2017年11月20日

「おでんの汁にウツを沈めて 44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー」和田靜香

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著者の本業は音楽ライター。
しかしCD不況もあり、レコード会社や音楽雑誌からの仕事依頼が激減。
というわけで、44歳にしてコンビニ店員デビューとなりました。
そのコンビニというのがマダム店長を始めとして、ベテランのオバチャンたちがずらりと勢ぞろい。
そんな中でうまくやっていけるのか・・・・。
日頃皆がよく利用するコンビニ。
特にその仕事について意識することってないですよね。
コンビニに行けばいつもそれなりに商品がそろっていて、店員さんがいて、レジで対応してくれる。
しかしそんな当たり前の光景も店側からすれば実はいろんな悪戦苦闘があるわけで。
といったコンビニの裏話を書いたお仕事エッセイですね。
どんな仕事もそうでしょうけど、表からはわからないいろんな苦労があります。
それを面白おかしく笑いと涙(?)で綴った一冊。
これを読めば明日から客としてのコンビニでの振る舞いが変わるかも。(笑)
ラベル:エッセイ
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2017年06月27日

「かわいそうだね?」綿矢りさ

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樹里恵は百貨店の婦人服ブランドショップで働く28歳。
大阪出身で現在は東京在住。
アメリカに住んでいて日本に帰ってきた隆大という彼氏がいます。
その隆大がアメリカにいたときに知り合った元カノのアキヨを自分のアパートに居候させると言い出すのです。
日本に帰ってきても居場所がなくかわいそうだからと。
もちろん樹里恵はいい気分ではありません。
しかしなんとか物分かりのいい彼女を演じて我慢するのですが・・・・。
ま、三角関係ですね。
いまいち煮え切らない彼氏、男好きのするちょっと頼りなくだらしない系な元カノ。
最後に町田康の小説を彷彿させるごとく大阪弁をまくし立てブチ切れる樹里恵がお見事。(笑)
もうひとつの収録作は「亜美ちゃんは美人」。
皆から注目される亜美ちゃんとさかきちゃんは高校時代からの友達。
人のいい亜美ちゃんはさかきちゃんにどっぷりと信用を置いているのですが、さかきちゃんはどこか冷めた目で亜美ちゃんを見ています。
やがて二人は大学生になり、社会人になり、さかきちゃんは亜美ちゃんに結婚相手を紹介されます。
これがとんでもない男で・・・・。
なんでこんないい女がこんなクズみたいな男と・・・・なんてよくあります(?)よね。
そんなパターンなわけですが、でもなんといいますか、亜美ちゃんの純度といいますか天然度といいますか、最後に愛は勝つみたいな。
突き抜けたところにも着地点はあるのだなと。
どちらも面白かったです。
この作者の作品はデビュー作から順を追って読んでいますが、私的にはだんだんとよくなっているように思えます。
ラベル:小説
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2017年06月19日

「オーシャントラウトと塩昆布」和久田哲也

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最近はいろんな料理人や料理研究家が毎日のようにテレビや雑誌に登場し、芸能人並みに顔を知られるようになった人も多数いらっしゃいます。
そういう意味ではこの本の著者である和久田哲也氏は、一般的にはさほど知られていないかもしれません。
ですが、アラン・デュカス、フェラン・アドリアと並んで世界3大シェフに選ばれたこともあるほどの料理人です。
1987年シドニーに「TETSUYA’S」を開店し、たちまち予約の取れないレストランに。
オーストラリアの素材に和のエッセンスを取り入れた料理で世界の食通たちを唸らせてきました。
そんな料理人が自身の経歴について、料理について存分に語っておられます・・・・。
調理師学校にも行かず、あちこちの有名店を渡り歩いて修業したわけでもなく、ほぼ独学で勉強されたというのがすごい。
著者の持って生まれた料理のセンスはもちろんでしょうが、オーストラリアという土地柄や時代も大きく味方したと思われます。
さてタイトルの「オーシャントラウトと塩昆布」ですが、なんのこっちゃと思われる人もいるでしょう。
これは著者のスペシャリテである「オーシャントラウトのコンフィ」のことです。
コンフィしたオーシャントラウトの切り身の上に細かく刻んだ塩昆布をまぶしてある料理です。
でもこの塩昆布、いったいどのような商品を使っているのかが私は気になるのですが。
店で年間数百キロの単位で使うそうなのですが、そうなるともちろん大量生産の市販品ですよね。
あの商品の旨味というのはほぼ化学調味料のおかげだと思うのですが、もしかしてそんなのを使っておられるんでしょうか。
私は別に化調に対して神経質になる者ではありませんし、大衆店ならそりゃ使うだろうなと容認しています。
しかしさすがにこのクラスのレストランでそういうのを使っているのだとしたら、ちょっとそれは違うんじゃないんかと思うんですけどね。
もちろんそのような一般的なものを使っているのではないと思いたいですが。
それはそれとしまして、著者の料理や経営に対してのはっきりとした考えを知ることができるいい一冊でした。
ラベル:グルメ本
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2017年05月14日

「おとぎ菓子 料理人季蔵捕物控」和田はつ子

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シリーズ第7弾です。
表題作は第四話の「おとぎ菓子」。
といってもその前の第三話「あけぼの薬膳」の続きなんですけどね。
わざわざ別のタイトルを付けてまで話をわける意味がわかりません。
無理やり一冊四話にしなくても。
結局「あけぼの薬膳」が中途半端なまま「おとぎ菓子」になってしまってますし。
なので読んでいてどうも収まりが悪い。
第一話の「春卵」にしてもそう。
煎り酒がどうのこうの、卵かけ飯がどうのこうの、結局最後に作ったのは茶巾卵。
おい、“春卵”はどうなった・・・・。
相変わらずやたらと人が死にますし。
料理を扱う小説にそういう血なまぐさいネタはどうなのかと。
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2016年04月07日

「無花果日誌」若合春侑

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桐子はカトリックの女子校に通う高校2年生です。

母を亡くし父と弟と暮らす実家は八百屋。

近所には港湾があり、昔は東洋一といわれたらしい魚市場を中心に、冷凍工場や倉庫、乾物問屋、ガソリンスタンドなどがあります。

そんな淀んだ海の水と死んだ魚と野菜とガソリンと排気ガスが交ざりあった生々しい臭いの中で育った桐子ですが、下劣な町を捨てて生きる環境を変えねばと県内でいちばんのお嬢様学校に入学した次第。

上品ぶった性格の悪い同級生や修道女の先生たちとの学校生活ですが、校外で郁クンという彼氏と逢うのがすごく楽しみでもあります・・・・。

前回読んだこの作者の作品がデビュー作の「腦病院へまゐります。」

今回はえらいまた違った作風で。(笑)

こちらはけっこうストレートな青春小説です。

思春期のいろんなエピソードを散りばめています。

恋愛はもちろん、初めてのセックスの描写もあります。

学校では友人の妊娠、自殺なども。

家庭では母との死別なんかありますしね。

いろいろ盛りだくさんなのですが、でも読み終えて「ああ、そうでしたか。いろいろあって大変でしたね」という感想しかありません。

庶民である八百屋の娘がお嬢様学校に入学してどうのこうのという設定はベタなコメディ小説のようですし、初体験、妊娠、自殺なんてのもやはりベタ。

でも悪い意味ではなく“たかが女子高生の青春の1ページ”なんてこんなものでいいのかもしれません。

なんだかんだありつつも最後はやはり彼氏ですしね。(笑)

ラベル:小説
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