2012年07月28日

「獄門島」横溝正史

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瀬戸内海にある「獄門島」と呼ばれる島。

金田一耕助が死んだ戦友の遺言を持ってこの島を訪れます。

その遺言とは「獄門島へ行ってくれ・・・・三人の妹が殺される・・・・おれに代わって行ってくれ」というもの。

しかし金田一が居ながらにして三姉妹は次々と殺されていくのです。

しかも奇妙な殺され方で・・・・。

数ある横溝作品の中でこれをベスト1に推す人も少なくない作品です。

俳句にちなんだ三姉妹の殺され方のそれぞれ違ったトリック、最後まで予想のつかない犯人など。

しかし最初の犠牲者は木に逆さに吊るされていたわけですが、人間を木に逆さ吊りするなんてかなり骨の折れる作業です。

犯人はそれを一人でしかもほんのわずかな時間でやってのけています。

これがどうも納得いかない。

第二の犠牲者は釣鐘の中に置かれていたわけですが、これも時間差のトリックの種明かしを読んでみれば子供だましのような内容。

私はトリックやらアリバイやらといった話はあまり好きではないので、そのように冷めた目で見てしまうのかもしれませんが。

ただ金田一(読者)の目を最後まで犯人に絞らせない人物配置や物語設定などは見事だなと思いました。

どっしりと読み応えのある大作ではあります。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『よ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月18日

「帽子」吉村昭

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短編九編収録です。

どれも非常に地味な話なのですが、ふっと心の琴線に触れるのですね。

表題作の「帽子」は癌に冒された妻を持つ男性が主人公。

病院からの帰り道、車から見えたビルの二階にある帽子屋に妻が興味を持ちます。

ベッドで寝たきりになっている妻に、夫はその帽子屋でさまざまな帽子を買ってきて与えてやります。

「買い物籠」では医者である主人公とその家に昔家事手伝いとして働いていた女性との話。

ある飲み屋で客とホステスとして再会します。

それをきっかけに主人公が過去を振り返り、境遇が語られます。

それだけの話です。

再会して男と女の仲になってどうのこうのとはなりません。

その他の作品も同じくでして、人生のささいな日常の中のちょっとイレギュラーな出来事を切り抜いたような話です。

地味ながら味わい深い。

はっきりとストーリーのあるエンターテイメントも読み応えあっていいですが、こういうのもまたしみじみいいいですね。

posted by たろちゃん at 04:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 『よ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月03日

「お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人」吉村葉子

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著者はパリで20年間暮らした経験がおありです。

そんな著者が食べることをメインに書いたエッセイ集。

まさにタイトルが日本人とフランス人の考え方の違いを言い表していますね。

グルメで知られるフランス人ですが、決して日本人のようにお金にものをいわせて高級な料理を食べあさったりはしません。

星付きのレストランなんて一生行かない人も多数。

ワインにウンチクなんて垂れませんし。

安くて美味しく楽しむコツを知っているのです。

この本では主にフランスの地方の家庭料理を紹介しておられます。

プロヴァンス、ブルゴーニュ、アルザス、ノルマンディ・・・・。

これが地味ではありますが実に生活に根ざしたという感じで美味しそうなんですね。

お腹が鳴る記述もいろいろとあります。

友人の家に食事に行くと、前菜で出されたのは20センチほどある巨大なホワイトアスパラガス。

これがドンと。

そして黄色いドレッシングがたっぷり入った器がテーブルの真ん中に。

「ボン・ナペティ」の合図とともに食事開始。

これをひたすら食べる。

いいですねぇ、こんな食事。

これで冷えた白ワインをグビグビできたら。

そして楽しい会話。

「食事」を楽しむということにかけてはやはり日本人よりも彼らのほうが数枚上手のようです。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 『よ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月04日

「悪魔の手毬唄」横溝正史

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岡山県と兵庫県の県境にある鬼首村。

そこで村の若い娘が奇怪な殺され方をします。

浅い滝壺で発見されたその娘は口に漏斗を突っ込まれ、その漏斗には上に置かれた枡から滝の水が注ぎ込まれています。

探偵の金田一耕助と磯川警部が事件解明に乗りだすのですが、次々と他の娘も殺されていくのです。

二人目は帯に竿秤が差し込まれ、秤の皿には作り物の大判小判をつけたマユ玉が乗せられています。

どうやら村に伝わる手毬唄の歌詞の内容に合わせた殺され方をしているようなのです。

金田一は次は錠前屋の娘が殺されるのではないかと警戒しますが、殺されたのは違う娘でした。

しかし殺された近くには錠前と鍵が落ちていたのですが。

二十年前にこの村で迷宮入りになった事件が関連しているらしく、また複雑な人間関係が事件を混沌とさせます・・・・。

横溝正史の代表作の中の一冊ですね。

前回読んだ「八つ墓村」よりはよかったと思います。

金田一耕助も存在感ありましたし。

「八つ墓村」では影が薄かったですからねぇ。(笑)

登場人物が多く人間関係が複雑なので、できれば読みながら自分で相関図を作りたいところ。

その複雑さが事件のきっかけともいえますし、作品に厚みをもたらしています。

文庫本で約500ページの長編、読み応えありました。

ラベル:小説
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2011年08月08日

「吉田電車」吉田戦車

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人気ギャグ漫画家のエッセイです。

ペンネームに引っ掛けたタイトルのシリーズ第2弾ということで、今回は電車の旅をテーマに。

伊勢神宮にお参りするため、近鉄電車に乗り伊勢に向かう吉田氏。

もちろん参拝だけではなく伊勢うどんを食べたり水族館を見学したりいったことが、ギャグ漫画家の視点でレポートされます。

厄払いのために佐野厄除大師に仲間とぞろぞろ出かけたり。

どれも著者のさりげない日常なのですが、思わず笑ってしまうのはさすがにギャグ漫画家としてのセンスでしょうか。

ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 『よ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする