2016年11月25日

「名画感応術 神の贈り物を歓ぶ」横尾忠則

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絵画をどう観るかということは実にむつかしい。
というのは本当だろうか、と著者は問いかけます。
左脳で「わかる」、「わからない」で選別すればそれでいいのかと。
知識がなくても心をオープンにすれば絵に感動する魂をなびかせるのだと。
そうなんですよねぇ、素直に単純にその絵と向き合い楽しめればそれでいいと思います。
しかし言うは易し行うは難しで。
右脳で感じたことを左脳が理屈で邪魔してしまうみたいな。
ただ神だとか霊感だとか宇宙だとか、オカルト的な話をされるとちょっとそれはどうかなと思うのですが。
このあたりはやはり横尾忠則だなと。
さて、この本では36の画家と作品が紹介されています。
それに著者が文章を添えているわけですが、色使いがどう、構図がどうという話にもなり、どうしても分析的な観かたになってしまいます。
ですがそれはやはりある程度必要なことでしょう。
そのような解説があって「ああ、なるほど」と思ったり「そうだったのか」という発見があったりします。
自分の感性にはない観かたを教えてもらえますから。
でも結局は自分がどう感じたかですけどね。
それは音楽でも料理でも同じことでしょう。
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2016年07月20日

「マンガの現代史」吉弘幸介

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1947年、手塚治虫の登場で少年マンガがスタートしたとまえがきで著者は記します。

「新宝島」の発表を指しているのでしょう。

この作品が少年マンガのスタートと捉えるかどうかはともかくとしまして、漫画界にとってひとつの起点となったのは確かだと思います。

本書では最初に少年ジャンプを取り上げておられます。

やはりまずはジャンプ現象ですか。

たしかにマンガがいかに市民権を得たかを語るのに、少年ジャンプの発行部数653万部(1995年)というのは欠かせないネタです。

60年代の週刊化突入、70年代の青年誌創刊、そして黄金期に入り始めた80年代。

そして90年代に少年ジャンプの金字塔なんですね。

もちろんその歴史の中でいろいろとあったわけで。

いろんなジャンルのマンガが生まれ、いろんなマンガ家が登場しました。

ギャグマンガ、ストーリーマンガ、4コママンガ、ガロ系のマイナーなマンガなどなど。

その影響は外国にまで及び、今やたかがマンガとは言えないまでになっています。

この本が出版されたのは1993年。

もう20年以上経っているわけですが、それからもまた変遷し続けています。

しかしマンガ雑誌の発行部数は落ちてきています。

売れる単行本はとことん売れているんですけどね。

今後マンガはどのようになっていくのでしょう。

ラベル:漫画本
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2016年04月13日

「64(ロクヨン)上・下」横山秀夫

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三上義信はD県警の元刑事で現在は広報官。

家庭では一人娘が失踪中です。

職場では警務部と刑事部の軋轢、そして記者クラブとも事件の匿名問題で揉めており板ばさみ状態です。

そんな中、昭和64年に起こったロクヨンと呼ばれる少女誘拐殺人事件の被害者宅に警察庁長官が視察に訪れることになります。

三上は調整のため被害者宅を訪れますが、遺族は拒否。

刑事部からも警務部の犬だと顰蹙を買います。

しかし遺族を説得し長官の視察を実現させるのが三上の仕事です。

警務部長からもなんとしてでも遺族を説得しろと叱責されるのですが、やがて長官視察には真の目的があることを知ります。

そして視察前日、それに合わせるかのようにD県警を揺るがす大きな事件が・・・・。

さすがの横山秀夫、ビシッと締まりのある文章で読ませてくれます。

刑事の魂を持っていながら広報官として刑事部を敵に回すような仕事をしなければならない苦悩。

組織の一員として個人を殺してでも仕事をまっとうしなければならない葛藤。

そして失踪中の娘に対して父親としてなにも理解してあげていなかったのではという後悔。

いろんな思いを抱えて三上は目の前の仕事に向き合います。

ロクヨンの真実が書かれた『幸田メモ』や長官視察の目的などに読んでいて引っ張られるものがありますし、後半三上が事件に同行して犯人を追う展開も緊迫感がありました。

ですが、結局その事件の解決が中途半端ですし、三上の娘の件もそうです。

せっかくここまで来てという消化不良感がありました。

ラベル:小説
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2016年01月26日

「あの道この道」吉屋信子

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東京から程近い海辺の村で同じ日にふたりの赤ちゃんが生まれます。

ひとりは東京の実業家で金持ちの大丸家の別荘で。

もうひとりは怠け者で貧乏な漁師の龍作の家。

大丸家の夫人は日頃の弱い体が出産に耐えられず亡くなってしまいます。

大丸家の子供は千鶴子と名付けられ、やはり母乳が必要ということで同じ日に赤ちゃんを産んだお静がいる龍作の家にしばらく預けられます。

しかしそこで大丸家の娘千鶴子と漁師の家の娘しのぶが取り替えられてしまうのです。

裕福な家で育てられるはずだった娘が貧乏な漁師の子供に、貧乏な家で育てられるはずだった子供が金持ちの娘に。

ふたりの人生はどのようになるのか・・・・。

ステレオタイプだとは思います。

千鶴子は金持ちの娘らしく我儘です。

しのぶは貧しいものの美しく心の優しい娘に育ちます。

やがてこの2人に接点が訪れるところがドラマです。

真実を知るしのぶの母親であるお静の苦悩や、なにも知らないしのぶが母親や弟を思う気持ちが優しく切ない。

ベタな話ではありますが、爽やかな感動がありました。

ラベル:小説
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2015年09月29日

「今夜も残業エキストラ」吉野万理子

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就職氷河期で入社試験さえ受けさせてもらえなかった紺野美穂。

ようやく大学の先輩の会社に就職できたものの3年で倒産。

その後幸運にもキャラクタービジネスの会社に就職することができました。

大手企業の下請けとしてキャラクターグッズを作ったりそれに関連するホームページを作ったり、冊子を作ったり。

ですがいわゆる縁の下の力持ちなわけで、決して世の中の主役にはなれないエキストラです・・・・。

いわゆるお仕事小説。

今の仕事を気に入っている人いない人いろいろいると思いますが、自分が世の中の主役のように感じている人なんてほとんどいないと思いますけどね。

そういう意味ではたいがいの人がエキストラでしょう。

じゃあどういう立場が主役なのか。

やはりマスコミに登場するような人ということになるのでしょう。

こういう価値観を持っている人は多いと思います。

それは向上心であり上昇志向でもあるわけですから、決して悪いことではありません。

それだけその仕事で活躍しているという社会的な評価ですから。

私自身はまったくそのようなことに興味はありませんが(ボンクラでけっこうだと思っています 笑)、世の中で活躍している人には興味ありますし職人仕事に惹かれます。

ま、私のことはともかく。

この作品はややエタニティ文庫的なノリで一般小説としては軽いですが、若い女性が読むぶんには元気をもらえるかも。

苦労しつつも自分の仕事を認めてもらえたり、憧れの先輩と一緒に仕事をしてときめいたり。

それにしてもこういう小説って「プロジェクト」という言葉が好きですねぇ。

大きなプロジェクトに関わる自分。

キャリアウーマンに憧れる女性好みのキーワードといえましょう。(笑)

ラベル:小説
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