2019年08月23日

「ひらいて」綿矢りさ

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そこそこ成績もよくクラスでも目立つタイプの愛が好きになったのは、あまりカッコよくもない地味な男子です。
しかし彼には手紙をやりとりする女子がいました。
嫉妬する愛。
そんな愛が取った行動は、彼から彼女を奪い取ることでした・・・・。
何冊かこの作者の作品を読んでいますけども、嫉妬や底意地の悪さというものをけっこう感じます。
そんな自分に対しての苛立ちとか自虐願望とか。
話題になった「蹴りたい背中」なんかでも、主人公の女子がにな川という男子を見ていたら背中を蹴飛ばしたくなって実際蹴飛ばすんですよね。
自分に対するいら立ちを彼に被せてそのような行動を起こしたと私は読んだのですが。
「夢を与える」という作品も、子役のアイドルが芸能界という大人の世界に違和感を持ち自堕落的に人生をドロップアウトしていきますし。
本作でも主人公は彼の気を惹きたいがために彼女を傷つけ、結局はすべてそれが自分を傷つけているんですね。
成績も落ちていき、クラスでも浮いた存在になってしまいます。
折るという字は祈るという字に似ている、というフレーズが作中に出てくるのですが。
最後に愛が折った鶴をほどいていくシーンがあります。
愛は何を祈って鶴を折り、何を解放したのでしょうか。
ラベル:小説
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2019年08月11日

「どこへ行っても美味珍味」渡辺文雄

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食通として知られ、「くいしん坊!万才」の初代リポーターとしても有名な著者。
この本は日本各地の食べ歩きエッセイであり、また旅のエッセイでもあります。
旅も食べ物もやはり出会いですよね。
ただ単にこんなの食べましたでは面白くもないし味わいもない。
いろんな人に出会い、地元ならではの食べ物を紹介され、味わい、唸る。
その土地に行かなければ出会えない食材や料理に出会うのも旅の楽しみでしょう。
しかし旅番組やグルメ番組などで食べ歩くのもなかなか大変なようで。(笑)
ラベル:グルメ本
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2017年11月20日

「おでんの汁にウツを沈めて 44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー」和田靜香

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著者の本業は音楽ライター。
しかしCD不況もあり、レコード会社や音楽雑誌からの仕事依頼が激減。
というわけで、44歳にしてコンビニ店員デビューとなりました。
そのコンビニというのがマダム店長を始めとして、ベテランのオバチャンたちがずらりと勢ぞろい。
そんな中でうまくやっていけるのか・・・・。
日頃皆がよく利用するコンビニ。
特にその仕事について意識することってないですよね。
コンビニに行けばいつもそれなりに商品がそろっていて、店員さんがいて、レジで対応してくれる。
しかしそんな当たり前の光景も店側からすれば実はいろんな悪戦苦闘があるわけで。
といったコンビニの裏話を書いたお仕事エッセイですね。
どんな仕事もそうでしょうけど、表からはわからないいろんな苦労があります。
それを面白おかしく笑いと涙(?)で綴った一冊。
これを読めば明日から客としてのコンビニでの振る舞いが変わるかも。(笑)
ラベル:エッセイ
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2017年06月27日

「かわいそうだね?」綿矢りさ

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樹里恵は百貨店の婦人服ブランドショップで働く28歳。
大阪出身で現在は東京在住。
アメリカに住んでいて日本に帰ってきた隆大という彼氏がいます。
その隆大がアメリカにいたときに知り合った元カノのアキヨを自分のアパートに居候させると言い出すのです。
日本に帰ってきても居場所がなくかわいそうだからと。
もちろん樹里恵はいい気分ではありません。
しかしなんとか物分かりのいい彼女を演じて我慢するのですが・・・・。
ま、三角関係ですね。
いまいち煮え切らない彼氏、男好きのするちょっと頼りなくだらしない系な元カノ。
最後に町田康の小説を彷彿させるごとく大阪弁をまくし立てブチ切れる樹里恵がお見事。(笑)
もうひとつの収録作は「亜美ちゃんは美人」。
皆から注目される亜美ちゃんとさかきちゃんは高校時代からの友達。
人のいい亜美ちゃんはさかきちゃんにどっぷりと信用を置いているのですが、さかきちゃんはどこか冷めた目で亜美ちゃんを見ています。
やがて二人は大学生になり、社会人になり、さかきちゃんは亜美ちゃんに結婚相手を紹介されます。
これがとんでもない男で・・・・。
なんでこんないい女がこんなクズみたいな男と・・・・なんてよくあります(?)よね。
そんなパターンなわけですが、でもなんといいますか、亜美ちゃんの純度といいますか天然度といいますか、最後に愛は勝つみたいな。
突き抜けたところにも着地点はあるのだなと。
どちらも面白かったです。
この作者の作品はデビュー作から順を追って読んでいますが、私的にはだんだんとよくなっているように思えます。
ラベル:小説
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2017年06月19日

「オーシャントラウトと塩昆布」和久田哲也

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最近はいろんな料理人や料理研究家が毎日のようにテレビや雑誌に登場し、芸能人並みに顔を知られるようになった人も多数いらっしゃいます。
そういう意味ではこの本の著者である和久田哲也氏は、一般的にはさほど知られていないかもしれません。
ですが、アラン・デュカス、フェラン・アドリアと並んで世界3大シェフに選ばれたこともあるほどの料理人です。
1987年シドニーに「TETSUYA’S」を開店し、たちまち予約の取れないレストランに。
オーストラリアの素材に和のエッセンスを取り入れた料理で世界の食通たちを唸らせてきました。
そんな料理人が自身の経歴について、料理について存分に語っておられます・・・・。
調理師学校にも行かず、あちこちの有名店を渡り歩いて修業したわけでもなく、ほぼ独学で勉強されたというのがすごい。
著者の持って生まれた料理のセンスはもちろんでしょうが、オーストラリアという土地柄や時代も大きく味方したと思われます。
さてタイトルの「オーシャントラウトと塩昆布」ですが、なんのこっちゃと思われる人もいるでしょう。
これは著者のスペシャリテである「オーシャントラウトのコンフィ」のことです。
コンフィしたオーシャントラウトの切り身の上に細かく刻んだ塩昆布をまぶしてある料理です。
でもこの塩昆布、いったいどのような商品を使っているのかが私は気になるのですが。
店で年間数百キロの単位で使うそうなのですが、そうなるともちろん大量生産の市販品ですよね。
あの商品の旨味というのはほぼ化学調味料のおかげだと思うのですが、もしかしてそんなのを使っておられるんでしょうか。
私は別に化調に対して神経質になる者ではありませんし、大衆店ならそりゃ使うだろうなと容認しています。
しかしさすがにこのクラスのレストランでそういうのを使っているのだとしたら、ちょっとそれは違うんじゃないんかと思うんですけどね。
もちろんそのような一般的なものを使っているのではないと思いたいですが。
それはそれとしまして、著者の料理や経営に対してのはっきりとした考えを知ることができるいい一冊でした。
ラベル:グルメ本
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