしいといいますか。

今まで書いてこられた小説がそうでしたからね。

傷口のかさぶたをひっぺがし、流れ出る血を作品にしてこられたような作家です。

以前に「仮面の国」というエッセイ集で子供を虐待する親を断罪しておられましたが、それは当然のことでしょう。

肯定する人などいないと思います。

そのときはまだ子供がおられませんでしたが、いざ自分が親になってみると我が子に対してそのようなことをしてしまったんですね。

それほどトラウマというのは根深く、子供の頃の体験というのは後の人生にも影響を与えるようです。

しかしなんだかんだとつねに言動が注目を浴びる刺激的な作家さんですね。(笑)

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2016年03月28日

「ランチのアッコちゃん」柚木麻子

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東京・麹町のはずれにある小学生用の教材を専門とする小さな出版社に勤める澤田三智子は派遣の営業補佐。

会社の近所にはランチメニューやお弁当を出す店がなぜかまったくありません。

ということで昼はいつも誰もいない営業部でひとり、デスクで自作の弁当を広げています。

そんなある日、営業部長の黒川敦子、通称アッコちゃんから1週間ランチを取り替えないかという提案をされます。

三智子の作った弁当を部長が食べ、部長が日頃通っている店に部長の金銭負担で三智子が通う。

あまり気乗りしないながらも受けた三智子ですが、その結果日々にどのような変化が・・・・?

連作短編集です。

表題作とその次の「夜食のアッコちゃん」は三智子が主人公ですが、そのあとの2編はまったく関係なし。

ですがちらっとアッコちゃんが登場します。

でもこれは連作として一冊に収めるために無理やりこじつけたようで、ちょっと苦しい。(笑)

どうせなら三智子とアッコちゃんのコンビでずっといってほしかったです。

もしくは相手が三智子でなくてもアッコちゃんを活躍させませんと。

なんといってもタイトルが「アッコちゃん」なんですから。

続編ではまたアッコちゃんが活躍しているようなので、いずれ読んでみることにしましょう。

ラベル:グルメ本 小説
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2016年03月04日

「フランス料理を料理する 文明の交差点としてのフランス料理」湯浅赳男

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世界の三大料理といえば、フランス料理、中国料理、そしてあとひとつはなんでしょう。

なんてクイズみたいですが、一般的にはトルコ料理といわれています。

でも日本人にとってはトルコ料理なんてピンとこないですよね。

料理そのものの完成度というよりも、地理的文明的な側面から三大料理のひとつに数えられているようです。

フランス料理と中国料理に異論は無いとして、あとひとつは私個人的には日本料理ではないかと思うのですが、3つめはそれぞれ自分の国の料理を付け加えておけばそれが正解なんて論もあります。(笑)

さて、本書は世界最高ともいわれるフランス料理について書かれた本です。

中国料理との比較ではオーブンと蒸篭の違いであると論じておられます。

そして系譜としてローマ帝国やイスラーム、イタリア料理からの影響。

サーヴィスについてはロシアが起源なのか。

マナーや食器について、素材の生産地について、などなど。

料理そのものよりも、歴史や文化といった面から外堀を埋めていくようにフランス料理を分析しておられます。

美味しい物を食べるのに理屈はいりませんが、料理をその国の文化として捉えるならば、この本に書かれているようなことを知っておくのも教養でありましょう。

何年も前に大阪で若い女性料理人が店をオープンさせたのですが、情報誌の取材で店のBGMについて「シャンソンはキモいからかけない」というような発言をしていました。

ロックだったかジャズだったかをかけていると。

別にフランス料理店だからシャンソンをかける必要なんてまったくありません。

しかしフランス料理を志していながらその国の文化をキモいなんて言ってのけるその感性に、私は絶対にこんな料理人の料理は食べたくないと思いました。

フランス料理に思い入れがあるのではなく、店主として料理する自分に自己陶酔しているのでしょう。

それをカッコイイかのように取り上げたライターや雑誌にも情けなさを感じましたね。

話が逸れました。

フランス料理に興味のある人なら、“サイドメニュー”としてご一読を。

ラベル:グルメ本
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