付き合っていた女の子と一緒に住もうと思って2LDKの部屋を借りたものの、引越しする前に振られてしまい1人で住むことになった「ぼく」。
ある日部屋の掃除をしていたら窓から覗き込んでいた子猫が気になり、それから餌を与えたり話しかけたりするのですが子猫は気まぐれです。
コミュニケーションが取れているんだかいないんだか。
そんなある日友人のアキラが彼女を連れてやって来て、ぼくの部屋に居付くことになります。
2人の面倒を見られるくらいの給料はもらっているからまあいいかと。
そんなのらりくらりしたぼくの冬から夏にかけての物語です。
なんとも説明の仕様がない小説ですね。
内容がない。
ふわふわと毎日を過ごすぼくや友人たち。
このふわふわさとか曖昧さか優柔不断さは徹底されています。
主人公の名前はいっさい出てきません。
会社に勤めていますがなんの仕事か明らかでない。
毎朝決まった時間にきっちり出勤しているわけでもなさそうです。
ぼくの周りに集まってくる友人たちもブラブラしているだけの人たちです。
焦燥感などまったくなく、猫に餌をやったり競馬をしたり、のどかな毎日。
ただそれだけを書いた小説なんですね。
山あり谷ありのエンターテイメント小説もあれば、このようなただ日常を描いただけの小説もまたありなんだなと思いました。
雰囲気的には村上春樹をもっと薄くした感じですかね。