2016年08月29日

「パリのレストラン」ローラン・ベネギ

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パリの小さなレストラン『ル・プチ・マルグリィ』。

夫婦で30年近く営業してきましたが今夜で閉店です。

真冬の雪が降る中、店に息子夫婦とその友人たちが集まり、お別れの晩餐会が開かれます。

オーナーシェフのイポリットが料理を作り、妻のジョセフィーヌがサービスをし、賑やかに食事が進んでいきます・・・・。

450ページほどの長編ですが、描かれているのは一夜でしかも舞台はほとんどレストランの中。

集まった人たちのさまざまな人間模様の物語です。

雪の降る寒い夜という設定がいいですね。

登場人物を含めてレストランの暖かみが強調されます。

しかしまだまだ元気なオーナー夫妻がなぜ店を閉めなければならないのか。

食事の進行と共に客たちの人間模様が描かれつつ、最後にはイポリットが店を閉める理由が明らかにされます。

この小説、ちょっとしたトリッキーな構成になっているんですね。

話は進行形ですが、登場人物のひとりであるオーナー夫妻の息子で作家のバルナベが書いた小説であるということにもなっています。

入れ子構造ですね。

箱の中にまた同じ箱があるというやつ。

ちなみにこの『ル・プチ・マルグリィ』というレストランは実在し、作者の両親が経営していたそうです。

現在も経営者は変わりましたが営業しているとのこと。

作者の体験を基にした小説なんですね。

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2016年02月21日

「この人に聞きたい青春時代」鹿砦社編集部 編

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インタビュー集です。

前書きによると60年~70年代に青春を過ごされた人たちということで。

登場するのは筒井康隆立松和平清水義範、中村敦夫、落合恵子の5人。

本の趣旨としてはまったく目新しいものではありません。

ただ単に青春時代をインタビューしているというだけですから。

しかし登場する人たちが皆第一線で活躍する一流の人たちですからね。

このような人たちが当時どのような考えを持ち、どのような道を選択してきたのか。

これはやはり拝聴(拝読)するに値あるでしょう。

それぞれの道で才能を発揮され成功を収めてこられた人たちが語る青春時代、味わいと重みがあります。

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2015年08月28日

「スローワルツの川」ロバート・ジェームズ・ウォラー

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「マディソン郡の橋」がベストセラーとなった作者による2作目の小説です。

マイケル・ティルマンは大学教授。

大学内ではちょっと変わり者という風評です。

そんなマイケルがある新任教授の歓迎会で出逢ったのがジェリー・ブレーデン。

同じ大学の教授ジム・ブレーデンの妻です。

お互いインドに興味があり旅したこともある二人は惹かれあいます。

しかしジェリーは人妻です。

どちらも相手が気になるにもかかわらず、想いを伝えることができません。

ですがようやく二人は結ばれます。

なのにジェリーはいきなりインドに旅立ってしまうのです。

夫のジムはおたおたして嘆くばかり。

それを知ったマイケルはいてもたってもおられず、ジェリーを探すためにインドに向かいます・・・・。

う~ん、たしかに前作の「マディソン郡の橋」は感動しました。

クリント・イーストウッドにより映画化され高く評価されましたが、それ以前に高倉健も原作を読んで絶賛しておられたようですね。

たしかにそれほどの作品だと私も思います。

それに比べますとこの「スローワルツの川」はどうしても劣ってしまいます。

相手が人妻であるにもかかわらず想いをつのらせ、インドまで追いかけていくその熱意はいいのですが。

「マディソン郡の橋」のような熱い気持ちを抑えたストイックさが無いせいでしょうか。

これはこれでとは思いますが、やはり前作が良すぎた。

やはりそうそう柳の下にどじょうはいないようで。(笑)

ラベル:海外小説
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2013年04月14日

「マディソン郡の橋」ロバート・ジェームズ・ウォラー

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屋根付きの橋を撮るためマディソン郡を訪れた写真家のロバート・キンケイド。

道を尋ねるために立ち寄った農家にいたのはフランチェスカ・ジョンソンという主婦でした。

ロバートは52歳、フランチェスカは45歳。

二人は運命的な出会いを感じます。

写真撮影のためロバートがこの町に滞在した4日間。

二人は今後の人生で二度と巡り合わないような愛で結ばれます。

しかしロバートは独身ですが、フランチェスカは夫も子供もいる身分です。

いくらロバートに運命の愛を感じたからといって、夫や子供を犠牲にするわけにはいきません。

今の生活を投げ出してでもロバートについていきたい。

しかし家族のことを思うとそれはできませんでした。

ロバートもそんな彼女の心中を理解し、町を出ていきます。

その後、滞在中に撮ったフランチェスカの写真と手紙を送ったきり、フランチェスカに気遣ったロバートは二度と彼女に連絡することはありませんでした。

ですがロバートはずっとフランチェスカのことを想い続け、フランチェスカもまたロバートのことを忘れることはなかったのです・・・・。

そのような話をフランチェスカの亡きあと二人の子供たちが(といってももちろん成人しています)語り手にこの話を持ち込み、興味を持った語り手が物語としてまとめたという形式です。

いやぁ、泣けましたねぇ。

涙ポロポロ鼻水ズルズル。(笑)

たった4日間だけの恋をその後何十年も持ち続けた二人。

あまりにも純粋で、切なくて、哀しくて、もうたまりませんでした。

素直に感動しました。

しかし。

このような小説には必ず批判があります。

いわゆる不倫小説なわけで、純愛だのなんだのいってるのは当事者だけでありまして、例えばフランチェスカの旦那からしたら留守中に浮気されていい面の皮なわけですよね。

なにが純愛だと。

真っ当な意見です。

どこに視点を置くか、誰の目線で話を追うか、ということですね。

まあここはひねくれずに男性ならロバート、女性ならフランチェスカに感情移入して読みましょうよ。(笑)

感動必至です。

実にいい小説でした。

ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 04:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ろ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする