2021年04月30日

4月の一冊

今月の読書は上下巻含めて10冊。
最近なぜかペースが落ちています。

・「おなかがすく話」小林カツ代
・「ケッヘル(上・下)」中山可穂
・「棒を振る人生 指揮者は時間を彫刻する」佐渡裕
・「時計じかけのオレンジ〔完全版〕」アントニイ・バージェス
・「ハート♥燃えて・・・」唯川恵
・「不肖・宮嶋 踊る大取材線」宮嶋茂樹
・「居酒屋ふじ」栗山圭介
・「女坂」花房観音
・「辺境の食卓」太田愛人

「おなかがすく話」、料理研究家小林カツ代のエッセイ。
いかにも大阪のおばちゃん的なキャラがいいですね。
「ケッヘル(上・下)」、原稿1500枚の長編です。
視点を二つに分けたぶん、ちょっと散漫になったか?
「棒を振る人生 指揮者は時間を彫刻する」、指揮者とはどのようなことをするのか。
この本を読むとその仕事や内面もよくわかります。
「時計じかけのオレンジ〔完全版〕」、私はなんとも思いませんでしたが。
映画が評価されてその恩恵を被っているのでは。
「ハート♥燃えて・・・」、唯川恵コバルト時代の作品。
うん、当時の青春はこうだったのですよ。
「不肖・宮嶋 踊る大取材線」、不肖・宮嶋さん、怒涛のカメラマン人生ですね。
苦労の連続にもかかわらず面白おかしく語っておられますが、報道カメラマンとしての矜持をひしひしと感じます。
「居酒屋ふじ」、実在の店、実在の店主とのこと。
こんな店主の店があったのかと。
「女坂」、京都を舞台にした官能小説。
ただレベルは荒い。
「辺境の食卓」、極寒の地で自然と共存しながらの生活がつづられています。
私にはとても無理でしょうが、しかし憧れますね。

では今月の一冊を。
やはり中山可穂さんの「ケッヘル(上・下)」でしょう。
しかし渾身の長編のわりには私にとってはさほど響かない内容でした。
「感情教育」「マラケシュ心中」に比べるとどうしても。
上下巻というかなりな長編のせいもあるでしょう。
内容が薄まったといいますか。
ただミステリーな展開は作者にとって新境地といえるかもしれません。
なんだかんだ言いましたが、今月はこれで。

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2021年04月29日

「辺境の食卓」太田愛人

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著者は信州の北限という“辺境”で生活する牧師です。
他者が“辺境”なんて言葉を使うとその土地を侮蔑しているように聞こえますが、実際にそこで生活しておられた著者が自ら名乗っておられるのですからそうなのでしょう。
しかしこの“辺境”には卑下したニュアンスはまったくありません。
むしろ都会に対して誇らしい気持ちでこの“辺境”での日々を綴っておられます。
実際読んでいまして、その自然の恵みの豊かなこと。
食材など都会のようにスーパーなんて必要としません。
自然の山菜、庭で育てた野菜たち。
自然の堆肥、手作りのジャム、凍った湖で穴釣りしたワカサギをそのままオドリと称して酢味噌をつけて食べるなど、工業製品に慣れた者からするとなんとも羨ましい贅沢。
冬の移動手段はノルディックスキーで山越えなんて、いやもう恐れ入ります。
相当寒さの厳しい土地での生活を書いておられるのですが、もちろん愚痴ではありません。
嬉々としておられます。
温暖な土地よりもこのような厳寒な土地での生活のほうが、まさしく人間が自然を真っ向から受け止め、生活のための知恵を駆使して暮らしているんだなと思えますね。
実に味わい深く、また都会での生活を省みる思いに駆られるいいエッセイでした。
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2021年04月25日

「女坂」花房観音

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和歌山県の田舎町から京都のお嬢様女子大学に入学した真面目でおとなしい水絵。
入学式に向かう桜並木の坂道で転んでしまい、怪我をしてしまいます。
そこに手を差し伸べてくれたのが妖艶な魅力のある日菜子でした。
寮に入って日菜子が寮唯一の4年生であることを知ります。
なぜか水絵は日菜子に気に入られ、寮のボス的存在である日菜子の寵愛を受け、女同士の性愛を仕込まれることになります。
水絵は自分のものであり、誰にも手を出させないと君臨する日菜子。
そんな日菜子に体を開発させられていくものの、しかし水絵はレズではありません。
普通に男性と恋愛したい。
あるきっかけで近くの大学の男性と知り合い、お互い一目惚れ状態で付き合うことになり、水絵は処女を捧げるのですが・・・・。
さすがの花房観音、エロいです。
大阪人の私としましては、女性器の名称を「お〇こ」(本文中では伏字なし)なんて書かれるとたまらないんですよね。(笑)
たいがいのエロ小説は「お〇んこ」ですから。
「お〇んこ」なんて読まされても聞かされてもなんとも思いません。
ただこの話、小説のレベルとしてどうなのとは思いました。
ちょっと厳しいでしょ、この内容では。
完全にエロ小説として割り切って読めば、エロい描写さえしっかりしていれば他のことは目を瞑れるというか、どうでもいいんでしょうけど。
でも花房観音はそういう作家ではありませんよね。
やはり小説としてもきっちりと読ませてくださいませんと。
日菜子の京都弁が不自然。
こんな京都弁しゃべる女性なんていませんてば。(笑)
ドラマなんかでも不自然な関西弁を耳にしますが、そんな感じですね。
水絵も和歌山の人間ならそれなりの言葉をしゃべるべきですが、なぜか標準語。
関西人であり京都在住の作者がこんな言葉遣いを書いていてはだめでしょう。
話もラストの展開はいくらなんでもと。
あちこち綻びが目立つ作品でした。
ラベル:小説
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2021年04月21日

「居酒屋ふじ」栗山圭介

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主人公の西尾は売れない役者です。
いつものようにオーディションに落ち、塞ぎ込んだ気持ちでたまたま目に付いた居酒屋に入ります。
それが「居酒屋ふじ」でした。
壁一面に張られた有名人の色紙、プロ野球選手のバット。
なんなんだこの店は。
おやじがまたとんでもないキャラで。
なんだかんだありつつ、西尾はこの店に通い続けることになります・・・・。
「居酒屋ふじ」は実在の店とのことです。
その店に通っていた著者がおやじから聞いた話、常連との会話から聞こえてきた話、それらを材料にしたとのこと。
とんでもないおやじですね。
その半生の凄いこと。
おやじの半生を語るのに5分の4ほど使って書いておられるのですが、さすがにちょっと食傷気味になりました。
いや、それらのエピソードこそがこの小説の土台となっており、おやじのキャラの紹介となっていますので必要ではあります。
ただ「居酒屋ふじ」というタイトルからして、ひたすらおやじの過去を長々と読まされるのは退屈でした。
矛盾していますけども。
つまり私は読み物としてバランスが悪いと感じたわけです。
ラスト5分の1ほどはよかったです。
ようやく「居酒屋ふじ」かなと。
涙も出ましたしね。
実在の店でありエピソードということで(?)、プロ野球選手の中日ドラゴンズ立浪選手や、タレントの木梨憲武さんの名前も出てきます。
だからどうなんだ、ですけど、長年店に通われた作者としては、それほど皆に愛されたおやじさんなんだよというのを伝えたかったんでしょうね。
まあこれはこれで、といったところでしょうか。
ラベル:小説
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2021年04月19日

「不肖・宮嶋 踊る大取材線」宮嶋茂樹

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前書きにはカメラマン生活の集大成と書かれていますね。
キャリア16年にして集大成はちょっと早いですが。(笑)
今からすればかなり初期の本になりますしね。
しかしまあこの時点でも内容は濃い。
右翼の大物に密着取材したり、ソ連時代のモスクワで売春を撮ったり。(恐ろし 笑)
江副時代のリクルート社の入社式に新入社員のふりして潜入したり。
オウム真理教の取材もしておられます。
坂本弁護士の遺体捜索を撮るため警察の目をかいくぐって山に潜入し、何十万円もの高価なレンズを犠牲にして死にかけたり。
それにしても報道カメラマンというのは凄まじい仕事ですね。
のどかな風景やスタジオでキレイなオネーチャンを撮るのとはわけが違う。
転んでもただでは起きない男、不肖・宮島。
面白すぎます。
あっぱれ。
posted by たろちゃん at 01:00| Comment(0) | 『み』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする