裏表紙には長篇小説とありますが、連作短編集だと思います。
まあどちらでもいいんですけど。
阪急電車の今津線を舞台にした小説です。
その沿線を利用するいろんな人たちにスポットを当て、それぞれのドラマが描かれています。
各章ごとの登場人物たちは赤の他人なわけですが、同じ車両に乗り合わせていたりして話がリンクしているんですね。
それぞれが影響を受けたり与えたり。
男女の出逢いや別れなども描かれていますけども、今の大学生の出逢いってこんなにウブですかねぇ。
読んでいて気恥ずかしいほどですが、それがまあこの作品をほのぼのとした雰囲気にしています。
このあたりは若い女性に好まれそうなややファンシーな雰囲気ですね。
でも後輩に彼氏を寝取られ、その結婚式に乗り込んでいく女性の話は痛快。
孫を連れたおばあさんもいい味を出しています。
あつかましいおばさんにもいろいろと事情があったり。
それぞれに人生があるのだなぁと感じさせる一冊でした。
ちなみに解説は、故・児玉清氏です。