2019年10月16日

「わすれなぐさ」吉屋信子

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女学校に通うタイプの違う3人の少女たち。
個人主義で無口な牧子、美人でわがままなお嬢様陽子、まじめでロボットとあだ名される一枝。
なぜか陽子は牧子に興味を持ち、やたら親しく近づいてきます。
しかし自分とはまったくタイプの違う陽子に牧子は戸惑い、振り回されてしまいます。
むしろ自分は一枝と仲良くなりたいのですが。
まるでゲームを楽しむかのように牧子を翻弄する陽子。
そんな中、病弱だった牧子の母親が亡くなってしまい・・・・。
学校での少女たちの三角関係といいますか友情を描きつつ、家に帰れば愛情を注がれたことのない父親との葛藤があったりします。
少女小説らしく根本には性善説があり、悪人は出てきません。
のどかといえばのどかです。
牧子の父親は大学で教授をしている理学博士で子供たちにも非常に厳しいのですが、最後にあっけなくいい父親に様変わりしてしまいますしね。(笑)
まあ昭和初期の少女ロマンといいますか、レトロな雰囲気のある作品ではありますね。
ラベル:小説
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2018年02月22日

「サブカル・スーパースター鬱伝」吉田豪

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サブカルは40歳を超えると鬱になる。
そのようなテーゼを持つに至った著者は、実際に鬱の経験があるサブカル界の人たちにインタビューを試みます。
登場するのは、リリー・フランキー大槻ケンヂ、川勝正幸、杉作J太郎、菊池成孔、みうらじゅん、ECD、松尾スズキ、枡野浩一、唐沢俊一、香山リカ、ユースケ・サンタマリア。
最後のユースケ・サンタマリアがちょっと異質ですけども。
これは文庫版だけの増補です。
さて、日本には厄年という概念があって、男性の場合は42歳なんですよね。
つまりこの本のでいう「40歳を超えると」というのに当てはまります。
しかしこの厄年には科学的医学的な根拠はありません。
ですが40年も生きていればそろそろガタもくるでしょうし、社会人になって20年も働いていれば精神的なストレスも相当溜まることでしょう。
なので厄年というのもあながち的外れではないのかもしれません。
そういう意味ではこの本に登場する人たちもそれに当てはまっているのかなと。
ただサブカルに限らずということにはなりますが。
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2018年01月25日

「ユニクロ帝国の光と影」横田増生

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ユニクロといえばたいがいの人が1点くらいはアイテムを持っているんじゃないですかね。
それまでの安かろう悪かろうな服ではなく、リーズナブルな値段でその割には品質がいい。
デザインも安物的な下品さがない。
そのあたりが人気した要因でしょうか。
そしてフリースブームもありました。
さて、2009年ユニクロの持株会社であるファーストリテイリングの売上高は前年比2ケタ増し。
営業利益では過去最高記録を更新したそうです。
営業利益率は15パーセントを超えており、同年の東証1部上場企業の平均が2パーセント台だったとのことで、そう考えるとちょっと異様ともいえる数字ですよね。
それだけ勢いのある会社なわけですが、牽引してきたのがもちろん柳井正氏。
辣腕な経営者として知られています。
というか、ユニクロ(ファーストリテイリング)=柳井正というイメージさえあります。
ま、ワンマン経営者なイメージですよね。
この本はそんなユニクロを徹底取材し内情を暴き、名誉棄損までされた問題作です。
ユニクロとはいったいどんな会社なのか。
柳井氏の経営方針とは。
従業員たちはどのような思いを持って働いているのか。
サービス残業の常態化が問題になったりして、ブラック企業だなんて声も聞かれます。
そして中国の工場では現地の人たちをどのように働かせているのか。
そのあたりに深く突っ込まれて痛さを感じたのでしょう、ユニクロは2011年にこの本(単行本)と週刊文春を名誉棄損で東京地裁に提訴しました。
2013年に下った判決はユニクロの敗訴。
このことについては文庫版として本書の巻末に掲載されています。
その後ユニクロは東京高裁に控訴したものの、高裁は一審判決を支持し控訴を棄却。
最高裁はユニクロの上告を受理しないとのことで、高裁での判決が確定。
全面敗訴ですね。
つまりこの本の内容が正当であると認められたということです。
まあ相当強引な経営をしないとここまでの急成長はないのかもしれません。
だからブラックでもしょうがないという言い訳にはなりませんが。
ちなみに柳井氏は2010年に「10年後には売上高5兆円、経常利益1兆円にしたい」とブチあげました。
現在はどうかと調べてみますと、2017年8月決算では売上高1兆8619億円、経常利益が1933億円でしたね。
さすがに売上高5兆円はちょっと無理っぽく売上高目標も3兆円に引き下げておられます。
それでも海外が好調のようで過去最高の売上高とか。
さて、目標を達成するまで柳井氏は代表を続けるんでしょうか。
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2018年01月07日

「打ちのめされるようなすごい本」米原万理

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書評集です。
第一部は「私の読書日記」。
第二部が1995年から2005年の10年間に書かれた書評。
この本は書評家としての米原万理の全作品とのことです。
保存版な一冊ですね。
著者は2006年に卵巣がんで亡くなったのですが、読書日記ではその闘病の様子も書かれています。
がんについての本もいろいろと読んでおられたようです。
そしていろんな治療法を試してみつつ、代替医療や健康食品などについてその種類の多さや値段の高さに「人の弱みにつけこんでいる」と批判しておられます。
ですがそれを拒み切れない自分が情けないとも吐露しておられます。
理知的で鋭い視点を持っておられる彼女をしてそのように冷静さを欠いてしまうのかと、がん患者の当人しかわからない苦しみが書かれています。
日記も最後のほうになってくるとほぼ癌治療についての本だけとなってきます。
最後の日記の掲載が2006年5月18日。
亡くなられたのが同年5月25日。
ほんとになくなる寸前まで原稿を書いておられたんですね。
まさしく遺作です。
ラベル:書評・作家
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2017年10月21日

「食ショック」読売新聞食ショック取材班 著

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食について読売新聞に1年間連載されたものを書籍化。
内容は大きく3章にわかれています。
第一章は「食の安全をどう守る」。
まずは中国の冷凍ギョーザ中毒事件を取り上げています。
ありましたねぇ。
2008年、生協の中国製冷凍ギョーザを食べた家族が中毒症状をおこして入院。
ギョーザから殺虫剤が検出されました。
食べ物から殺虫剤って・・・・。
つい最近も惣菜店で食中毒が発生し、3歳の女児が死亡するという痛ましい事件がありました。
数年前には焼肉店の生レバー事件もありましたしね。
迂闊に信用できません。
第二章は「飽食のコスト」。
世界最大の食料輸入国でありながら大量の食料を捨て続けている日本。
いったいなにやってんだか。
食料自給率はカロリーベースで4割ほどだというのに。
第三章は「変わる食文化と食習慣」。
昔ながらの和食というのが片隅に追いやられてしまっています。
洋食化、そしてファストフードやインスタント食品の跋扈。
それも使いようによってはいいのですが、メインの食事としている家庭も非常に多い。
その結果が肥満や成人病です。
親が平気で子供に食べさせてますもんね。
しかしそれらの反動として、安全な食を提供する生産者、食べ残しを減らすための取り組み、食育などの運動をおこす人たちも現れています。
そういうのが少しずつでも広がっていくといいですね。
そろそろ目を覚まさないと本当にやばいんじゃないでしょうか、日本人。
ラベル:グルメ本
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