2013年05月18日

「勝手にふるえてろ」綿矢りさ

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主人公のヨシカ26歳は男と付き合ったことがなく、もちろん処女です。

そしてオタク。

中学生時代の理想の彼(イチ)を思い続けつつ、しかし彼女に告白する同じ会社の男(ニ)が現れます。

二人の間で揺れ動くヨシカですが・・・・。

タイプの違う2人の男、理想と現実、そういった狭間で揺れ動く主人公の心理を描いているわけですが。

正直言いまして主人公にはイラつきました。

目の前にいたら張り倒したい。(笑)

読者(あくまで私のことですが)にそう思わせるのは、作者のキャラ作りが成功しているということでしょう。

感情移入するからそう感じるのです。

この作家の作品を読んだのはこれで3冊めです。

作風は違いますけども、なんだか第2の絲山秋子のような・・・・。

ただどれもちょっとこじんまりとしすぎな気もします。

今後はもうちょっと世界を拡げた作品を読みたいです。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:19| Comment(0) | TrackBack(1) | 『わ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月12日

「腦病院へまゐります。」若合春侑

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時代は昭和初期です。

カフェーで女給をしている人妻と帝大生が出会います。

帝大生は谷崎潤一郎を敬愛しており、男女の仲になった人妻をサディスティックに辱めるのです。

人妻は乳首を煙草の火で焼かれ、うんこまみれにされ・・・・。

身も心もボロボロになるような扱いを受け、しかしそれでも人妻は帝大生と離れることができません・・・・。

どうしようもない男にひたすら尽くす女というのはよくあるパターンです。

現実にしてもフィクションにしても、ひとつのジャンルといってもいいでしょうね。

この作品ではそれを昭和初期に時代を置き、谷崎を絡め、旧字旧仮名を用いて独特の世界を創ることに成功しています。

今回この作品を読んでみてわかったのは、やはり字面で感情移入が左右されるのだなということ。

正直、内容は把握できるものの、旧字旧仮名使いのせいでいまいち感情移入できなかったのです。

まあこれは私の修行不足。

この文字使いあっての作品ですからね。

併録されている「カタカナ三十九字の遺書」もよかったです。

ひたすら主人に尽くした女中の話。

口をきけず理不尽な扱いを受け、贖罪する姿が切なすぎます。

ラベル:小説
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2012年10月04日

「悲桜餅 料理人季蔵捕物控」和田はつ子

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シリーズ第2弾です。

日本橋の料理屋「塩梅屋」の季蔵は店の二代目。

先代は料理人でありながら悪者を裁く裏稼業をしていました。

そんな事情を知る北町奉行の烏谷椋十郎からの勧めもあり、店だけではなく裏家業も継ぐかどうか季蔵の心は揺れ動きます。

しかし季蔵の許婚である瑠璃が暗殺されそうになり、季蔵は・・・・。

ここまでを読んだ時点では、仕事人シリーズを目指しておられるのかなと。(笑)

表は料理人、裏は悪を捌く仕事人ということですよね。

それはそれでいいんですけど、しかしなぁ・・・・。

とにかく話が浅いといいますか安直といいますか。

読んでいて「え、そんなレベルでいいの?」と思ってしまう箇所が多々あるんですよね。

簡単に都合よく話を片付けてしまう。

前作に関してもその薄っぺらさを感じたのですが、相変わらずですね。

次作に進歩はありますでしょうか・・・・。

posted by たろちゃん at 04:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 『わ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月26日

「雛の鮨 料理人季蔵捕物控」和田はつ子

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主人公の季蔵は日本橋の「塩梅屋」の料理人。

ある日、「塩梅屋」主人の長次郎が殺されます。

明らかに他殺であろう事件ですが、奉行所は自殺として済ませようとします。

納得のいかない季蔵と長次郎の娘のおき玖は下手人を追います・・・・。

その他、元長崎奉行の嫡男に陥れられようとしたり。

まあなんやかんやと主人公が事件に巻きこまれながらもそれを解決していくという内容です。

しかしなぁ。

事件の解決があっけなくなんの面白みもありません。

なので捕物帖としていまいちです。

じゃあ料理小説としてどうなのかといいますと特に料理が魅力的に描かれているわけでもなく、別に主人公が料理人である必要はないのでは。

どうしても高田郁の「みをつくし料理帖」シリーズと比べてしまいます。(同じハルキ文庫ですし 笑)

主人公が表向き商売人で実は違う顔を持つ(この巻ではまだそこまでいってませんが)ということでは山本一力の「損料屋喜八郎」シリーズがありますけども、それとも比べてしまうのです。

そうなるとこの作品がどうしても薄っぺらく感じてしまうのですね。

主人公の魅力、脇役の味、物語の深み、料理の魅力の無さ・・・・。

しかしシリーズとして長く続いていますので、今後面白くなっていくのでしょうか。

すでに購入済みですので(笑)これからに期待します。

posted by たろちゃん at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 『わ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月09日

「殿下の料理番 皇太子ご夫妻にお仕えして」渡辺誠

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著者の渡辺氏の本は以前に「昭和天皇のお食事」というのを読みました。

その著書ではタイトル通り昭和天皇についてのお食事をメインとしたエピソードが綴られていました。

もちろん今上天皇や皇太子殿下についても。

この本では皇太子殿下についてのことをメインに書いておられます。

当然一般の人では知る由もないようなエピソードが披露されています。

例えば。

ある日、お客様がお見えとのことで、大至急メニューを考えて欲しいとの電話が内廷職員から入ります。

殿下は中国料理がいいのではないかとおっしゃっています、とのこと。

お客様とお二人だけの食事のようです。

普段から贅沢な食事をしているのであろうと思われがちな皇室ですが、まったくそんなことはありません。

なので予算内でメニューを組んだところ、「内容をもう少し検討して欲しい」との内廷職員からの返事です。

これは大変珍しいことだったと渡辺氏は著述します。

つまり内容をもう少しグレードアップして欲しいということなんですね。

普段料理人に対して非常に細かなお心配りをされる殿下がそこまでおっしゃる。

よほど特別なお客様なのだなと理解した渡辺氏は、メニューを組み替えました。

すると「たいへん結構です」とのお返事。

食事が終わり、すべての皿がきれいに空になって返ってきたことで、渡辺氏は胸を撫で下ろします。

そのお客様が誰だったのか、そのときの渡辺氏にはわかりませんでした。

しかし、そう、雅子様だったのですね。

のちに「あのときの中国料理は私がお作りしたものです」と申し上げると、にっこりと「とてもおいしくいただきました」とのお答え。

その後殿下のためにお食事をお作りになる雅子様のお手伝いなどもなさったそうです。

そのようなエピソードを紹介しつつ、皇太子殿下のお人柄の魅力を書き綴っておられます。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 『わ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする