2011年06月09日

「殿下の料理番 皇太子ご夫妻にお仕えして」渡辺誠

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著者の渡辺氏の本は以前に「昭和天皇のお食事」というのを読みました。

その著書ではタイトル通り昭和天皇についてのお食事をメインとしたエピソードが綴られていました。

もちろん今上天皇や皇太子殿下についても。

この本では皇太子殿下についてのことをメインに書いておられます。

当然一般の人では知る由もないようなエピソードが披露されています。

例えば。

ある日、お客様がお見えとのことで、大至急メニューを考えて欲しいとの電話が内廷職員から入ります。

殿下は中国料理がいいのではないかとおっしゃっています、とのこと。

お客様とお二人だけの食事のようです。

普段から贅沢な食事をしているのであろうと思われがちな皇室ですが、まったくそんなことはありません。

なので予算内でメニューを組んだところ、「内容をもう少し検討して欲しい」との内廷職員からの返事です。

これは大変珍しいことだったと渡辺氏は著述します。

つまり内容をもう少しグレードアップして欲しいということなんですね。

普段料理人に対して非常に細かなお心配りをされる殿下がそこまでおっしゃる。

よほど特別なお客様なのだなと理解した渡辺氏は、メニューを組み替えました。

すると「たいへん結構です」とのお返事。

食事が終わり、すべての皿がきれいに空になって返ってきたことで、渡辺氏は胸を撫で下ろします。

そのお客様が誰だったのか、そのときの渡辺氏にはわかりませんでした。

しかし、そう、雅子様だったのですね。

のちに「あのときの中国料理は私がお作りしたものです」と申し上げると、にっこりと「とてもおいしくいただきました」とのお答え。

その後殿下のためにお食事をお作りになる雅子様のお手伝いなどもなさったそうです。

そのようなエピソードを紹介しつつ、皇太子殿下のお人柄の魅力を書き綴っておられます。

ラベル:グルメ本
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2011年02月16日

「渡辺文雄のくいしん坊旅行」渡辺文雄

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テレビの「くいしん坊!万才」の初代レポーターだった俳優・渡辺文雄氏。

食通としても知られた人でした。

5分間の番組では伝えられなかったことを本にしたとまえがきにあります。

読んでいて味わい深いのは、決して食べ物自慢でないところ。

あんな店行ったこんな物食べたというのを自慢げに語る人がよくいますが、そのような嫌味はありません。

ほんとに食べることがお好きなんだなぁということが伝わって来ますし、食べ物を通じて人との出会いが描かれているからこそなんでしょうね。

ラベル:グルメ本
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2010年02月25日

「昭和天皇のお食事」渡辺誠

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著者は元「宮内庁管理部大膳課厨司」。

えらい大層な肩書きですが、タイトルからもわかるように天皇陛下のお食事を作っておられたのですね。

昭和天皇、今上天皇、そして皇太子殿下と三代に渡ってお仕えされたそうです。

昭和天皇はどのようなお食事を召し上がっておられたのか。

なかなか興味あるところです。

皇室だからといって決して贅沢な食材ばかりではなく、さつまいもやら鯖の味噌煮やらといった庶民的なメニューもよく召し上がっておられたようです。

ただし料理にかける手間がめちゃくちゃに細かい。

骨はすべて抜き取るとか、食材をすべてきっちりと同じ大きさに切りそろえるとか、普通の店でやっていたらとんでもない手間がかかって相当な値段を取らなければ割に合いません。

ホテル出身の著者が大膳課に入った当初、まったく自分の技術が通用せず自信が消え失せてしまったとか。

そんな厨房内での内情やら、そしてやはり昭和天皇や皇太子殿下のお人柄を紹介したいろんなエピソードがいいですね。

著者は本当に天皇陛下、そして皇室を敬愛しておられたことがよく伺えます。

皇室の方々の微笑ましく心優しいお人柄のエピソードには私も親しみを感じました。

残念ながら著者の渡辺誠氏は2003年に55歳の若さで急逝しておられます。

ラベル:グルメ本
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2009年10月02日

「舌つづみ各駅停車 こんなところにこんな味」渡辺文雄

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食通として知られた俳優の渡辺文雄のエッセイです。

つねにあちこちを旅しておられたようで、その先々での食べ物との出会いを楽しく書いておられます。

もちろんどれも都会にいては口にできないような、その土地ならではの物ばかり。

それは鮮度のせいもありますし、ローカル色の強い素材のせいであったりします。

あの有名店で食べた、何百軒何千軒食べ歩いたといったような俗物的な内容ではなく、その土地の食文化に直接触れるこういう食べ歩きこそが贅沢であり食を楽しみ愛することなんだなと感じますね。

そして決して食べることだけではなく、その土地の人との出会いや心のふれあいも大切にしておられます。

著者のように全国を旅するわけにはいきませんので、この本を読んで気分だけでも舌つづみを打ちました。(笑)

ラベル:グルメ本
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2009年04月17日

「蹴りたい背中」綿矢りさ

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主人公の女子高生はクラスや部活にあまり馴染めない存在です。

そんな主人公にとってクラスメート(男子)の「にな川」は、同じようなタイプの気になる存在。

オリチャンという人気モデルのファンな彼は、授業中にそのモデルが載っている女性ファッション誌を拡げているようなオタクです。

実物のオリチャンに会ったことがあるという主人公はその話題がきっかけで彼の部屋に招待され、なんとなくな付き合いが始まります。

2回目に彼の部屋を訪れたとき、彼はオリチャンのラジオ番組をイヤホンで聴き始めます。

目の前に彼女の存在なんかないかのように。

そんな彼の後姿を見て「この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい。痛がるにな川を見たい」という欲望に駆られ、主人公は彼の背中を蹴飛ばすんですね。

タイトルはここからきているわけです。

蹴られた「にな川は前にのめり、イヤホンは引っぱられCDデッキから外れて、ラジオの曲が部屋中に大音量で鳴り響」き、「驚いた瞳で、彼は息をつめて私を見つめている」という描写には、絵が浮かんできて笑ってしまいました。

笑う箇所かどうかわかりませんけども。

なんで彼女が彼の背中を蹴ったかですが、解説の斉藤美奈子は一種の性衝動と読みます。

たしかに高校生の男女が二人きりで部屋にいながら、エロい雰囲気にはならないんですね。

どちらも頑なに自分の殻にこもるタイプ。

普通の青春小説ならどちらともなく求め合い・・・・といった展開になるのでしょうが。

私は「相手に自分の姿を見ていたたまれなくなった」という気がしました。

自己嫌悪をある意味自分と似たようなタイプの相手にぶつけたのではないかと。

自分に対する苛立ちやもどかしさがそのような形になって噴出したというような気もします。

まあ読み方は人それぞれとしまして、作者にとっては「インストール」に続く第二作。

デビュー作よりはよかったと思います。

ただどちらも閉鎖的といいますか、広がりがない気がしますが。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 『わ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする