2010年05月14日

「天使の骨」中山可穂

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デビュー作「猫背の王子」の続編。

前作で芝居の世界から離れたミチルは腑抜けのようになり、天使の幻覚を見ながら暮らしています。

そんなミチルを芝居の世界に引き戻そうとする関係者もいまだにいるんですね。

そういう人間から逃れる為、外国に行くと口にしたミチルは成り行きと勢いで実際に旅に出ます。

イスタンブール、アテネ、ミラノ・・。

ミラノでは声楽の勉強に来ている留学生の志織と同棲したりもします。

しかし二度と女性を好きにならないようにしているミチルは、そっとベッドを抜け出し、列車に乗りレーゲンスブルクへ。

やがてニースからマルセイユ、アルルと歩き、バルセロナへ発つ前にアヴィニョンにやってきます。

ここでミチルは稲葉久美子という芝居をやっている女性と宿命的な出会いをするのです。

翌日予定どおりまた旅立つのですが、久美子のことが忘れられません。

リスボンで戯曲を書き上げ久美子の住んでいるパリへ行くのですが、久美子にもらった住所のメモをなくし途方に暮れます。

ミチルは久美子に逢うことができるのか・・。

ヨーロッパを彷徨うことにより、生きる目標を失ったミチルの喪失感や心の彷徨感がよく表されています。

これが日本のお寺巡りだとまた違うニュアンスになりますが。(笑)

別に外国だからお洒落というわけではなく、やはり異国ということで孤独感が強調されるせいでしょうか。

最後は久美子との再会や以前一緒に芝居をやっていた日本のトオルからのメッセージもあり、またミチルに芝居への情熱が戻ります。

パッと光が差し込むようなラストです。

やはり中山可穂の描く恋愛は一途で激しいですね。

この小説は芝居への情熱にもその激しさは割かれていますけども。

またミチルの今後を読みたい気もします。

posted by たろちゃん at 02:30
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