2020年11月03日

「黄色い皇帝」芝木好子

CIMG3724.JPG

伊能隆一は蝶の収集家です。
カトマンズ・アゲハという世界に2頭の雄しか発見されていない蝶の存在を知ります。
興奮せずにはいられなかった隆一。
隆一は地質調査の会社に勤めているのですが、運よく仕事でインド出張の話が舞い込みます。
これはネパールに寄ってカトマンズ・アゲハを採集するチャンスです。
しかも雌を。
隆一は見事にカトマンズ・アゲハを採集します。
しかしそれ以上に隆一が心を奪われたのが、霞の濃い谷で見た1頭の蝶でした。
生まれて初めて見た王者の風格を備えた幻の蝶。
隆一は“黄色い皇帝”と名付け、この蝶を採集することにそれこそ命をかけます・・・・。
芸術の世界をいろいろと書いてこられた作者。
今回は蝶。
結婚も恋愛もせず、ひたすら蝶の採集に打ち込む男の話です。
蝶を取り上げた小説なんてちょっと珍しいんじゃないでしょうか。
私が知らないだけかもしれませんが。
ただやはり芝木作品、恋愛の要素が入ります。
主人公の隆一は近くの丘陵地で高校生の蝶マニア、洋と出会います。
この洋の存在が蝶採集というストーリーにおいてしっかりと脇を固めているのですが、同じく重要なのが洋の母である貴子の存在です。
人妻である貴子に隆一は恋愛感情を持つんですね。
この設定が蝶一辺倒ではなく、話に膨らみを持たせています。
ただラストはもっとはっきりと書ききってほしかったと思いました。
しかしよくまあ蝶のことを調べられたなぁと思いながら読んでいましたら、あとがきにて実際に作者は5年もの歳月蝶に深入りしてカトマンズまで行かれたとのこと。
でしょうねぇ。
でないと書けませんわ。
作家の執念、恐るべし。
posted by たろちゃん at 01:00
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