高台の頂上付近にあるアパート『てふてふ荘』。
敷金も礼金もいらず、家賃は1ヶ月13,000円。
しかも最初の1ヶ月は家賃が無料。
見た目はぼろく風呂とトイレは共用ですが、大家によりアパート内はとても清潔に維持管理されています。
なんとも破格の条件で入居した就職浪人でフリーターの高橋真一。
しかし翌朝目覚めてみるとこのアパートにはとんでもない事情があることがわかり・・・・。
1号室から6号室まであるアパートの住民、大家、そして“同居人”たちが織り成す物語です。
章ごとに各部屋の住人の生活が描かれていきます。
どれもちょっと切ない話ではありますが、心温まる話でもあります。
そして最後の章である『集会室』で迎えるラストは・・・・。
巧いですねぇ。
どの章もひとつの物語としてよくできており、最後はきっちりとそれらをまとめてピンポイントで着地点を決めておられます。
ちょっぴりほろっとさせられ、爽やかな感動がありました。
読んでよかったと思える一冊でした。