2021年05月05日

「まな板の上のマグロ」下関マグロ

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世間では著者のことを“露出者”と呼ぶそうです。
とにかく自分のプライベートを曝け出しネタにしてきたから。
自宅の住所、電話番号、年収などなど。
SM雑誌に顔写真入りで電話番号を載せた広告を出したのを皮切りに、レディースマガジンやらティッシュまで作って街中で配布してみたり。
さてその結果は。
メル友募集(実はナンパ)といった感じでメールアドレスを公開する人は多いですが、さすがに本名から住所から電話番号までという人はちょっといないでしょう。
やはりイタズラ電話が多かったようです。
しかし某女性誌で連載したときには女性から1日何本もの電話があり、選び放題だったとか。
いやあ、羨ましい。
ですが実際にそのような立場になると女性に興味を失うようで。
ごちそうも毎日食べるとウンザリしてくるのと同じなんでしょうね。
その他、探偵に自分のことを調査させてみたり、結構相談所に登録してみたり。
自分の身を切り売りする芸風のライターというのはなかなか大変なものですなぁ。(笑)
ラベル:エッセイ
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2021年05月03日

「きみの鳥はうたえる」佐藤泰志

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書店で働く僕は静雄という友人と一緒に住んでいます。
静雄は働いていないので借金してなんとか日々暮らしているというような状態です。
ある日僕は同じ書店で働く佐知子と体の関係になり、なんとなく付き合い始めます。
そして佐知子は静雄とも仲良くなり奇妙な三角関係が始まります・・・・。
読んでいて思いましたのは、主人公がやけに淡々としているなと。
日々の貧しい暮らしにしてもそうですし、佐知子に対しても。
佐知子は静雄と出来てしまうのですが、それに対しても達観したかのように佐知子を静雄にゆずります。
もうひとつ収録されている「草の響き」にしてもそうですが、主人公は草食系といいますか、ストイックな印象を受けますね。
なんだか日々の暮らしにおいて精神的に浄化されていっているような。
どちらも内容的にはちょっと暗い作品なのですが、淡々とした印象のせいかあまり湿っぽさはなく、むしろ清々しささえ感じました。
ラベル:小説
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2021年04月30日

4月の一冊

今月の読書は上下巻含めて10冊。
最近なぜかペースが落ちています。

・「おなかがすく話」小林カツ代
・「ケッヘル(上・下)」中山可穂
・「棒を振る人生 指揮者は時間を彫刻する」佐渡裕
・「時計じかけのオレンジ〔完全版〕」アントニイ・バージェス
・「ハート♥燃えて・・・」唯川恵
・「不肖・宮嶋 踊る大取材線」宮嶋茂樹
・「居酒屋ふじ」栗山圭介
・「女坂」花房観音
・「辺境の食卓」太田愛人

「おなかがすく話」、料理研究家小林カツ代のエッセイ。
いかにも大阪のおばちゃん的なキャラがいいですね。
「ケッヘル(上・下)」、原稿1500枚の長編です。
視点を二つに分けたぶん、ちょっと散漫になったか?
「棒を振る人生 指揮者は時間を彫刻する」、指揮者とはどのようなことをするのか。
この本を読むとその仕事や内面もよくわかります。
「時計じかけのオレンジ〔完全版〕」、私はなんとも思いませんでしたが。
映画が評価されてその恩恵を被っているのでは。
「ハート♥燃えて・・・」、唯川恵コバルト時代の作品。
うん、当時の青春はこうだったのですよ。
「不肖・宮嶋 踊る大取材線」、不肖・宮嶋さん、怒涛のカメラマン人生ですね。
苦労の連続にもかかわらず面白おかしく語っておられますが、報道カメラマンとしての矜持をひしひしと感じます。
「居酒屋ふじ」、実在の店、実在の店主とのこと。
こんな店主の店があったのかと。
「女坂」、京都を舞台にした官能小説。
ただレベルは荒い。
「辺境の食卓」、極寒の地で自然と共存しながらの生活がつづられています。
私にはとても無理でしょうが、しかし憧れますね。

では今月の一冊を。
やはり中山可穂さんの「ケッヘル(上・下)」でしょう。
しかし渾身の長編のわりには私にとってはさほど響かない内容でした。
「感情教育」「マラケシュ心中」に比べるとどうしても。
上下巻というかなりな長編のせいもあるでしょう。
内容が薄まったといいますか。
ただミステリーな展開は作者にとって新境地といえるかもしれません。
なんだかんだ言いましたが、今月はこれで。

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2021年04月29日

「辺境の食卓」太田愛人

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著者は信州の北限という“辺境”で生活する牧師です。
他者が“辺境”なんて言葉を使うとその土地を侮蔑しているように聞こえますが、実際にそこで生活しておられた著者が自ら名乗っておられるのですからそうなのでしょう。
しかしこの“辺境”には卑下したニュアンスはまったくありません。
むしろ都会に対して誇らしい気持ちでこの“辺境”での日々を綴っておられます。
実際読んでいまして、その自然の恵みの豊かなこと。
食材など都会のようにスーパーなんて必要としません。
自然の山菜、庭で育てた野菜たち。
自然の堆肥、手作りのジャム、凍った湖で穴釣りしたワカサギをそのままオドリと称して酢味噌をつけて食べるなど、工業製品に慣れた者からするとなんとも羨ましい贅沢。
冬の移動手段はノルディックスキーで山越えなんて、いやもう恐れ入ります。
相当寒さの厳しい土地での生活を書いておられるのですが、もちろん愚痴ではありません。
嬉々としておられます。
温暖な土地よりもこのような厳寒な土地での生活のほうが、まさしく人間が自然を真っ向から受け止め、生活のための知恵を駆使して暮らしているんだなと思えますね。
実に味わい深く、また都会での生活を省みる思いに駆られるいいエッセイでした。
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2021年04月25日

「女坂」花房観音

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和歌山県の田舎町から京都のお嬢様女子大学に入学した真面目でおとなしい水絵。
入学式に向かう桜並木の坂道で転んでしまい、怪我をしてしまいます。
そこに手を差し伸べてくれたのが妖艶な魅力のある日菜子でした。
寮に入って日菜子が寮唯一の4年生であることを知ります。
なぜか水絵は日菜子に気に入られ、寮のボス的存在である日菜子の寵愛を受け、女同士の性愛を仕込まれることになります。
水絵は自分のものであり、誰にも手を出させないと君臨する日菜子。
そんな日菜子に体を開発させられていくものの、しかし水絵はレズではありません。
普通に男性と恋愛したい。
あるきっかけで近くの大学の男性と知り合い、お互い一目惚れ状態で付き合うことになり、水絵は処女を捧げるのですが・・・・。
さすがの花房観音、エロいです。
大阪人の私としましては、女性器の名称を「お〇こ」(本文中では伏字なし)なんて書かれるとたまらないんですよね。(笑)
たいがいのエロ小説は「お〇んこ」ですから。
「お〇んこ」なんて読まされても聞かされてもなんとも思いません。
ただこの話、小説のレベルとしてどうなのとは思いました。
ちょっと厳しいでしょ、この内容では。
完全にエロ小説として割り切って読めば、エロい描写さえしっかりしていれば他のことは目を瞑れるというか、どうでもいいんでしょうけど。
でも花房観音はそういう作家ではありませんよね。
やはり小説としてもきっちりと読ませてくださいませんと。
日菜子の京都弁が不自然。
こんな京都弁しゃべる女性なんていませんてば。(笑)
ドラマなんかでも不自然な関西弁を耳にしますが、そんな感じですね。
水絵も和歌山の人間ならそれなりの言葉をしゃべるべきですが、なぜか標準語。
関西人であり京都在住の作者がこんな言葉遣いを書いていてはだめでしょう。
話もラストの展開はいくらなんでもと。
あちこち綻びが目立つ作品でした。
ラベル:小説
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