タイトルの通り「女ひとりで寿司屋を食べ歩く」というのがコンセプトです。
しかも高級寿司屋。
女性というのはなかなか一人で外食するというのは勇気がいるらしく、ましてやそれが寿司屋となるとなおさらでしょう。
男性でも高級店となると気後れしますしね。
寿司屋というのはまだまだ男性中心の世界であり、女性は男性に連れて行ってもらう所というイメージがあります。
そこに女ひとり乗り込んでいくわけですね。
この企画のきっかけはまえがきにあるように、初めて女ひとりで寿司屋に行きとても気まずい雰囲気を味わったことだとか。
気の強い著者は鼻をあかしてやりたいとひとり寿司にのめり込んでいったのだそうです。
それではと女ひとり寿司を始めて最初に訪問したのが「銀座 久兵衛」。
老舗の高級店でありますが、意外とここではとても居心地のいい思いを味わったとか。
いい意味での肩透かしだったようで。(笑)
その他「あら輝」や「鮨 青木」、「すきやばし次郎」といった有名店が続々と出てきます。
しかしその内容なのですが、思ったほど「女ひとり寿司」になっていないなという印象です。
せっかくですから予約の段階から店を出るまで、徹底して「女ひとり」の視線と感覚に徹したレポートにしてほしかった。
文章からはわからない気苦労はもちろんたくさんおありだったでしょうが、読んでいて「別にこれ男ひとりのレポートでもたいして変わらないのでは」と思う部分も多数。
それでも女ひとりというフィルターは通してありますので、やはりそのニュアンスは滲み出ているのでしょうけど。
そして白けてしまったのがあとがき。
これによると連載として取材費で食べ歩いていたそうで・・・・。(笑)
それでは会社の経費で食べている男性となんらかわらないではないですか。
仕事として原稿料を貰い、飲食代は取材費として編集部負担。
それで「女ひとり寿司」なんて胸張られても・・・・。
親からの仕送りで一人暮らしをし、「わたしは自立している」というようなもの。
もちろんプライベートでも食べ歩いておられるそうですが。
コンセプトはいいと思うのですが、もうちょっとシビアに徹底してほしかったですね。
しかしこれはこれでとても面白い寿司食べ歩きエッセイだと思います。